勇者現代に戻ってきたけどだるいのでまた異世界に行きました。

@matudasakuya

第1話 別れと旅立ち、そして。

「勇者様、世界を救って頂いてありがとうございました。私は貴方に残っていただきたかったけれど本人の意思を曲げてまでお引き止めする訳にも参りません。」


 こう言っているのはこの国の姫である、ローランド•マキュレル第一王女。

 ローランド帝国の王女だ。

 俺はこの人のことは嫌いではないがこの世界に飽き飽きしてしまっている、物凄く飽き性なのだ、だから毎回なろう系主人公みたいにチヤホヤされて冷めたら別の場所に行きたい性分なので。


「申し訳ないマキュレル王女、俺は帰るべき場所がある、俺が元の世界に戻ってもどうか泣かないで欲しい笑っていて……」



 マキュレル王女の泣きながら俺を引き止めようとする瞳は今でも忘れられない。


 かく言う現在俺は何をしてるのかと言うと。東京スカイビルタワーに来ている。日本一高いビルで790mあるのだ。


 ここには彼女連れの男も多いな一つ試すか。俺は良からぬことを考えていた。


「スキル:未来視」


 このスキルは見た対象を、自分自身がこの事象を起こすことによって起こり得る可能性を忠実に見ることができる。


 ふむふむこいつは彼氏連れか今彼氏はトイレに行ってると、戻ってくるのがあと20秒ほど、ナンパするか。


「ねえそこのお姉さん、可愛いね今からお茶しない?」


「えっとその私には……」


「置いテメー、人の彼女に何してんだ?」


 その彼氏である男が案の定、罠にかかって殴りかかってきた。

 まあ元勇者の俺にそんなちんけな攻撃は通用しないんだけどね。


 俺は背後から殴りかかられたのですぐさま振り向きその手を止めて捻った。


「痛い痛い痛い」


「だっせ」


「なんだとテメー」


「うるせーよ」


 俺は手を捻り肩を外して手を捻じ曲げた。


「あああーーー」


 男は痛みに耐えきれず泣き叫ぶ。

 騒ぎを聞きつけたのかビルの警備員がやって来る。


「何をやっているんだ」


「見ての通り正当防衛ですけど何か?」


「早く早く止めてくれー」


 警備員は俺を取り抑えようとしたが。

 腹を殴ってやって一発KO


「これバレたらまずいなあ」


「スキル:レグナレントリセット」


 対象の記憶を入れ替え眠らせる。


「ここにいる目撃者の記憶を操作し、うーんと誰に書き換えようか。あーこの間、汚職が暴かれて逮捕されたという政治家の、後藤良夜を見たということにしておこう」


 でもこれじゃあ、生まれ育ったこの世界で悪いことをしただけで終わってしまう、最近はオゾン層が壊れて地球が大変らしいから、俺の魔法でオゾン層を強化して直しておくか。


 両親と妹にも挨拶をしたいが水臭いし、そろそろ行くか。


「さあ転移魔法で新たなる異世界へ」


「転移魔法起動、ライフワールドエンドレス」


 俺、八神奏(19歳)はまた新たなる異世界への扉へと渡ったのである。



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