第6話 深紅に積雪
ハヤテのノーマルタイプは決して少なくない。それでも少しでも得意分野を極め専門になる方が使える魔法が増えると言われている。
例えば緑の魔術師、治癒魔法の最上級、復活の奇跡を使えるようになる。まあ生涯魔石のベッドを使う。魔力を消費するからだ。魔石薬を飲んだり、血液に混ぜたりする。魔力量の多い者が緑の魔術師になりやすい。
たいして魔力をもっていないハヤテも町で先生をしながら、少しの知識で患者を診てきた。魔石のベッドは前にいた緑の魔術師が遺したものだ。
赤い血も積雪でまた白に戻る。雪はハヤテに忘れられない景色とライトという縁を与えた。
ライトとの別れ際、
「お前が使う伝書魔法で報告してくれ」
「ご冗談を」
「いや、本当にハヤテに教わりたい」
「そんな…」
恐縮するハヤテにライトは頭を下げた。
「顔をあげてください!こんな子どもだましでよければ」
文字を、絵を、魔力に余裕があればそのまま景色を、音声をつけて。空中に浮かべる。届けたい相手を思い浮かべ、伝われ、届け、見て、読んで、聞いて。
そう相手を呼び続ける。
ライトはほんの少し苦労しながら、ハヤテの真似事をする。すると小さな字がハヤテの真ん前につきつけられた。
ありがとう
「こんなに念じてこれっぽっちか!?」
「あはは、最初はそんなもんです!うまい子と苦手な子がいるので、多分コツがあるんでしょうけど」
「教えてくれ」
「よくいわれるけど、わかんないんですよ」
「ひどい先生だな」
沈黙に積雪 新吉 @bottiti
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