第5話 にっちもさっちも奇跡

 ハヤテはライトと共に街道を開けた。隣町とライトの街へすでに連絡済みのため、移動魔法で先に行った住人もいる。ここからは省魔力の長旅だ。先に行くものだと思っていたからハヤテは旅について来たライトに驚いた。


「移動魔法が使えるようになるとな、足を動かさなくなる。あとは奇跡の復活魔法、俺は使えないけど、奇跡感が薄れるよなあ」


「何を、魔力の消費が激しい上に、ランク2ともなれば戦力で前線に行かれるでしょう」


「まあな、今じゃこんな町の手伝いだ」


「すいません、本当にありがとうございます。でもどうしてあなたのような方が…」


「お前の報告が一番早かったんだ、世界中のどこよりも」


「雪ですか?」


「魔石だよ、雪山に登ってまで確認に行くやつがいなかったんだ。ランクの上位者が各地に散らばれって命令が出てな?その途中にお前からの伝書魔法が飛んできた」


「そうだったんですね」


 ハヤテは実は目をそらしていたことと、確かめたい気持ちで揺れていたことを伝えた。他の所はきっと町中で起きている異変やみんなの不安に対応するだけで手一杯なんだろうということも話した、実際そうだった。


「足りないことが問題なんだ、魔法をちゃんと使えるやつが、わかるか?お前らみたいに。家柄やセンスや技術じゃない。必要なときに必要なことに使える魔法使いが」


「わかります、だから地元に戻ってきました」


「なるほど、そう来るか…」


 ハヤテは共に来ないかという誘いを断った。

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