第53話 3将の計画
砂漠は慣れない者にとっては、想像もできないことが多い。
女のように黙りこくっているかと思うと、急に気むずかしくなる。
突然、嵐がみまかうと思うと、しずかな美しさを示す時もある。
砂漠は、大部分が水のない荒野である。昼は暑く、夜ともなれば、寒気はきびしい。
砂漠の荒野では、必要とするものは、すべて持って歩かねばならない。
そして、何よりも大切なのが水である。
さらに、ロンメルは続けて言う。
砂漠には、他を見下ろせるような特別の地形は、どこにもない。
ハルフ峠のような高地、ゲイラの西の砂漠の南を走っている沼地や、メインの南のターラ凹地のような塩水の沼地、それに各所に散在する歩けない砂の海などで行動範囲が制限されているから海岸沿いの道と、内陸にあるたくさんの不たしかな小路ぐらいしか歩けない。海岸に沿って行動する部隊に補給することはむずかしくはないが、数キロ内陸に入ると行動は困難になる。
海岸に沿って行動するには道路を基準にすればよいが、内陸での行動には正確な案内人が必要である。
しかし、たとえ道に慣れた者が方位を判定しても砂漠では、しばしば方位の感覚が狂わせてしまうのだ。
私にとっても知るべきことはたくさんあったが、そのための時間は少なかった。
これは部下の将兵にも同じだった。
さて、君たちが今から、その戦場へ赴く事になる、私の経験した言葉を心に止めて勝利を掴んでくれたまえ。
[はっ‼]三人は、ロンメル元帥に向かって敬礼し必ず勝ちます。と誓ったのである。
ティオス軍は、神聖光国ともしっくりいかない。神聖光軍は砂漠の経験に富んでいたので、神国の総司令官の??元帥はソフィを危ぶみ、ソフィを怒らせたことがある。
??元帥が[この土地の困難性は、すぐにわかるものではないよ]とみくびった言い方をした。
[そんなことのわかりますわ、たいした時間はかかりませんわ。……この午後、飛んで行って夕方には報告を送りましよう]
これがソフィの返事だった。だが、??元帥の言も砂漠のきびしい自然を考えると、もっともなことだった。
まず、ブレイド、フレイ、ソフィの三人は、砂漠の実態、砂ぼこり、広漠の中の孤独、進軍の問題、蜃気楼、水、兵士たちにも、それまでに経験したことのないほどの、きびしい緊張を要求する現象ではあったが、それもティオス三将と連合軍の当面する困難のほんの一部にしかすぎなかった。
ほかにも難問題があった。まず何としても兵力が少なく兵力の輸送は遅々としてはかどらない、そには、生まれたての新連合の全部の集結完了を待つ
余裕はなさそうだった。
ティオス軍団は、数においては神聖光軍よりは、はるかに少くなかったが。
神聖光国に上陸した瞬間から新連合軍の重荷を双肩に担ったのである
いずれにせよ、豊富な兵力とは言いがたい。しかしテオス軍団は、神聖光国の地を踏んだ瞬間から、連合軍のすべての活動の軸となり原動力となったので
ある。
そして、その行くところ、つねに戦火は激しく燃え上がり、その姿が視界から去ると、敵軍は立ちすくみ、ひとたび姿を現すや火山のようなおそろしい戦闘を予期せるばならなかった。
ティオス軍の先頭部隊は??に上陸した。ソフィは、それまでに各戦線を偵察をし、??元帥の承認を得て戦線にいる全部隊の指揮をとっていた。
この日、神光軍が初めてシルテの戦線に前進を命じられ、ティオス軍の第?軍偵察大隊と戦車大隊がこれにつづき?日にはシルテに到着した。
フレイは、すでに[偵察行動だけにかぎる]という命令などは問題にしない、と腹をくくっていた。?日に早くもシルテの東一二0キロのフィリアで最初の
敵の偵察隊との戦闘がおきたが、これは当然のなりゆきだった。
ブレイドは、敵軍はこれ以上、攻撃してこないと判断したが、それを裏づける情報が入ったので、もはや西方に対する魔軍の進出を心配する必要はない、と確信するにいたった。
この確信を持ってソフィは、神光本国へ出向いた。
神聖光国全土の奪回する行動を開始する許可を??教皇に求めるためである。
だが、すでに出発前にエル·アゲイラに対する行動の命令は下していた。
ソフィは、神国で冷たく扱われた。??元帥は、近い将来、ティオス軍による大作戦を展開する意図はない、すでに送ると決定されている以上に部隊は増加しない、だが送った師団が到着した後ならばエル·アゲイラに対するこうはやってもよかろう、と述べた。誰もソフィに、神光国のギルム軍に対する
攻撃する計画については語らなかった。ともあれ、神軍総帥部の砂漠の、[幕あい狂言]に対する冷たい態度から見てティオス軍は、この後ずっと援助
不足に悩まされるだろうし、最後まで新連合の主作戦戦略の中に組み入られないのは確実と思われた。
だがソフィは、なおエル·アゲイラに対して禁制の攻撃を実施する決意を秘めて自軍に帰任した。そして、?月?日にはエル·アゲイラをぬき、敵軍が次の狭路メルサ·ブレガに向かって退却中であることを本国に報告したのである
ティオスの三将とティオス軍は、砂漠の長距離の追撃と、注意ぶかく短時間の攻撃をやるなど、砂漠の戦闘に慣れるように努力しながら進撃したのだが、
もし、魔軍の実情を知ったなら、その士気はますますたかまったはずだ
ギルム軍は、砂漠の戦線から引きぬける戦力は、すべて自軍の軍に編入した
だが、疲労したグラス部隊の指揮官と兵員は、ある者は休養に、ある者は新しい戦線に送られ、かわりに砂漠の戦闘に経験のない部隊が未熟な指揮官の下で配置についた。
WW2の英雄異世界で頑張ってます ロンメル @ronmeru76
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