第52話 ティオス3将動く

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1202年2月初め神聖光軍が、いやその生き残りさえも、アッと言う間の大敗北に打ちしがれて、生きのびてきた兵も戦う気など、さらさらないという状況

だったからである。


神聖軍が崩壊しそうになっているのは、ポリタニアだけではなかった。

東のバークナ半島でも東方正面軍が圧倒され総崩れ寸前であり、ルカン半島のバニアを守ろうとした神光軍が、今までは魔軍にやられた。

そのうえ、神聖光国本国とバニアの間には、強力な敵の要塞基地があり、ここから神聖国に補給しょうとする連合国への攻撃をかけていた。

その絶えずこれらを攻撃していた。


その、おかげで神聖光国は補給不足に悩まされていた。

しかしこの時、ロンメル元帥は、神軍の参謀長ベティの来訪を受け援軍を送る事を決め陸海軍十五万五千の兵力を送ったのである。

神聖光国の解放の為め、いかなる戦場であろうと神聖光国が崩壊するのを黙って見すごしたのでは連合軍の結束が崩れかねないからだ。


神聖光国への援軍を派遣を決めてから2日後

神聖光国の地に若い三人の男女の将が降り立った。

皆、すらりとして活動的で、話すのも動くのもテキパキしていた。

そして少しも気どりもなかった。

この三人が、たちまちにして神聖光国での戦いの流れを、まったく変えることになる。

その名は、ブレイド、フレイ、ソフィの青年将校でティオスの最強戦力である。


アトラ戦場では敵軍を罠に嵌め壊滅させる先鋒役を果した三人である。

その三人が、今や砂漠の端に立っている。

心の中では、できるだけ早く攻勢に出たいという、持ち前の闘志が燃えていた。

しかし、逸やる心をおさえるように、神聖光軍??元帥からは援軍が到着するまでは攻撃を禁ずる、という指令があった。


またギルム軍が神聖光国全域を征服してしまうかも知れないという、神光軍の他の司令官の心配や、本国の役人がいるからアリエを攻撃するな、という愚劣な命令がティオス軍へ出ていることも念頭におかねばならなかった。


ブレイドは戦車部隊の戦闘というものは、絶えず動いていることが必要である、という信念を持っていた。そして守勢にある時でも、全般的な防壁という枠の中でなら、局地的な攻撃行動も許されるものである、と信じていた。


しかし、もちろん万事は自分の戦略を展開できるまでに敵軍が、どう出るかにかかっていた。

ヴェイヴ将軍の砂漠軍は、軽快な(時には馬鹿にしたほどの少数の)部隊で、砂漠の中で優れた機動力を発揮しゲリラに到達していた。

これらの部隊の将兵は、猛訓練によって完全に砂漠に順応したベテラン達だった。

連合軍から見れば、魔軍は容易に前進をつづけて海岸沿いにトリポに直進できる態勢にあった。なぜなら、神光軍には、それを阻む戦力がなかったからだった。

神光軍は、ゲイラとトリポの中間のエラトの陣地阻止する計画を持ってはいたが、これは希望と言うよりは願いにすぎなかった。


すでにヴェルザー軍の遠距離偵察隊がタニアの奥ふかく侵入して偵察中であるのは、わかっていた。ヴェルザー軍主力部隊が、さらに突進してくる前ぶれかも知れない。


だがソフィは、いつも敵については、ほんのわずかな情報しか入手していないのに本能的に作戦開始を考えていた。

きわめて漠然然としてたが、フォム、オコナーの軍がグラチの神光軍に加えた致命的打撃は、わずかに1個師団の三千人の将兵の手でなさらたものであり、この攻撃で敵軍は、まったく力を使い果したものとソフィは推測していた。


実際、敵軍はキレイで防衛態勢をとる最中であり、弱小の部隊の支援のもとに抽出できる兵力は、すでに神光軍に向かって送り出していた。

フレイの心中には、連合軍の部隊について心配もあったにちがいない。

彼らは、まったくちがった環境の神聖光国の砂漠に大急ぎで送りこまれてきたのだから、心理的な理由で失敗することはないとしても、技術的な原因で敗れることもあり得る。援軍は送る盟邦を援助するため

敵軍の神聖光国の侵攻に対して、条約を守るため戦うと決めたのである。


ブレイド、フレイ、ソフィの三人は神聖光国へ出発する一日前にロンメル元帥の執務室に呼ばれ、砂漠の戦略を学んだのである。


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