夢と念

「う〜ん…。どうしよう。約束、破るわけには行かないしなぁ」

桂は真夜中まで宿で考えた。しかし、頭には何も出てこない。

「寝よう。何かが…、何かいい案が出てくるはずだ。」

そう言うと、桂は深い、深い眠りについた。


桂は奇妙な夢を見た。

夢の世界。

その世界には、昔博物館で見た百鬼夜行絵巻に似た、何かがいた。

彼らは人間を襲う。

人間達も対抗する。こないだ見た、女が出てきた。

女は何かを木の葉のように蹴散らす。



翌日、桂は目覚めた。

宿を出ると、たまたまそこにいた、年寄りに「女」のことを聞いてみた。

しかし手がかりらしきものは見つけられなかった。

今日は村の雪まつり、昨日まで何もなかった平面の石英は、水晶に成長した。

美しき村、しかし何かおかしい


夜、桂はまた不思議な夢を見た。

暗い暗い空の海。その中にはこないだ見た女に似た雰囲気の者達が立っている。

しかし人々は振り向こうとしない。まるで忘れ去られてしまったように…。



不思議な夢、時空を超えたような、不思議な夢。


朝、桂はまた鳥のささやきで目覚めた。


桂はまた、こないだの社に向かった。眠っている山に向かった。

山は何か気味が悪い位静かだった。

桂でも引き返そうかと思うくらい、静かだった。


カサ…。カサ…。

カサ…。カサ…。


何か物音がしたと思い後ろを振り返ると、夢で見た「何か」が立っていた。と同時に直感が叫ぶ、こいつは危険だ。逃げろ、と。

桂は一目散に逃げ出した。どこに向かっているかも、ここは何処なのかも知らず、逃げ出した。

1キロ位走ったのだろうか。そこには、こないだの社が立っていた。

女が立っている。

しかし、こないだとは違い、険しい顔をしている。

桂の後ろを睨んでいる。「まさか…。」

桂がそう思ったときだ。

光が射し込んだ。

光に当たると嫌な「何か」は消えた。


女は語る。

「この村は神々の住む神聖な場所の近くにある。

そのためかこの村の住人はすべてのものには神々が宿っていると知った。しかし近年。神はただの人間の考え、創り出した想像と扱われてしまった。我々はそうして忘れ去られてしまった。そしてさっきお前が連れてきたもの、あれは人間の負の念だ。あいつらは我々の世界を喰っている、君たちで言う害虫だ。」

女は社に戻っていった。

女が去った後、桂は山を登る…。




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冬のひととき @syouryu-

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