第5話天国へ向かったおばあちゃん
煮っ転がしで家族みんながお腹いっぱいご飯を食べた。
『懐かしい、、、拓也、、。』
と、、言葉をおばあちゃんが発した。
『おばあちゃんは、幸せ者たい。拓也、ありがとう。』
『ありがとう、、。』
と、、ごちそうさまと手を合わせながら、おばあちゃんは
ニコニコしていた。
ほんの一瞬だが、おばあちゃんは
僕の記憶をよみがえらせていた。
その場にいた家族みんなが
驚きを隠せなかった。
『拓也ちゃんには、、。』
おばあちゃんが、古ぼけた紙袋を
ガサガサと、始めた。
『はい。御守り。』
リーンリーンと鈴が付いた
御守りが出てきた。
そこには、おぼつかない字の
手紙が付いていた。
『拓也ちゃんへ。おばあちゃんは
ハンバーグ作りにもチャレンジ
してます。食べに来て下さい。
待ってます。』
と、書いてあった。
僕の住所が分からなくても、、
大切に思ってくれていたんだな
、、、と
僕は御守りと手紙を
おばあちゃんにもらった。
その晩は、おばあちゃんが
回復するだろうと、、、
みんなが信じて疑わなかった。
明くる日。
おばあちゃんは、身体中冷たくなっていた。
発見した時には、、、すでに
もう、天国へ向かった後だった。
僕は、最後におばあちゃんから
大きなプレゼントをもらったのだ。
甘辛い少しだけ、いびつな煮っ転がし、、
御守り。食べられなかったハンバーグ。
暖かい広い心のおばあちゃん。
いつも家で留守番しては
家事をこなしていた僕の幼少期。
葬式の時、棺には、、、
家族みんながおばあちゃんに
感謝の気持ちを込めて、
色とりどりの美しい花だらけ
になっていた。
母親が
『おばあちゃん、、、
ありがとうございました。』
みんながおばあちゃんとの
急な別れにぼんやりとしていた。
東京に戻る新幹線の中で、彼女が
僕に言った。
『素敵なおばあちゃん、、、
逢えて良かったわ。ありがとう。』
今度の6月、、僕と彼女は
結婚式を挙げる事になった。
おばあちゃんは、遠い空から
鼻歌を歌いながら、
きっと、見守ってくれるだろう。
『ありがとう、、さようなら。
おばあちゃん、、、。』
おばあちゃんの煮っ転がし たから聖 @342224
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