第12話 ずっと…
「隆樹、ごめん起こした?」
「いや、大丈夫だ。眠れないのか?」
「うん…だから散歩に行こうと思って」
「そうか」
私達は散歩に出掛けた。
しばらく歩くと波の音がした。
「海…?波の音…?近くに海あったんだ!」
「ああ」
「前に来た時は全然気付かなかったけど」
「無理もない。そんな余裕などなかったからな」
「そうだったね」
スッと手を差し出す隆樹。
「砂浜は足が取られる。手を繋いだ方が良い」
私は隆樹の手を握る。
肩を並べて、私の歩幅に合わせる隆樹。
時々、隆樹の横顔を見ながら不思議と幸せな気分になる自分がいる。
繋いだ手から感じる体温に胸がドキドキ加速する。
このまま、この幸せが続けば良い。
そう思う私がいる事。
「ねえ、隆樹は今後も日本にいるの?それともこっちで暮らすの?」
「俺か?どうだろうな」
「それ答えになってないよ」
「じゃあ、一緒に暮らすか?」
ドキッ
私達は足を止め向き合う。
「えっ…?い、一緒に暮らすぅっ!?」
「俺は、別に構わないが…むしろそっちの方が俺は嬉しいが」
「えっと…」
「すぐにとは言わない」
「うん…」
《一緒に暮らすって…つまり…それって…24時間同じ部屋…?》
《別々の部屋あった所で心臓が持たない気がする》
「あっ!そう言えば冬流に巳冬さんの事を尋ねたら、用心棒らしくて別に付き合っていないって。冬流は好きなんだけど…巳冬さんは…」
「冬流がそれで良いから一緒にいるんだろう?」
「…相手に想いがなくても一緒にいられるだけで良い…って事だよね…私、耐えれるかな?」
「………………」
腰に手を回されグイッと抱き寄せられた。
ドキッ
「お前が考える必要はない」
「そ、そうなんだけど…」
グイッと後頭部を押されキスをされた。
唇が離れ見つめ合う私達。
瞳の奥からのぞく隆樹の真剣で優しい眼差し。
私の胸はドキドキ加速していく。
私は恥ずかしさに耐えれず、隆樹の胸に顔を埋め抱きしめる。
「どうした?」
「…私…隆樹と…ずっと一緒にいたい…」
「優季」
「でも…私がもし逃げそうになったら捕まえて!何処までも追って捕まえて…」
「ああ。…でも…お前は逃げない…きっと…」
「えっ…?」
顔を上げる私。
「愛し合っているなら逃げる理由がないんじゃないか?俺達に何かの問題が生じない限り、お前は俺の前からいなくならない」
「…そう…だね…」
私達は、もう一度キスを交わす。
何度も何度も角度を変えて―――――
そして私の口の中に割って入ってくる熱があり、慣れないキスに戸惑いながら――――
「…隆…樹…」
私は吐息交じりに名前を呼ぶと、隆樹の首に両手を回していた。
首筋に隆樹の唇が這う。
吐息が無意識に洩れる。
そして気付けば洋服が乱れていた。
「………………」
見つめ合う私達。
「お前を抱きたい…」
ドキッ
胸が大きく跳ねる中、私は覚悟をし、隆樹にキスをした。
波の音が私の耳にこだまする。
私の身体中に隆樹の唇が這う。
ゾクゾクする背中を感じながら―――――
「優季…愛してる…」
「…隆…樹…」
すると私の身体に熱が一気に貫き、
私の声は波で掻き消されていく―――――。
「………………」
「…すまない…体大丈夫か?」
「…うん…」
「今度は、きちんとした所で、お前の全てを愛してやる」
ドキッ
サラッと言いこなす隆樹に私は恥ずかしさで身体全身が熱くなる。
「………………」
隆樹は大人だ。
私…隆樹に相応しい大人になれるかな?
そんな不安が過る中、隆樹は察知したのか
「お前は、そのままでいい」
「えっ…?」
「俺が選んだ女だ。周囲にどう思われようと、言われようと気にしなくて良い!堂々としていれば良い」
「…隆樹…うん!」
私達はキスをし、一旦、唇を離すと再びキスを交わす。
そのキスは長かった。
朝陽が見守る中
まるで
永遠の愛の誓いを交わす様に―――――――
〜 E N D 〜
一隻の船に乗り込んで… ハル @haru4649
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます