3 祖エルフ「アールヴ」の里

3-1 三つの旗印

「ちょっとモーブ、あんまりもぞもぞしないでってば」


 御者台。俺に後ろから抱えられながら、レミリアは文句を言った。


「仕方ないだろ。馬車も揺れるし」

「胸じゃなくてお腹を抱えてよ」

「いいんだよ。俺はレミリアの胸が好きなんだ。かわいいし」

「ならまあ……いいけど」


 耳まで赤くなったのが、愛らしい。


「でもシルフィーもカイムも見てるんだからね。手は動かさないで」

「ごめんごめん」


 俺達の馬車は、アールヴの里に向かい、廃棄された古道を辿っている。道と言っても草に埋もれているも同然で、石や岩がごろごろしている。なのでとにかくゆっくりだ。


「仲がよろしくて、うらやましいですね」


 ハイエルフのカイムは微笑んでいる。


「ほんにのう……。さすがは嫁を六人も取る男だけあるわい」


 ダークエルフのシルフィーも頷いている。


「ちゃんと見てくれるといいけどな、旗印三本を」


 俺は見上げた。馬車にはエルフ三種族の旗印がはためいている。御者台に各部族のエルフを配置したのはもちろん、アールヴに正式な使節だとアピールするためだ。いにしえの誓約に従った。


 といっても、問題があった。いやこの馬車、御者台は三人並ぶので精一杯。エルフ三人を配置すると、俺の居場所がない。といって使節の主は俺だ。頭を取らないわけにはいかない。仕方ないので、レミリアを膝に乗せ、カイムとシルフィーの間に陣取ったってわけさ。


 なにせレミリアは一番若く、体も小さい。人間で言うと十五歳くらいの骨格だからな。それに俺の嫁だ。シルフィーやカイムを膝に乗せては失礼だが、レミリアならいちゃついてるも同然だから問題ない。実際、我慢できずにこうして、ちょこちょこ胸を揉んでるし。


「いやっ」


 俺の指が動くと時折体が震えるのがかわいい。俺ももうすっかり、レミリアの弱いところを知ってるからな。


「あっ……。服に手を入れちゃ……」

「ところでカイム。アールヴは俺達を受け入れてくれるかな」


 脇から手を入れてゆっくりレミリアをかわいがりながら、俺はカイムに尋ねた。レミリアは、声を出さないようにこらえている。


「どうでしょう……。五分五分かと」


 眉を寄せている。


「そもアールヴは里に結界を張っておる」


 シルフィーが答えてくれた。


「普通は里には入れん。それに連中は排他的で攻撃的。エルフ三部族の使者とはいえ、先方がどうでるかはわからん」

「最悪、戦いになるかも……ってことか」

「あっ……いやっ……」


 無我夢中で、レミリアが俺の唇を求めてきた。腿をこすり合わせるようにして、もじもじしている。


「よしよし」


 長いキスを与えながら、胸を刺激してやる。


「遠慮のない奴だのう……」


 シルフィーに呆れられた。


「それとも嫁を六人も取る男は、こうでなければ務まらんのか……」

「ハイエルフにも、このような強い男はいませんね」


 カイムはくすくす笑っている。


「ダークエルフにもおらんな」

「少しお休みなさいな、レミリアとふたりで」


 荷室からマルグレーテが声を掛けてきた。


「しばらくはわたくしが代わるわ。久しぶりで馬を操りたいし。それに……アールヴの里まで、まだ何日か掛かるのでしょう」

「そうだな……」


 見ると、シルフィーもカイムも頷いている。


「ほら、レミリア、行くぞ」

「うん……」


 すっかり大人しくなったレミリアが、俺の首に腕を回してきた。


「愛してる……モーブ」

「かわいいぞ、レミリア」


 小柄なレミリアを抱え上げると、荷室へと移った。全員が俺の嫁になってからは、仲間はもうこうした行為に慣れている。なんなら毎晩みんなとあれこれしてたわけで。


 ただ、カイムとシルフィーは別だ。ふたりは客人だしもちろん俺の嫁じゃないからな。


 レミリアを横たえると服のボタンを全部外して開き、体を露出させ下着を脱がせる。御者席で愛撫していたせいか、レミリアはいつでもOKな感じだったよ。


「声出すなよ。ふたりがいるから」

「うん……」


 もの言いたげな瞳で促された。


「いや、まだだよ」


 キスを与えると、上半身に唇を這わせた。首筋から脇、ふたつのかわいい胸やおへそまで。胸が俺の唾液ですっかり濡れる頃になるとレミリアは、俺の注意も忘れ、無我夢中で声を出し始めた。自分で腿をもぞもぞ動かして、苦しそうだ。


「お願い……」

「ダメだ」


 さらに念入りに繰り返す。もうすっかり息も絶え絶えになったレミリアがぐったりした頃、脚を開かせた。


「かわいいぞ、レミリア」

「モーブ……好きだよう……」

「モーブくん……」

「先生……」


 いつの間にか裸になっていたリーナ先生が、ブランケットに潜ってきた。


「私も……モーブくんを愛してる」

「俺もです」


 レミリアと三人でキスを与え合った。アールヴの里では、なにがあるかはわからない。束の間の休息って奴さ。いいだろ。そのくらいの幸せがあったって。

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