第3話

愛らしい顔立ちの汚い少女を、僕は、長く1人で住んでいる古いマンションへと連れて行きました。


マンションの外装はよろしくないものの、内装は20年前同様綺麗に整備されていて、隣を歩いている間終始無言だった彼女は、外と内の違いに驚いたのか、足取りが早くなっていたと思います。その姿はとても可愛かった。

可愛い、抱きしめたい、愛したい、という類の感情でしみじみとくる自分は心底恐ろしいとは感じます。犯罪者じみているのです。


自身ではよく分かっていますが、ただ、今は犯罪者でもいい。愛することにこそ価値を見出してしまったので仕方がありませんでした。


全ては遅かったのです。


 喜ぶ彼女に、マンションに新たに導入されたカードキーを手渡してみました。嫌がられるかと思ったのですが。何故なら、急に見知らぬ年上の異性に連れて行かれたら恐ろしいのが普通でしょう。

「カードキー、わかる?」

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私が堕ちた日 甘野 雫 @sodium2

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