第9話 スパッツの子
名古屋に来て、もう4年という月日を過ごした。
だが、一向に僕は、彼女ができることはない……。
なぜだ!?
ムラ村さんと背伸さんに至っては、二人とも両想いどころか、『三人ハーレム想い合い』という新しい関係を築いたはずなのに。
そうこうしていると、またお父さんが引っ越しすると言いだした。
僕は激しく怒りを覚える。
「ムラ村さんと背伸さんと、三角関係にさせてから、引っ越せや、ボケェ!」
とお風呂の中で、叫んだりした。
しかし、今回はお兄ちゃん二人が受験を控えていたこともあって、二年間の期限付きで、お父さんが単身赴任することになった。
つまり僕は小学校を卒業するまで、名古屋に居ても良いということだ。
2年もあれば、二人を落とせる。
そう確信していたが、もう6年生も後半に近くなってしまった。
「ヤバい、早くしないと。ムラ村さんとキッスの一つでもしてから、引っ越さないと彼女がかわいそうだ……」
未だに身長が伸びないチビっ子、つるぺたの彼女を後ろから見つめる。
「ハーイ、みんな~ 注目~ 転校生の紹介です~」
と担任の先生が叫ぶ。
また転校生か、もういいよ。
どうせガチムチな男だろ……。
教室の扉が開くと、そこには三つ編みの女の子がひとり。
なんというか、姿勢がキレイで、艶がかった黒髪が似合う、なでしこちゃんって感じ。
それに一つ、気になるのが彼女のファッションだ。
白いTシャツに、タイトな黒のスパッツ。
「はじめまして、東京から来ました。
同年代とは思えないぐらい、しっかりとした喋り方。
尻止さんは、成績も優秀で、運動も得意な万能美少女だった。
たちまち、クラスの人気者になる。
東京もんか……ま、しかし、このシティボーイの僕には勝てまい。
いつか、彼女も僕を意識してしまうのだろう。
僕の思惑とは裏腹に、ムラ村さんと背伸さんまで、彼女の影響を受けてしまう。
髪型やファッションまでだ。
ある日、三人が僕の机の前で、女子トークで盛り上がる。
「ねぇねぇ、ムラ村さん。昨日のドラマ見た?」
「あれだぎゃん? 『ポケベルが鳴らなくて』だぎゃん。ビデオとり忘れただぎゃ」
「それなら、私の家で見る?」
と、僕の目の前で、女子が三人でキャッキャッやってる。
話に熱中しているのか、僕になかなか気づかない。
それをいいことに、僕は彼女たちを背後からじーっと眺める。
何故ならば、三つのプリンとしたお尻が堪能できるからだ。
尻止さんが転校していて以来、女子たちの中で、Tシャツにスパッツというファッションが流行っていた。
ブルマが大好物な僕からしたら、ナンセンスな格好だと、最初は鼻で笑っていた。
「じゃあ、今日尻止さん家に集まろうっか?」
「そうだぎゃ。パジャマパーティーだぎゃ」
「いいねぇ~」
確かに良い。
スパッツは水着のようなツルツル感。
女の子の下半身が、前も後ろもフィットしまくっていて、思わず触りたくなってしまう。そんな魅力を感じる。
特に尻止さんは、バスケットボール部に入っていたこともあり、程よい肉付きと丸みのある柔らかそうな桃。
今、その小桃が僕の机の上に乗っかっている。
いくらスパッツを履いているとはいえ、ここまでケツを突き出す必要性があるか?
その距離、わずか10センチほど。
何か別の扉が開く、音が聞こえてきた……。
ハッ!? わかったぞ、謎は全て解けた!
尻止さんは、ムラ村さん達と一緒にパジャマパーティーをすると言ったな。
そこに僕を参加させたいんだな!?
じゃなきゃ、ここまでケツをプリンプリンさせながら、人前で話す必要はないだろう。
この3人、全員。僕に掘れ……惚れているに違いない!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます