第4話
結奈は周りの噂よりシウのことが気になった。横のミニョンに
『シウは学校ではいつもあんな冷たいオーラ全開なの?』
『あー、無駄に人に関わりたくないからね。
あいつは跡取りとか興味ないからそういう目的で近づいてくるやつを寄せ付けないようにしてるんだ』
と2人で机に伏せるシウを見つめた。
するとそんなシウにジアが近づいた。
『ね、あの女なんなの?
私よりいい家?
どうせ寝てないんでしょ、答えて』
『ジアよりいい家だったらどうするの?
よくない家だったら?』
『私がいいたいのはキムシウ。あなたの隣に立つ資格がある子なのかってことよ』
『それは周りじゃなくて僕が決める』
とシウはジアの前から消えた。
お昼の時間になった
ミニョンが一緒に食べようと誘ったが、
私1年間カッコいい騎士2人に守られて過ごすの嫌だから
と断った。
とは、言ったものの、ノープラン。
誰か一緒に食べてくれそうな子はいないかと声をかけてみるがみんなジアの目を気にして同席を許可してくれない。
1人で食べようかとも思ったが、このまま友達が1人もできないのも嫌だった。
結奈は思い切って、ジア向いに座った。
そして何も言わずにご飯を食べる。
ジアも取り巻きもそしてそれを見ていた生徒も呆気に取られている。結奈は気にせず箸を進める。
ようやくジアが口を開いた
『おかしくなったの?なんであなたがここで食べるのよ、私許可した覚えないけど』
『あなたのせいでみんな私を無視するから、だったらあなたと食べようと思って』
『どうしてそうなるのよ!!』
『だってあなた私に関心があるようだから。
私、ジアのこと好きよ。可愛いし、嘘がないもの。行動がはっきりしている。だから好き。
友達になりましょう。』
そんなことを言う結奈がジアには理解できない。
ジアが止まっている最中もお構いなしにご飯を食べる。この学校のご飯美味しいのね!毎日お昼が楽しみになりそう♪なんて笑っている結奈。
そんな結奈にジアが
『私はあなたのこと嫌いよ。友達なんて絶対ならないから』と。
『それは残念きっといい友達になれると思うのに』
と悲しい表情をしてジアを見つめた。
『そんな目私には効かないんだから。演技はやめて』
『はは、それは残念。ほら昼休みなくなっちゃうよ。ちゃんと食べなきゃ。楽しいランチをありがとう』と涼しい笑顔で結奈がジアの前から去った。
それを見ていたシウは思わず笑みが溢れた。
『ユナちゃんはお前にそんな顔させるんだな、、、
彼女がきてお前も変われるかもな』
というミニョンの言葉にシウは無視をした。
結奈は食堂を後にして校内探索を始めた。
イギリス風の可愛い校舎に緑溢れる校庭
結奈の好きな雰囲気だ。
いろんな教室を回っていると一つの絵に心奪われた。結奈にも見たことある風景だがどこかわからないどこかの庭のような森のような、、、
作者に目を移すと中学部だった頃のシウの絵だった。
シウはこんなふうに世界が見えてるんだ。やっぱり素敵な目だったと結奈は思った。
他にもシウの作品はないかと美術室に入っていくと1人の女の子がデザイン画を描いていた。
メガネに三つ編みとてもおしゃれとは言えない風貌で服のデザイン画を描いていた。
『素敵な服ね、全部あなたが描いたの?』
と結奈が声をかけ驚いて彼女は顔を上げた。
『ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったの、つい素敵な絵だったから、あなた同じクラスのコソラよね』
驚いてソラは
『どうして私の名前を知ってるの?』と
『当然知ってるわよ。だってクラスメイトじゃない』と笑顔を向けた。日本で生徒会長をしていた結奈にとって全校生徒の顔と名前を覚えることは基本だった。でもソラは、学校では1番後ろの席で息を潜めて空気のように生活しているのでクラスメイトはもちろん担任さえにも忘れられてると思っていた。
『服好きなの?』結奈が聞いた
『デザインするのが好きなの、私には似合わないから、、、』
『素敵なセンスね、これが実物になればとっても素敵なドレスになりそう』と結奈が目を輝かせる一方、ソラの顔が曇った。
『絶対にならない。』と。
『どうして?』
『私のお父さんは検事総長なの、私は必ず幹事にならなきゃいけない。だからデザイナーにはなれないから。』
あー、この子も自分と同じように縛られた世界で生きてるのかと結奈は思った。
『私たち友達にならない?』急な結奈の提案にソラは驚いた。
『いや?』と結奈がソラに聞く。結奈の圧に押されソラは、
『こんな地味で根暗な私でよければ、、、』と答えた。そんなソラの手を握り
『嬉しい!今日から私たち友達ね。一緒にご飯を食べて買い物にもいきましょう。その前に一つお願いがあるんだけど、、、
私に似合いそうなドレスとあなたが着てみたいドレス、デザインして私にくれない?』
と結奈。
『なんで?』と不思議そうにソラ
『私たちが友達になった記念かな?私あなたが描くデザインのファンだから』
とい結奈にソラは嬉しそうにわかったと返した。
2人は仲良く教室に帰った。
そんな様子をみたシウが
『コソラと友達になったんだ。』と結奈に話しかけた。
『そ、あの子とっても可愛くていい子なの』
『よかったな』とシウが笑った。
「あなたの笑顔は危険なのね」と真顔で言った。
シウはよく理解できなかったのか、不思議そうな顔をした。
1日の授業が終わった。
みんなが席を立っているのに結奈はまだ帰る用意をせずに座っている。
そんな結奈のところにシウが来た。
『なんで帰る準備しないの?学校終わったよ』と声をかけた。
『え?もう帰るの?暗くなるまで学校に残って勉強するんじゃないの?韓国ドラマは自習してたよ』と驚いている結奈。
そんな結奈を見て
『また韓国ドラマか』と笑っている。
『ここはみんな塾行ったり専属の家庭教師がいたり個々の家庭で教育がしっかりされてるから希望制なんだ。スポーツの強化選手も多いし、
残りたいなら残れば』とシウが結奈に言う。
『いい!残らない。ちょっと待ってて』とシウにいいソラのところにかけていった。
結奈はソラと楽しそうに話し、ソラに手を振ってシウの元に帰ってきた。
『ソラは今から家に家庭教師が来るんだって』と残念そうにソラの背中を見送る。
『シウは家庭教師とか塾あるの?』
『いやないよ、勉強は1人でできるから。それに僕は跡取りじゃないから』と答えたシウ。その言葉にニヤっと笑みを浮かべた結奈。
『そうじゃあ行こう!!』と2人はバス停に向かった。
自由な世界 春 菜奈 @has2na
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