第2話 となりの国のフィアン王国

目の前に広がる港町だった場所に大きな穴。化け物が一口で下から食べた。それだけでもう頭の中が限界なのに……

光る物体がレナの家近くに落ちていくのが見えるわ。

「レナ!!一旦避難しよう!!」

「は、はい…!!」

「あの光るものが家の近くに落ちていったからそれも確かめないと!!」

レナの手を握りしめながら家へと掛けた。……ショウたちは無事なのだろうか?

…他人の心配してる場合じゃないけどさぁ!!

『はぁ…はぁ…はぁ…』

全力で家へと向かい、レナの家が奥地に見え始めたわ。そこでみたものは…

「!?」

「子供です!!子供が倒れています!!」

先ほどの状況から判断するにあの光の正体はこの子???

情報が少なすぎて訳が分からん!!

……でもやることはある!

「レナ、家をマジックボックスへ!あたしはこの子を助けるから!」

「お願いします!!急いでフィアン王国に避難しましょう!!」

「あいよ!!」

あたしはその子を抱いて、レナはマジックボックス…要するに範囲の物を収納できる便利な道具に家ごと収納し、移動しようかと思った時だったわ。


「なんか、近づいて来てます…!?」

レナは耳を立てて音を聴いている。確かに前方に影が見えてきた。その姿はまるで

「岩石みたいな動物…?」

見たことの無い動物。固そうな表面に手と思われる部位は盾のように厚くなっており、四本の足で歩いてくるの。

「敵意を感じます!!」

「……!!」

盾のような手を前に突きだし、あからさまにあたしたちを狙ってるかのようだわ

「熱く弾ける小さな奇跡よ!!フレイムボム!!」

身を守るため、レナは炎の魔法を放った。着弾と同時に爆発するその魔法は命中。あの動物は木っ端微塵に散ったわ。

「たいしたことないね、あいつ」

「いいえ、まだたくさん来ます!!」

奥から動く影が沢山近づいて来てるのがみえる!

「どっから沸いてきてるの!?あれ!?」

「…っ!!隙を見て逃げますよ!!フレイムボム!!」

放った魔法は岩石みたいな動物に当たった…と思ったら

「え、あれ……??」

なんと、手の盾のようなもので防いでいた!!しかも一体だけではなく全ての個体が!?

「学習してる!?そんな!?」

……いや、おかしな話ではないが、こうも統率が取れている動きは異常だ……!!

考えてるうちに距離をどんどん詰められている!どうする……どうする……!?

「ギルド式剣技!!光激突き!!」

「ショウ!?」

見回り任務についていたはずのショウが来た。

光る剣が空から降り注ぎやつらを貫いていく。

「班長から許可を貰った!…無事で良かった!」

「ショウ君、ありがとうございます!!」

「なんの!」

しかし、その後ショウは強がった顔つきでこう言った。

「町にいた仲間からの連絡が全部途絶えたんだ…」

『!?』

やっぱり、夢じゃなく現実なのか…

「せめて二人とも無事かどうか確認したくて来たんだ!だから今はひと安心したぜ。で、その子は?」

ショウが質問してきたが分かるわけが無く

「倒れてたから助けただけ。」

「そうか、はやくフィアン王国へ急げ!!連絡は取ってある!!」

「ショウ君はどうするんですか?」

「心配いらないよ、レナさん。仲間が退路を確保してくれてる。だから二人とも逃げれるように足止めをする。奴らはあの大穴から這い出てきてる!」

そう言い、ショウは剣を構えた。

……ショウを犠牲にしたくない!!あの大穴から出てきてるなら相当な数のはず!!

「ショウ!あんたあいつらは!」

「分かっているさ。幸い、剣技は貫通するみたいだから何とかなるさ。ギルドにも応援を頼んでるし、大穴を封じる手立てはフィアン王国の方で用意してるらしい!!」

見透かされてたわ。ならここにいるのは邪魔になるだけね。

「死んだら許さないからね!!」

「ショウ君無茶はダメですよ!!」

「わかってらぁ!!はよ行け!!」

その言葉を合図に全力でその場を離れ、フィアン王国へと向かった。背後になる戦闘音をききながら……



一方ギルド本拠地にて。


ギルドマスターである私…ハイド・レフリカンドは選択を余儀なくされている。

「マスター、報告です。」

副マスターのジェネル・バールドは報告書を持ち、マスタールームに入ってきた。

「現在、かの港町にて起こった災害ですが、フィアン王国側が対処にあたるそうです。」

「なるほど。生存者はさきの報告の19名で確定かい?」

「はい。…残念ながら」

やはり口だけの報告では分からぬことが多い。が、最低限の対応ができれば何とかなるか。

「わかった。増援は4チーム。任務優先度が低い部隊を向かわせて欲しい。残りでテザスガランドの件を何とかしたい。」

「分かりました。それではお伝えしてきます。」

「…いつもすまないね。直接私が行ければよいのだが。」

「マスター。大変なのは全員同じです。…わたくしもマスターのことが心配なのですよ。」

「わたしのことは平気さ。皆の命をこの手に握りしめているからこそ、理解しなければならないことがある。」

『テザスガランド』。やつは二週間前に現れ、周囲の町や村を襲っては消え、離れた場所に現れては暴れを繰り返す魔物だ。実体すら分からない危険なやつを相手に皆の命がかかっている。

「誰一人として死してはいけない。」

「マスター……」

苦渋の選択だが、こうせざるを得ない。

「フィアン王国には申し訳ないが、我々はテザスガランドに集中する。協力依頼が来たら断わざることを得ない。」

分かっている。協力もしたい。……我々も手一杯なのだ!!



フィアン王国を目指し走り続けてしばらく経つわ。

「もう少しで着きます。セラちゃん、頑張ってください!!」

「はぁはぁ…具体的にあとどのくらいよ~」

「数分です!!」

地図を見つつ、レナは励ましてくれた。正直疲れとか興奮してるから分からないわ。

「なるほど。この子が軽くて助かるわ」

正直抱きながら走りきれるとは思ってなかったが気合いって凄いわね…!

「んん……」

走っていたら女の子が目を覚ましたの。

「レナ!!ストーーーーーーップ!!」

あたしの掛け声と共に急ブレーキをかけて止まった。

「セラちゃん!!何事ですか??」

レナが困惑していた。

「この子、目が覚めたの。」

「!?」

レナが駆け寄ってくれた。

「とりあえずあの辺で少し休みましょう!」

少し広めな木陰を指差し、レナは提言した。

「そうね。ちょっと休もう。」

この子にも色々聞きたいし、ちょうど良い。


木陰に座り、休憩中。

目が覚めた女の子に質問したわ。

「大丈夫?」

そう訪ねると女の子は顔を覗き込んだ。

「ゆっくりで良いですよ♪」

「んん……??」

不思議そうな顔をしている。まさか…

「あなた、言葉分からない??」

「あぅ…んん……」

まるで産まれたばかりの赤子のようね。

言葉が分からないのであれば分からないままね。

「ん~、言葉、教えてあげましょう?セラおかあさん♪」

「おかあさん!?」

レナが悪ノリで言ってきた。その後

「おかぁ…さん?」

女の子が言ったの。

「そうですよ~。セラおかあさんと、レナおかあさんですよ~♪」

「おかあさんとおかあさん!!」

……いらんことを教えてるし!!保護者がいたらどうすんのよ!!

「レナ、後の事考えてる?」

「ほえ?」

あーダメだ。考えてなかったわやっぱり。

こうなったら流れに任せてやるか…

にしてもだ。理解が早い……

「レナ、この子理解早すぎないかしら?」

「あら?お年頃の子供は覚えが早いですよ?」

「そうじゃなくて、あの動物たちと学習能力似てない?しかもどこかの子でもない感じだし」

光と共に舞い降りてきたこの子。タイミングも騒動が起こったタイミングだし、怪しいわ。

「おかぁさん、こわい……?」

女の子が察したように言ってきた。

「!?いや、考え事してただけよ?」

「かんがえごと…?」

レナもちょっと驚いてたみたいだけどすぐに

「うふふ、あなたのお名前はなんて言うんですか?」

「おなまえ…おなまえ…????」

非常に困惑してるみたいね。

「あらら、お名前分からないんですか?」

「おなまえ…わかんない」

「でしたらおかあさんから付けてもらいましょ♪」

そう言いながらレナはあたしを見た。

「……ふぁ??何でそうなるのさ!!」

「おかぁさん、おなまえおなまえ♪」

期待されてるんですけどぉ??センスないぞあたし!!

「はぁ、しょうがないわねぇ…」

頭に浮かぶワードとこの子の雰囲気に合う名前……

直感的に出てきた名前を口にした。

「アイナ」

「あいな?アイナ!!」

「良い名前ですね♪」

……喜んでもらえて良かったわ。

「アイナちゃんはどこから来たんですか?」

「アイナ、あたたかいところにいた!!」

「暖かい場所??」

「アイナ、よくわかんない」

まぁ子供だからしょうがないか。暖かい所か。分かんないわ。

「そうなんですね♪その他になにか覚えてることありますか?」

「おぼえてること…?」

「はい♪例えば目が覚める前に何してたのかな~とか」

「わかんない!!」

「あらら…」

完全に謎な子だわ。

ひとつ言えることは、敵意はない。怪しい点は学習能力の高さ。もう会話できるまでに至っているのは尋常じゃないわ。

「ここは危険ですので、そろそろフィアン王国目指しましょう♪」

レナはアイナを撫でながら言った。

「そうね。奴らが来たらショウのしたことが無駄になっちゃう!」

「おかぁさんと行く!!」

アイナも乗り気だ。ここで考えたって分かるわけないし、フィアン王国へ行き、報告と保護が優先ね!

「行きますよ~♪」

『お~!!』



「ここはフィアン王国である!貴殿らは何故我が国へと参られたか。」

フィアン王国へ入る前に、大きな城壁を通る必要があるみたい。門を中心に回りを壁で覆われており、外敵からの攻撃を防ぐようになってるわ。

城門前にいる兵士に事情を伝えなきゃね。

「港町テラポカから避難してきたの!ギルドのほうから連絡来てないかしら?」

「港町テラポカから参られたか。王がお待ちかねです。貴殿らを保護してくださるだろう。」

状況を把握しているみたいで、そう言って門を開いた。

「王宮へはこちらをお持ちになり、城外の兵に提示願います。城へはここを通り、右へ回り込むと入り口が見えてきます。迷ってしまった場合は、他の兵に声をかけて聞いていただきたい!」

『ありがとうございます!!』

「ありがと~?」

あたしとレナの後に意味が分からなげにアイナも礼をした。

兵士さんから招待状をもらい、門をくぐり抜けると、お花で飾られた綺麗な町並みが見えたの。すごく良い香りがするし!

「お~!すっっっごおぉぉぉい!?」

「お話には聞いてましたが、素敵な国ですね♪」

「すてき~すてき~!」

雑談をかわしつつ言われた通りに右へ歩いた。

道もしっかり整備されてて歩きやすいわ。

ただ、やっぱ他所から来てるので、周りの目線が気になる…

「んー…。すごい見られてるね。」

「仕方ありませんよ。獣神族に小さな女の子とおかあさんがここにいるんですから。」

「そ、そうね…」

あたしは苦笑いをしつつ受け流した。そりゃあそうよね。ましてや獣神族なんてひっそりどこかに里を作って暮らしてるらしいから、珍しいわよね。あぁ、これはレナから聞いた話ね?

「あれじゃない?」

歩いて数分。お城の入り口らしき場所が見えてきた。

そこには兵士さんが二人立っていて、あたしたちを見ていた。

「さ、王様に会いに行きますよ♪」

「おうさま~!」

あたしたちは兵士さんのもとへ歩いた。

「む?ここは城の入り口なり。要件をどうぞ。」

話しかける前に向こうから聞いてきた。

アイナは得意気にもらった招待状を見せた。

「これもらったの~」

「……ふむ。テラポカからの避難民でしたか。王がお待ちです。ご案内致します。」

「ありがとうございます♪」

スムーズに事が運んで良いわねぇ。王国だからなんか面倒なイメージがあったのよねぇ。

一人の兵士さんから案内してもらい、王のいる部屋まで来たわ。

お城と言うより大きいお家?ともかくそんな感じ。石造りなイメージが崩れたわ。

城門は石造りだったのにビックリしちゃったわ。

「それでは、失礼致します。」

お辞儀をしつつ兵士さんが去っていく。

「どんな王様なんだろう…」

「緊張しますね…。悪い王様では無いとは聞きますけど…」

「おうさま、わるいひとなの?」

「どうでしょうね?」

「むぅ??」

アイナはいつの間にかもう言葉の理解が出来てきてるらしい…

やっぱり異常だ…。よほどの天才か、あるいは……

「おうさまぁ~~~~!!」

「あぁ!?ちょっと!!」

……好奇心でアイナは扉を開けてしまった。

「にゃぶぇ!?」

「あら、お待ちしておりました。」

扉の前で待っていたであろう人にアイナはぶつかってしまった。

「大丈夫かな?」

お城の人がアイナを心配している。

「おはないたい~」

「アイナ?いきなり開けて入るからよ?ちゃんと確認してから入りなさい!」

あたしがアイナを叱る。ちょっとへこみながら

「……ごめんなしゃい」

……謝ったわ。教えてないのに理解してるわ。

そんなこと考えていたら、奥のほうから忙しそうな声が聞こえてきたわ。

「あ~、そう。資材は回して解析を急いで!!団長には町の人に何があったのかの説明と行動指示!!それから至急食事の支度!!あとは…………」

声の主は王様であろう。そうに違い無いのだが、あたしは思わず口にしてしまった。

「ええっと…?あのちびっこが王様……?」

はっとして周りを見た。レナもあわてふためいた様子だったが、

「ビックリなされますよね。そうです。私らフィアン王国の王、ルナ・ファルフィアン王です。」

『えぇ~!!?』

どっからどう見ても子供じゃない!?

あまり突っ込むのは失礼だから言わないけどさ!

「む?あぁ、ごめんなさい!!港町からの避難者の方々か!!」

こちらの存在に気が付いたのか、フィアン王国の王らしいルナが声をかけてきた。

「色々ありすぎて手がいっぱいいっぱいでね。立ち話も何だからあそこの椅子にでも座って話そう。」

年齢に見合わないしゃべり方で誘導してきた。

大きな木製の綺麗なテーブルがあり、囲めるようになっていた。奥のほうからルナ、右隣に側近の人、反対方向にあたしとアイナが一緒に座り、右にレナが座る。

「予期せぬ災害の中、よく生きてこられた!!嬉しいぞ!!」

王の第一声があたしたちの無事を祝ってくれた。それだけでも暖かな王なんだと実感したわ。

「ありがとう。」

「え、あ、ありがとうございます!」

あたしとレナは礼を返した。

「一方であなた方のみ生き残りになってしまったのは残念だ。」

「!?ギルドの人達は!?」

「落ち着いてくださいませ。ギルドの方々も街にいた方以外は全員無事との報告を受けております。」

「っということはショウ君達も無事にギルドへ戻れたのですね!」

安堵のため息がでちゃった。あたしらを逃がして全滅とか後味悪すぎるわ。

「今現在ぎじゅちゅ研究班がテラポカの大穴からでてくる魔物を何とか抑える研究をしているわ。明日には完成するんじゃないかな?」

「そんな早く出来るものなの……?」

「ある意味バカな人達だからな!!我が国自慢の技術班だ!!」

ルナ王が噛んだのは突っ込まないでおこう…

でもホントにあんな化け物を一晩で何とか出来るものなのか。考えても仕方ない、信じて待つしかないな。

「それと、紹介が遅れたね。わたしがフィアン王国の王、ルナだ。こちらがわたしの信頼をおいてる、アルセナだ。」

ルナ王は自己紹介しつつ側近の人を紹介した。

そうね、見た目を伝えたほうがいいかしら?

ルナ王は120cm位?大体アイナより大きい。

可愛らしいリボンを着けた金髪ツインテール、青い瞳の元気な目。

服装は水色のベースシャツにピンクの薄いアウター、色を合わせたフレアスカートね。

うさちゃんのついたブーツを履いてるわ。

「紹介にあがりました。アルセナ・テルースです。」

アルセナさんの見た目は黒髪のサイドテール。

凛とした声に黒のやさしめな瞳。

服装はメイド服?って言えば分かるかな。それに近しいわ。

あたしは見たこと無いけどね!!

でも、なんとなく違和感があるの。うーん…

「あたしは夢見セラ。よろしく!」

「アイナだよ!!」

「うふふ、私はレナ・シルフィースです。よろしくお願いします♪」

「アイナ、おかあさんにおなまえつけてもらったの!!」

「ふむむ??失礼ながら獣神族との家族なの?」

まぁそうなるよね。その問いにこう答えた。

「家族というか、その…」

「将来のお嫁さんですよ♪」

『お、お嫁さん!?』

……レナは話をややこしくしてしまったわ。

「はい♪今はまだですけど、いつかは結婚式を…」

「レナぁ~、話題逸れてるわよ~」

あたしは呆れた声で話題を戻した。

「まぁ、自由に思ってくれて結構よ。ただ、アイナは港町付近で保護したのよ。」

「なるほど、そうだったのかぁ」

ルナ王は納得してはいるものの、レナのせいでちょっと恥ずかしい…

「なんにせよ、今夜は城でゆっくり過ごすとよい!食事も出来たことだし、たくさん食べて疲れを取ってね!」

ルナ王はあたしたちを受け入れてくれた。

『ありがとうございます!』

「ありがとう~ござます~!!」

慣れない口調でアイナも礼をした。その後アルセナさんが料理を運んできてくれた。

「お口に合うか分かりませんが、フィアン王国の自慢料理兼奮起料理です。御召し上がりくださいませ。」

とてもいい香り。おそらくお花を使ってるわね。

お野菜のスープにご飯にお肉が乗ってて、食欲を誘ってくる。

お花をイメージしているようにサラダが盛られていて、綺麗!!

あたしちはフィアン王国の人達が受け入れてくれたことに感謝を込めて、食事したわ。

『いただきます♪』

「いた~だきますぅ!!」



「お部屋とお布団まで用意していただけるとは思ってませんでしたね♪」

食事を終えたあたしたちはまだ早いけど就寝準備をしていた。

「そうね。レナのお家どうしようか…」

マジックボックスに入れたままのレナの家。無許可で設置するわけには行かないからね。

「ルナ王様に相談してみますね?」

交渉する気満々なレナ。住み慣れた家に住める方が気が楽だからね。

「明日にしようか。アイナ、もう眠そうだし…」

隣でうとうとしてるアイナをなでなでしながら提案する。

「そうですね。今日はもう休みましょう♪」

「これからどうする?このままって訳にはいかないしさ。」

「そうですねぇ。明日それ含めて相談しましょうか。」

テラポカで何があったのか知ってるのはあたしたち。力になれることがあれば協力したい。

ショウ達も無事と分かったのなら尚更ね。うまくギルドとフィアン王国が協力関係を結べれば心強いだろうね。

「アイナ~おねんねしよっか」

「ん……」

眠そうなアイナを布団に寝かしつけ、あやす。

「私達もおねんねですよ~♪」

「じゃあ灯り消すよ。おやすみなさい!」

「はい。おやすみなさい♪」

アイナを中心にレナと手を繋ぎ、目を閉じる。

「うぅん…おかあさんとおかあさん……」

……アイナにとってはレナもあたしも「おかあさん」なんだろうね。

本当に敵意はない。でも『普通』じゃない。

だからなんだって話なんだけどね。アイナはアイナ。謎は後から解けばいい。これからは家族だからね。

アイナの寝言を耳に暗闇が訪れる……。



そういえば1つ言うのを忘れたわ。この物語には「主人公」なんていないわ。みんなの思いと物語によって語られる、未来を紡いでいくストーリー。



次回 『機械の少女とおとうさん』

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世界が愛した物語 かなすけ @usagikanasuke

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