第27話:バナナはお菓子に入らないんだよ、フレミングちゃん
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戦闘高度まで上昇しない前に、フレミングは各機の武装状況を確認しておくことにした。いざ命令した際に、当該機体が残弾ゼロではお話にならない。
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次々に報告が上がってくる。トリチェリ先輩は敵機をミサイルではなく機銃で撃墜していた。AMF-75Aは27mm六連装リボルバーカノンを機首左右両脇に各1丁、合計2丁内蔵している。給弾定数は550発×2。それぞれ毎分3,200発の発射速度で27mm弾を発射するが、ここで報告されている残弾数は1丁当たりのそれを示している。つまりキルヒホッフは10秒間程、トリチェリは8秒間程の射撃回数が残っていることになる。
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ケプラーはミサイル2発で敵機を撃墜した。ミサイル4発消費のキルヒホッフやミサイル2発と機銃弾160発のトリチェリより弾薬消費効率が高いと言えよう。尤もそれは、多分に運の要素が大きいのではあるが。
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パパン先輩は4発消費して1機撃墜、カルマンは今のところ
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圧巻なのはガリレイ先輩である。自らはただの1発も消費せず囮役に徹した挙げ句、
各機の報告を受けながらフレミングは作戦構想を練っている。敵は4機で
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あまり自己主張をしないカルマンが積極的に提案してきたことが嬉しかった。フレミングは感謝を述べつつ中隊に指示を行う。
「カルマン、提案ありがと。やっぱ、大気が見えるって凄いねぇ~。じゃぁ、みんな……
キャンディーマルーンの機体は軽くバンクを振ってから右に旋回する。
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高度35,000ftまで到達し敵
「中隊、
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両小隊はそれぞれ1辺500ftの
「パパン小隊は
「アタシが
「ガリレイは
両先輩が敢えて口に出すことにより、中隊全員の意思共有が再確認される。
「
各機に意思が伝わったところでフレミングが再度発令する。
「射撃判断は各機に任せる。
そう言ってフレミングは、自機の
「フレミーちゃんも、もぅ立派な中隊長さんねぇ~」
「各機、攻撃開始!」
中隊長の命令に、各自各様の応答が返ってくる。
「フレミーも気を付けて」
「ファーレンハイトちゃん、見てて」
「いくぜ!」
「High or High ?」
プランクの応答は相変わらずイミフではあるが、要は『見敵必殺』的な何かの成語なのだろう。何にせよ気合を入れ直した各機が、それぞれの目標を指向して急降下していく。
「ケプラーちゃん、やったわねぇ~」
「トリチェリ先輩、ありがとうございます」
ほっと胸を撫でおろしたフレミングの耳に、相変わらず意味の分からない戦果報告らしき声が聞こえてきた。
「三・連・単!」
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フレミング中隊が集結を終えた時、
「発、中部防衛航空軍団司令官パルティル、隷下所属全部隊に告ぐ。敵の撤退開始が確認された。各部隊は敵の引き際に合わせて適宜後退せよ」
パラティア軍もこれ以上の侵攻は諦めたようである。対地攻撃部隊のおよそ9割を消失したとなれば、たった4機-更に墜とされる可能性もある-で進軍を継続したところで戦略的にも戦術的にも無意味である。とにもかくにも、今回は
「みんなお疲れ様。とりあえず今のところは私達の勝ちってことね」
中隊を労うフレミングの言葉に、ガリレイ先輩とトリチェリ先輩が忠告する。
「まだ
「そうよ、フレミーちゃん、お家に帰るまでが遠足でしょ?」
こんな時ファーレンハイトがいれば『いやいやいやいや、今日はうち300円以内のお菓子なんてまじ用意してないし』などと突っ込んでいたことであろう。そんなことを想像して少し寂しく思ったケプラーは、
「バナナはお菓子に入らないんだよ、フレミングちゃん」
そんな想いが伝わったのか、ゆるふわ
「そんなことを言いますけどケプラー、コクピットブロックに常備されているパイロット用の非常食は、300円では買えませんことよ」
今や恒例の
「
「おいおい、プランクまで……勘弁してくれよ、オレらは『
「大丈夫。ガリレイ達、戦果は立派」
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「メーデー、メーデー、メーデー、こちら
「繰り返す、メーデー、メーデー、メーデー、こちら
「援けに行かなくちゃ」
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