第26話:心は熱く、シーカーは冷たく
「
「
敵対地攻撃機群との距離が100kmを切った。ようやくこちらの有効射程圏内に敵機を捉えたのだ。バーラタ軍としては今回の戦争で初めて、敵機に対してミサイルを発射する機会を得たことになる。
「コネクト、
フレミングは
「中隊全機、ミサイル発射」
フレミング中隊から合計32発の
「アウトレンジ作戦のお返しだぜ」
4日前には煮え湯を飲まされたパパン小隊長が吠える。敵機が
2078年8月14日0657時。この戦争が始まってから初めて、パラティア教国の戦闘機が撃墜された。
「
敵の動きを注視していた
「
「各機、
フレミングの命令に、各機とも
「さぁて、アタシらの出番だ。行くぜ」
「
「
フレミングは
******************************
ようやく敵機が視認できる距離まで迫ってきた。距離約20km。敵戦闘機群が対地攻撃機群に先行してくる。敵戦闘機群は
敵左翼中隊のうち、デルタの頭-
無論、そんな
「パパン先輩達は左から回り込んで敵右翼、
中隊長の命令にパパン小隊長は諒解を示しつつ、フレミング小隊の行動方針を確認する。
「こっちは了解だが、そっちはどうすんだ?」
「私達は中央正面突破の後、敵左翼に回ります」
中隊長の意を解した
「こっちを片付けたら、アタシ達もそっちに行くぜ」
「気を付けて……」
ガリレイ先輩からも激励が返ってくる。2人の先輩の気遣いがフレミングには嬉しかった。パパン小隊には何も心配していないフレミングである。パパン小隊は当面4対3の戦いになるのだが、パパン編隊が前2機を引き付けている間にガリレイ編隊が残る1機と相対する。そして、わざと
「キルヒーは
「
今頃各機は敵機をロックオンし、ミサイル発射の準備を始めている頃であろう。前方象限からのミサイルの射ち合いは、どこかチキンレースに似ている。ミサイルの発射が早すぎれば命中率を期待できないが、先に敵に発射されるとこちらは
「発射後はそのまま真っすぐすり抜けた後、トリチェリ先輩達は右旋回して
敵左翼の
「今!」
フレミングの合図に8発の短距離空対空ミサイルが発射される。
「ケプラー、1機撃墜」
小隊長としてケプラーの
「キルヒー、
「
背面から降下しつつ180度ロールで上空から敵を追尾するキャンディーマルーンとアンティークゴールドのAMF-75A。先ほどまで
「キルヒー、1機撃墜」
「やりましたわね、フレミー」
「フレミーちゃんも、キルヒーちゃんも、さすがに息ぴったりねぇ~」
2機を同時に撃破され動揺する
「トリチェリ先輩、1機撃墜ぃ~」
「BINGO!」
「ピンゾロの丁」
言葉の意味はよくわからないが、要するにプランクは2機のSS-20を撃墜したらしい。ファントムを囮にギャンブルするなど他人の命をベットするようなものではあるが、タネにされた当の本人は全く気にするようでもなく
「ガリレイ達はやった」
などと涼し気に言っている。ともかくもフレミング中隊は、敵3個小隊9機を相手に撃墜7、損害0という戦果を挙げたことになる。
「みんな、無事?」
「問題ありませんわ」
「ファーレンハイトちゃんもいるから大丈夫」
「フレミーちゃんは心配性ねぇ~」
「アタシらはまだ行けるぜ」
「まだまだ空は凪いでいるわ」
「ガリレイ達は問題ない」
「こいこい」
念のため確認した中隊長に、7人7様の返答が返ってくる。プランクの返答の、その言葉の意味はよく分からなかったが、とにかく全機無事らしい。そうであれば、やることはひとつ。
「
高度30,000ftを飛行する
「
フレミング中隊は高度を上げつつ、編隊を組み直した。
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