第25話:オスカー・ワンより中隊各機、まもなく戦闘空域に入る
マルーンの小隊長機を先頭にロリポップ小隊は高度20,000ftで編隊を組んでいる。マルーンの左後方1,000ftにはアンティークゴールドの
フレミング小隊の左後方5,000ftに占位したパパン小隊もフレミング小隊と同様の編隊を組んでいる。フレミング中隊8機は、
「
今回の
「全機、
「
隷下各パイロットから応答がある。それぞれに少しづつ緊張の成分を含んだ声音であるようだ。無論、フレミングにとっても初めての実戦である。パルティル司令官は先の巡航ミサイル迎撃を実戦における戦果であると評してくれてはいたが、その評価に最も納得していないのは
「フレミーちゃんがしっかりしてれば、うちの中隊は大丈夫なんだから、安心してね」
「そうだぜ、中隊長。アタシらもいるんだしな」
「ガリレイ達は問題ない」
40期の先輩達の激励が続く。左後方ではアンティークの機体がバンクを振っている。仲間の応援に意を強くしたフレミングが先の命令に付け加えた。
「みんな、ありがと。もうすぐ敵ミサイルの射程に入るけど、まずは回避に専念ね。いい?」
「
******************************
先行する001W、010Wと敵機群との距離が240kmまで近づいた時、敵戦闘機群から中距離ミサイルが発射された。およそ480発。両飛行群からも対抗ミサイルが発射される。敵ミサイル群が先行部隊まで160kmまで接近した時、フレミング達
「
フレミングは隷下中隊に命令を出しながら、自機にも
「
「中隊全機、ミサイル発射」
フレミングの命令により合計64発のミサイルが発射された。無論ファラデー中隊、テイラー中隊からもミサイルが発射される。およそ100秒後には敵ミサイル群に命中することであろう。少し遅れて敵側も、追加のミサイルを発射してきた。先にファラデー先輩が言ってた通り、240kmで4発、140kmで2発が彼らの必勝パターンなのであろう。
「中隊各機、敵ミサイルからロックされている人はいる?」
「
「
「
トリチェリ先輩は編隊の、パパン先輩は小隊の、それぞれ状況を知らせてくれた。黙っていても先輩達はフレミングの負担を軽くするように
「みんな大丈夫なら、これから上昇するよ。私についてきて」
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50km先行する001W、010Wが敵ミサイル群と会敵したようである。それぞれにチャフをばら撒きながら回避運動を行っているようであった。3個飛行群合計800発近くのミサイルを敵ミサイルへの対抗として発射したが、それでも尚200発近くのミサイルが味方機に襲い掛かる。
「
「
「
オープン回線を通して001W、010Wの混乱ぶりが伝わってくる。前方にはミサイルの爆発によるであろう火球が広がる。「
「こちら
ファラデー中隊マリア小隊長からの通信は、42期席次28位のノビーリが撃墜されたことを伝えてきた。
「ノビーリちゃん、無事に脱出できたかなぁ?」
「せめて……」
ファントムの異名を持つガリレイ先輩の囁くような一言が、無力感に苛まされるフレミングの胸を締め付ける。そう、せめて楽に死ねれば……
「ガリレイ、何湿っぽいこと言ってんだよ。アタシらにはやるべきことがあるんだ」
「そうね、パパンちゃんの言う通り、今は
少しだけ目を瞑り落ち着きを取り戻したフレミングは、再び目を開くと同時に号令する。
「みんな、今は上だけを見よう」
「
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