第14話アーティファクト・・・

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数時間後…

ティナ「着いた〜!」

ティナが、そう言った場所の前には、少しの振動で崩れてしまいそうな小さな家があった。

陽太「ここがアーティファクトを修理してくれるとこなのか?」

ティナ「そうだよ。」

そう言ってティナは、家の中に入って行った。

陽太「行くか。」

エリス「えっえぇ、そうね。」

中に入ると想像を絶する光景が広がっていた。

陽太『うん、日本で言うゴミ屋敷だな。』

そう中はゴイルの店みたいに武器や、棚は一切無く床には酒瓶が転がっていた。

ミエル「何ここ、ゴブリンの巣?」

エリス「あまり、触れないでいましょう。」

ティナ「カミエル〜。」

ティナ「ティナだよ〜私のアーティファクトを、取りに来たんだけど〜!」

ティナがそう言うと。

(ガサガサ…パキッ…ガチャ…)

何か変な音を立てながら奥の扉が開いた。

カミエル「ん〜…ティナかい?」

そう言ってカミエルらしい、褐色肌の女性が出てきた。

ティナ「そうだよ、カミエル…またお酒飲んだでしょ⁉︎」

カミエル「ん〜〜たかが20本だよ〜。」

陽太『酒臭い…』

ミエル「酔った冒険者よりも凄い匂いがします…」

陽太『あっ、冒険者よりも凄いんだ。』

ティナ「絶対に嘘でしょ‼︎」

カミエル「え〜?」

カミエル「ん〜…あ!30?いや35本だけだよ〜。」

陽太「…え?」

陽太「35本⁉︎」

つい思った事を口にすると。

カミエル「ん?あんたら誰だい?」

カミエルの声色が変わり、そう尋ねて来た。

ティナ「カミエル、あんたらじゃなくて、私の冒険者パーティーの仲間で、勇者と王女様とギルドの副ギルドマスターだよ。」

カミエル「ティナ…本気で言ってるのかい?」

ティナ「そうだよ。」

カミエル「そりゃ悪かったな、王女さんとギルドのNo.2さんと、異世界人さん。」

ミエル「No.2?」

陽太「異世界人って。」

ティナ「ごめんね、カミエルってお酒を飲むと人が変わるからさ。」

陽太『あ〜酔うと性格変わる人か、なら。』

陽太「えっと、カミエルさんちょっとすいませんね。」

そう言って俺は、カミエルに回復魔法をかける。

陽太「ヒール」

すると…

カミエル「ん?」

ティナ「大丈夫?カミエル?」

カミエル「何でティナが、ここに…」

カミエルがそう言って俺と目が合った。

カミエル「あんた、誰だ?」

陽太「あ!陽太と言います、一応この世界に勇者として、呼ばれた物です。」

カミエル「勇者?えっと、ティナそいつが、勇者なのか?」

すると、ティナが呆れた声で。

ティナ「はいそうですよ、陽太さんは、勇者様で、横にいらっしゃるのが、この国の王女様のエリスさんとギルドの副マスターのミエルさんです。」

するとカミエルがティナを自分の方に寄せ俺らに背を向けて何か話し始めた。

カミエル「……なぁティナ、私酔ってる時に何か失礼な事してないよな?」

ティナ「・・・」

カミエル「え?」

ティナ「・・・」

カミエル「して…ないよ…ね?」

ティナ「はぁ〜エリスさんには、してないよ。」

カミエル「え?王女様にはしてないって事は、他の人にはしちゃったの?」

ティナ「うん!陽太とミエルに異世界人さんとか、ギルドのNo.2さんとか言ってたよ。」

カミエル「・・・」

すると、カミエルが俺とミエルの前まで来て…

カミエル(バッ!)

カミエル「本当に、申し訳ございませんでした‼︎」

見事な土下座をしたのだった…

陽太「え?」

ミエル「どっどうしたら良いんでしょう⁉︎」

カミエル「酔った勢いとは、いえ勇者様と副ギルドマスターに、無礼な事を言ってしまい、どうかご慈悲を‼︎」

陽太『??え?』

陽太「なぁ、ミエル勇者と副ギルドマスターってそんなに偉かったっけ?」

と、小声で聞くと。

ミエル「勇者様は、世界を救う救世主なので、地位は高いですが…副ギルドマスターは、そこまで地位は高く無いはずなんですが…」

と、小声で返って来た。

陽太『だよな?』

陽太「えっとひとまず、怒ってないので頭を上げて普通にしてください。」

カミエル「でっですが!」

カミエルが、そう言うと…

(バシッ‼︎)

カミエル「痛ったい!」

カミエルは、叩かれていた…

カミエル「ティナ…何で叩くんだい?」

そう、カミエルの頭を叩いたのは、ティナだったのだ。

ティナ「ねぇ、カミエル?そんな事をしたところで迷惑になるだけだと思わないの?」

陽太『え?ティナが…怒ってる?』

カミエル「えっと…」

ティナ「…カミエル…ちょっとそこに正座して?」

カミエル「へ?」

ティナ「良いから正座して?」

カミエル「はっはい‼︎」

ティナに、そう言われたカミエルは、勢いよくその場に正座した。

すると横から…

エリス「ねぇ、陽太ティナって、あんなに怖かったっけ?」

陽太「そんな事はないと思うんだけど…」

カミエルの方を見るとカミエルは、涙目になっていた…そしてティナは、と言うと俺たちに背を向けているので、表情は見えないが、ティナの周りは赤く燃えている様に見えた。

ティナ「良い?カミエル…ただでさえ今日、アーティファクトを取りにくるからお酒は飲まないでね。」

ティナ「って、言ったのに35本も飲んでて、陽太さんとミエルさんに失礼な事を言ったのは、まぁ良いよカミエルはお酒が大好きで飲んだら頭が回らなくなりやすいって言うのは知ってるから。」

カミエル「はい…」

ティナ「酔ってて、変な事を言って、謝罪のためにカミエルが土下座をしたって言うのも分かるよ。」

カミエル「はい…」

ティナ「それを陽太も分かってて、許してくれたのに、何でもっと迷惑になる事をするのかな?」

カミエル「本当にごめんなさい。」

ティナ「私に、謝られても意味ないんだけど?」

ティナがそう言うと、カミエルがこっちを向いて…

カミエル「陽太さんミエルさん、この度は本当にすいませんでした。」

ミエル「カミエルさん、大丈夫ですよ。」

陽太「大丈夫だよ、そんなに、謝る事ないからね?」

ティナ「本当に良いんですか?」

ティナ「最悪、カミエルを1週間騎士団の武器の、整備と修理をさせようと思ってたんだけど。」

陽太「ティナ?そんな事させなくて良いからね?」

ティナ「そうですか…ならこの事は終わりで、本来の目的をしましょうか!」

陽太『切り替わりが、激しいな…』

エリス「そうですね、ティナさんのアーティファクトを取りに来たんですよね。」

カミエル「そっそうだよね!」

カミエル「ちゃんと、修理出来たから着いてきて。」

そう言われ、着いていくと、作業場と書かれた、部屋に着いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〈作業場〉

そこには、鍛冶場に似たような物が置いてあった、鍛治台、溶鉱炉、金床、ハンマーなどが置いてあった。

陽太「凄いな、さっきの場所と比べると、凄くちゃんとしてる…」

そうやって、部屋を見ているとカミエルが何か剣の持ち手の用な物を持ってきた。

カミエル「はい、ティナひとまず一つだけ渡しとくね。」

陽太『ん?一つは?』

ティナ「ありがとう、本当にカミエルは、腕が良いんだから、王宮とかに使えたら良いのに。」

カミエル「そんなの、面倒だよ私はここでコツコツ物作りをするのが性に合ってるんだよ。」

ティナ「そっか。」

カミエル「ところで、ティナ試すんだろ?」

ティナ「出来たらね。」

カミエル「なら、今日は裏庭に何もないからそこで試しな。」

ティナ「ありがとう、そうさせてもらうよ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〈裏庭〉

陽太「なぁ、ティナちょっとそのアーティファクト、見せてくれないか?」

ティナ「良いよ、はい。」

そう言ってティナは、アーティファクトを渡してくれた。

陽太『これが、アーティファクト…持ち手の長さは、片手剣と同じくらいでも、刃が短い、持ち手が15センチぐらいなのに刃が5センチぐらいしか無い。』

陽太「ありがとう。」

そう言ってティナに、アーティファクトを返す。

ティナ「変な形でしょ?」

陽太「え?」

ティナ「持ち手は、16センチもあるのに、刃が7センチしかないんだよ。」

ミエル「え?それって、使い物になるの?」

ティナ「うん、このアーティファクトはね、魔力を流すと…」

(ガシャン)

その音と共にティナの持っていたアーティファクトが、片手剣になっていた。

エリス「凄い…」

ティナ「こんな感じに、形が変わるんだ。」

ミエル「さっきの短刀もそうでしたが、この片手剣も凄い業物ですね。」

ティナ「えっ…そっそうかな〜。」

陽太「と言う事は、このアーティファクトの能力は、武器の形を変えれるっていうことか?」

ミエル「そんなのって、反則的な、強さなんじゃ…」

エリス「何で?」

ミエル「だって、あの一つだけでダンジョンや、魔物の討伐に行く時に武器を何種類も、持って行けるって言う事なんです。

ミエル「普通はパーティー内で戦闘をあまりしない荷物持ちが、いるんだけど、ティナさんの場合その荷物が格段に減らせるという事です。」

ミエルたちが、そんな事を言っている途中に、ティナに、さっき気になった事を聞いてみる…

陽太「なぁ、ティナちょっとさっきのカミエルとの、会話で気になったんだけど…」

陽太「ひとまず、一つは返しとくって事は何個かアーティファクトを持ってるって事だよね?」

ティナ「あ〜あバレちゃった、後で実はまだ持ってました〜って驚かせようと思ったのに。」

エリス「え?」

ティナ「そう、私のアーティファクトは、これと同じ物が後5個あるんだ。」

ミエル「‼︎って言う事は…ティナさんは、アーティファクトを6個も持っていると言う事ですか⁉︎」

エリス「そんなに同じ物があっても役に立つんですか?」

ティナ「まぁ、そう思うよね、私のアーティファクトは、特徴的でね、能力は、アーティファクトの保持者が作った、武器や装備品を吸収して、その武器や、装備を自由に切り替えたり取り出したり出来るんだ。」

ティナ「まぁ、このアーティファクトは、保持者が作った装備品しか吸収しないけど、吸収さえしてしまえば魔力により、防具から武器に切り替えたり、吸収した装備を、取り出したり出来る能力なんだ。」

陽太「なるほど、ティナは鍛治師だから、作り出す事は、いくらでも出来ると言う事か…」

陽太『確かに相性が良い、って言うかティナのためにあるようなアーティファクトだな。』

陽太「なぁ、ティナそのアーティファクトって聖剣とかって吸収出来るのか?」

ティナ「分からないです、出来るんですかね?」

すると、突然…

カミエル「やめときな。」

と、作業場にいたカミエルが出て来てそう言った。

ティナ「どうして?」

カミエル「アーティファクトって言うのは、神器級、伝説級、幻級、宝物級、上級、中級、下級、の計7階級があるんだ、そして聖剣は神器、つまり1番上なんだ…そしてティナのアーティファクトは、あっても宝物級だから、ティナのアーティファクトに聖剣を取り込もうとすると、ティナのアーティファクトが、壊れるかもしれない。」

陽太「なるほど…聖剣ってやっぱり凄いんだな…」

ミエル「アーティファクト…凄いんですね…」

陽太『あ!そっか、ミエルからしたら、今の時間は暇なだけだよな…』

陽太「なぁ、皆んなもうそろそろゴイルのとこに行かないか?」

エリス「あっ!そうですね、行きましょうか。」

ティナ「ミエル、ごめんね…」

ミエル「え?急にどうしたの?」

ティナ「えっと、何でもないよ。」

陽太「ひとまず、ゴイルのところに行こうか。」

陽太「ゲート」

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よくある異世界転生?召喚?をされてしまったらしい。 コゲツ @ituskikana

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