風邪は万病の元
「起き上がれる?…」
「…」
こくりと頷き状態を起こす。と、ほのかに甘い香りがした。
「これ、ホットチョコレート。固形は痛いかなと思ってね。喉にいいんだよ」
「……」
「火傷しないようにね」
落とさないようにカップを両手で持ち口に含む。口に広がる温かく深みのある甘さに感動する。
「……!おいし…」
「よかった…」
少し飲むとまたベッドに横になる。
何気に送ってきてもらったことはあったが部屋に入れたのは初めてだ。参考書だらけの棚に、勉強机と椅子くらいしかない。音楽好きがこの部屋を見たら幻滅するんじゃないだろうか。
「…君は本当に真面目なんだね」
「…勉強以外なにもしてこなかったからですよ。楽器も予備校が始まってからは殆ど触ってません」
部屋のドアが開く
「お茶がはいりましたわ…よければゆっくりお仕事の話でも聞かせてくださいな…!」
「えぇ、ありがとうございます。わざわざ…すぐ帰りますから」
「いえいえ!これからお世話になるかもしれないのに…!」
「ははは、だそうだよ。じゃあ少しだけ…すぐいきますから…」
「お待ちしてますね…」
部屋の扉が閉まると勇さんがまたこちらに向き直る。
「じゃあぼくはそろそろ行くよ。葦吹くんは少し休みなさい。あと、食べられそうなときには何か優しいものをお腹にいれた方がいいよ」
「じゃあね、バレンタイン風邪ひき葦吹くん」
ちゅ、と額にキスをされる…。
「//////?」
椅子から立ち上がり部屋を出て行く勇さん。
たまには風邪をひくのも……ダメか……
大事なバレンタインなのに風邪をひいちゃう葦吹くんの話。
〜バレンタインって素敵❤︎.* ss置き場〜 ガンジー @soreai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます