第418話 大罪の愚神
この広大な第八天に、たった一つしかない≪
まずはこの異様な気配の静けさだ。
見たところ第七天のように荒れ果てた様子はないのに生命の瞬きというか、気配がまったく感じられなかったのだ。
すれ違ったある惑星の表面に発展した都市の姿を見つけたので、その様子を詳しく見てみたのだがそこに暮らす人の姿は無く、同じ星の他の都市たちも同様であった。
人だけではない。
鳥も野生の動物も、動くものは何一つ存在しない死の星だった。
ほんの少し前まで人々が営みを続けていたかのような痕跡はあるが、屍などは無く、まるである日忽然と姿を消してしまったかのような不思議な状況だった。
その後もいくつかの星に同様の痕跡を見つけたが、少なくとも付近の星には生物の姿を見ることはできなかった。
これらの星々の内のどれかがきっと自分が生まれ育った星なのだろうと思うが、この異様な状況を目の当たりにして感じられるのは、懐かしさではなく不気味さだった。
それと一つしかないと思っていた≪神力≫だが、どうにも近づくほどに一つではないのではないかという気がしてきた。
これまで出会ったどの神よりも強大な≪神力≫ではあったのだが、その中に複数の
本来クロード以外の神は単一の属性しか持っていないという話だったが、複数属性の神がいてもおかしくはない。
だが、その有様はまるで異なる属性の≪神力≫の
一か所に押し込められ蠢いている。
そんな印象であった。
そして≪神力≫の大きさも気になった。
第六天辺りの神と比べても大きすぎる。
たった二つの次元階層の違いだけでこれほどまでに違うものなのか。
少し先で感じられるこの≪神力≫は、大きさだけなら今のクロードに匹敵しそうな大きさだった。
クロードはさらに気を引き締め、細心の注意を払いながらその≪神力≫の在る場所に近づいてゆく。
やがてひときわ大きいガス惑星を背に、まるで座禅をする修行僧のような姿勢で目を閉じ待ち構えている神の姿があった。
それは物質的なものではなくあくまで≪人様態≫の
だがその心象は不安定で揺らぎ、まるで別の何かに変貌してしまうのを必死に押しとどめているそんな印象であった。
まるで複数の≪神核≫が癒着したような、異様で歪な形の≪神核≫。
このような神は今まで見たことが無かった。
目まぐるしく移ろう属性の原因はこれであろうかとクロードは考えた。
「……あれは、ルオ・ノタルは本当に優れた娘であった」
その神は、独り言のようにクロードの知るいくつかの単語を交えた述懐をし始めた。
「数多く産み出してきた神の中で最も儂の美点を受け継いでいた。創造性、発想力どれをとってもあのような最下層の第一天などで終わる器ではなかった。特に儂の考案した≪神力≫内蔵人類に発想を得たらしい≪魔力塊≫内蔵人間の出来栄えは見事だった。≪神力≫の消費コストを低減させ、なおかつその成長により疑似神とも言うべき魔力生命体にまで昇華させることを可能にした。あれの着想には儂も大いに刺激を受けた。あの忌まわしい出来損ないのヒルコなどにそそのかされたりしなければ……」
「あなたがガイア神ですね。俺を創り、そしてあのルオ・ノタルの世界に転移させた」
「いかにも。儂がガイアだ。第八天の主神などともてはやされたのはもはや今は昔。自ら創作した
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