第373話 機械神の排除
≪恩寵≫と≪スキル≫を人類に付与する存在である≪
クロードなりに考えてみた。
自らも経験済みなのだが、≪恩寵≫によらなくても、練習を積むことで技能の習得は可能であるし、適正な負荷でトレーニングすれば、それに見合った身体能力的成長も見込める。
それに、≪
異常に力を増した個人が社会全体を揺るがすような事件も起こらなくなるだろうし、平和で、ある程度の公平が保たれた社会に一歩近づく気がするがどうだろう。
≪恩寵≫が発生すると全ての能力値が一定の比率で上がり、時折、それに付随してスキルを授かることもある。
クロードの場合は元にいた世界の記憶一つと引き換えにスキルを必ず一つ得ることができるが、この仕様は何故かクロードにのみ適用されているようで、リタやゲイツなど他の≪異界渡り≫には発生していないようだった。
なぜ自分だけ他の≪異界渡り≫と違うのか。
この疑問については未だ答えが出ていない。
この異世界にもともと暮らしていた人々や他の≪異界渡り≫の場合は、恩寵時にスキルが与えられることは稀で、四、五回に一回あればいい方なのだという。
与えられるスキルも各人の日常の行動に関係しているものが多いらしく、クロードがこれまで得てきた高レベルのものや人が驚くような特殊技能ではないようだった。
それでもやはり≪恩寵≫のもたらす影響は大きく、一回の≪恩寵≫の前後ではまるで別人のような成長を遂げることもあるそうで、その成長率は個人個人で相当ばらつきがあるらしい。
軍人、冒険者、狩人など、この異世界の動植物や魔物を殺傷するような機会の多い職業は他の職業と比べるとどうしても≪恩寵≫の発生が多く、他の職業とは同じ種とは思えないほどの能力差が出てしまう。
もっともこうした仕組みについて正確に理解し、意図的に≪恩寵≫を発生させ、自己を高めようなどと考える者は、この世の理について深く追求する魔道士や≪異界渡り≫ぐらいのもので、その他の人々についてはただ神からの賜りものだということぐらいの認識しかないらしい。
この異世界に住まう人々の社会的、文化的成熟を妨げているものが≪
二人はルオ・ノタルがいなくなった後も、アヌピア都市遺跡の中心部にある≪箱舟≫に残り、この異世界全体の監視と様々な研究を行っているようだ。
異世界外から漂流神が流れ着いたり、異変の兆しを発見した場合は、知らせてくれることになっている。
オディロンはクロードとの約束を守ってくれたようで、この施設のことやオルフィリアの出生にまつわることについては明かしていないらしい。
今も時折、父親役を演じつつ、アステリアの冒険者ギルドで頑張っている彼女のもとを訪れ、親子としての時間を過ごすようにしてくれているようだった。
クロードの訪問理由を聞いた二人は、興味深そうに話を聞いた後、何やら難しい顔になった。
この異世界からの≪
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