第334話 一つの疑問
最下層次元であるこの≪第一天≫に残り、≪世界≫を豊かに導くことで信徒を増やし、信仰を集めて次元の底を打ち破るほどの≪神力≫を蓄える。
マザ・クィナスがクロードに伝えた課題は驚くほどシンプルなものだった。
だが、ここで一つの疑問が浮かぶ。
それほどまでに≪唯一無二の主≫とやらの言いつけ通りにしたいのであれば、なぜ≪第二天≫以上の全ての神たちは手をこまねいているのであろう。
それらの神たちが力を結集すれば、最下層次元の最下級神が悪あがきするよりよっぽど達成の可能性が高いのではないか。
「
「いや、もう十分だ。俺はここに残って為すべきことをする。それでいいだろう」
「うむ。だが、気を付けることだ。この≪第一天≫には、このルオ・ノタルの≪世界≫以外にもまだたくさんの≪世界≫がある。現状、汝が≪第一天≫で最も力のある神にはなったが、そのすべてを掌握したわけではないことを忘れるな。上位次元神たちは、自らが生み出した≪神≫を今後も送り出してくるであろうし、≪第一天≫の他の神々もお前の≪世界≫を奪わんと狙ってくるかもしれん。何しろ汝はこの≪大神界≫でただ一人の異端の神。快く思っておらぬ神も多い」
マザ・クィナスはちらっとパーヌリウスを見やり、そしてクロードの方に歩み寄るとその肩に手を置いた。
「これで、伝えるべきことは一通り伝えた。あとは君の選択が正しからんことを祈るばかりだ。新しき神ディフォンのこれからの健闘を祈っておるよ」
そう言うとマザ・クィナスは来た時のように巨大な光の柱の中に消えた。
「じゃあディフォン、わからないことや困ったことがあったら、私のことを思い浮かべながら、呼び掛けろ。私も忙しいけど、できるだけ早く駆けつける……と思う」
第三天の神エナ・キドゥはそう言って、クロードに向かってウインクすると、こちらを
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