第311話 目前の平穏

バ・アハル・ヒモートを退けてから今日までのおよそ三年間でクロードが駆除した漂流神ひょうりゅうしんは四体。


火神スニク。

音楽神ポロン。

水神ホーヤウ。

鍛冶神バルカイン。


いずれも弱り切り、消滅を免れるのがやっとという状態で、≪亜神同化≫により取り込んでもさほど≪神力≫の増加は見込めなかった。

不本意ながら、現人神クロード聖教会なる怪しげな新興宗教の影響で増えた信仰心由来の≪神力≫の増加量の方が多いくらいだった。


現人神クロード聖教会というのは、ラジャナタンの神官であったメレーヌが断りもなく勝手に立ち上げた団体で、ミッドランド連合王国の領土内で布教し、異様なほど信者を増やし始めている。

今のところ問題を起こすようなことはしていないようだが、ある一定の規制はかけなくてはならないとクロードは感じ始めていた。



元≪使徒≫のゲイツが持つ≪超鑑定≫というレアスキルにより、クロード自身のステータスを確認してもらったところ、≪御業≫の方はかなりできることの幅が広がった。


名前:クロード

恩寵:14

種族:識別不能

神格値:1(12)

神力 : 438(20988)


筋力 - 342

敏捷力 -342

耐久力 - 342

知覚 - 342

魔力 - 626

魅力 - 38

≪スキル≫

異世界間不等価変換(ガイア→ルオ・ノタル)、頑健LV5、五感強化LV5、多種族言語理解LV5、危険察知LV5、馬術LV3、投擲LV5、魔力感知LV4、古代言語理解LV5、毒耐性LV5、剣術LV4、魔力操作LV4、精神防御LV5、狼爪拳LV3、政務LV3、手加減LV2、水泳LV5

≪EXスキル≫

異次元干渉、亜神同化、次元回廊 、自己再生、異空間収納、鑑定眼(全技能)

≪御業≫

創世神業 - 肉獄封縛により使用不可

火神業 - 発火、火炎操作、物質創造、神火

石神業 - 岩石操作、岩石創造、部分鉱石化

天空神業 - 発光、光操作、天候操作、神雷、飛翔、物質創造、姿形変化、天空視

音楽神業‐絶対音感、楽器把握、音波操作、演奏神技

水神業‐真水創造、水質浄化

鍛冶神‐鍛冶神技



デミューゴスとゲイツを上位次元である≪第二天≫に送り出すためには、まだまだ≪神力≫の総量が足りないらしく、出来得るなら漂流神ではなく、保有神力が多い≪九柱の光の神々≫を取り込んでほしいというのが彼らの最近の意見だった。


デミューゴスたちには、自身がルオ・ノタルを取り込んだ影響で残る≪九柱の光の神々≫の居場所を把握していることは伝えていない。


クロードとしてはデミューゴスたちの目的にあえて協力的な姿勢を見せてはいるものの、「下位次元から上位次元への移送」が本当に何も問題が無いのかわからないこともあり、もう少し様子を見たいというのが本音だったからだ。


一度偶然にも、上位次元に越えかけたことがあったが、≪肉獄封縛≫という術によりこの≪世界≫に引き戻されてしまったことがある。

次元間の超越を制限し、管理する存在をその時に感じたが、そうである以上妨害などもあるかもしれないし、すんなりと事が運ぶとは考えにくい。


このクローデン王国による魔境域の侵略で、デミューゴスの忠告の通り、動きを見せる神がいるのであれば、自分が対処するしかないのは間違いないが、≪九柱の光の神々≫にはもうしばらく大人しくしていて欲しいとクロードは思っていた。


この三年間で記憶を失う≪恩寵レベルアップ≫も発生せず、とても穏やかな日々が続いた。

シルヴィアとの幸せな時間と君主としての充実した日々。

劇的な変化など求めていないし、今はただ目の前の平穏を守りたい。

それだけだった。

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