第253話 鍛冶仕事
ドワーフ族は古来より伝わる特殊な製法により魔鉄と呼ばれる魔力を帯びた特殊な金属から≪
≪魔鉄鋼≫で作られた剣は、通常の鉄製の剣に比べて特段、切れ味が優れているというわけではないらしいが、粘り強く刀身の耐久性に優れている。
魔鉄が帯びた魔力により、死霊や物理的な実体を持たない魔法生物などにもダメージを与えることもできるし、魔力に対する
かなり特殊な使い方だとは思うが、クロードのように具現化された魔力を剣に
クロードが打ち直しを依頼してまで、≪魔鉄鋼の長剣≫に
だが、この愛用の長剣には何度も危機を救われており、深い
クロードは台の上で鈍い輝きを
表面に付着した煤の下は驚くほど
「我らドワーフとしてもこのような≪鋼≫は初めてで、是非加工してみたい。不純物が少なく、強度もあり、何より美しい。
バイゼルの悔しそうな言葉に、自然と集まってきた弟子たちも頷いていた。
≪魔鉄鋼≫が変質してしまったのは、超高熱や神気の宿った炎による影響かもしれないがこれについては調べようにも誰に聞けばよいのかわからない。
「熱さえあれば何とかなるのか?」
「ええ、それは。ですがこの≪
クロードは、もう一度金属塊に向き直ると、袖をまくり右腕を火神オグンの特性を色濃くした≪
炎の≪
今なら体の三分の一ほどを、取り込んだ神々の特性を帯びた≪
クロードは神気により生み出された炎の手で、金属塊に触れ、徐々に温度を上げていく。
炎は赤から目まぐるしく色を変えていき、やがて≪魔鉄鋼の長剣≫を溶かした白色へ。
室内に熱気がこもり始め、バイゼルたちが背後で動揺の色を表し始めた。
「おっと、やりすぎるところだった」
少し、火力を抑え、黄色の炎に近づくように調整する。
金属塊も徐々に熱を持ち、やがて赤く瞬き始めた。
「バイゼル殿、このくらいで良いのかな?」
振り返り声をかけると、呆然としていたバイゼルが我に返り、弟子たちに指示を出し始めた。
「急げ、命に代えてもこのひと振りを地上最高の
にわかに作業場が活気付き、周囲が慌ただしくなる。
クロードは邪魔にならぬように部屋の隅に移動し、初めて見る鍛冶仕事を興味深く眺めていた。
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