第206話 識別不能
確か以前、四、五人の野盗を生け捕りにした時も恩寵が発生したことがあったので、あるかもしれないとは思っていた。
オロフたちとの稽古では発生しなかったので、相手の肉体の損傷の比率あるいは再起不能にするなどの条件があるのかもしれない。
命を奪ってしまった時よりは恩寵が起こりにくい気がするので何らかの差異はあるのだろう。
名前:クロード
恩寵:11→12
種族:識別不能
神格値:1(8)
神力 : 438(8821)
筋力 - 258→283
敏捷力 -258→283
耐久力 - 258→283
知覚 - 258→283
魔力 - 470→517
魅力 - 35→38
≪スキル≫
異世界間不等価変換(ガイア→ルオ・ノタル)、頑健LV5、五感強化LV5、多種族言語理解LV5、危険察知LV5、馬術LV1、投擲LV5、魔力感知LV3、古代言語理解LV5、毒耐性LV5、剣術LV3、魔力操作LV3、精神防御LV5、狼爪拳LV2、政務LV1、手加減LV1
≪EXスキル≫
異次元干渉、亜神同化、次元回廊 、自己再生
≪御業≫
火神業 - 発火、火炎操作、物質創造
石神業 - 岩石操作、岩石創造
何かもう色々変わりすぎて混乱しそうだ。
記憶できる分、記憶しておいてあとで書き起こし、じっくり検討してみよう。
種族は識別不能になっているし、ステータスの項目も増えている。
前は確か、魔人(ガイア)だったはずだが、つまり今はもう人ではないということであろうか。
事務的で無機質な女性の音声が脳内に響く。
『レベルアップを確認しました。異世界間不等価変換を開始します。変換に使用する記憶を60秒以内に選んでください』
①母親の存在
②祖父母の名前
③6歳時の記憶
④父親の存在
また今回もランダムを装いつつも、父母の存在が選択肢に入っている。
よほど、この二項目は消去したいらしい。
時間切れの際に自動的に選ばれると思われる一番目に母の存在があるのは偶然ではないと思う。
そして②の祖父母の名前だ。
前は確か父方の祖父の名前という選択肢だったと思うが、今回は父方母方の祖父母が一括りにされている。
どちらも同居の親族ではなかったし、お盆や正月に遊びに行くぐらいの間柄だったが、小さい時からたくさんかわいがってもらったし、小遣いやプレゼントもたくさんもらった。
特に母方の祖母などは、一番かわいがってくれたので特に楽しい思い出が多い。
③の6歳時の記憶も小学一年生の頃だし、影響は大きすぎる。
どの選択肢も安易に選び難い。
②の祖父母の名前は父母の名前を消失してしまっているせいで下の名前しか思い出せない。
消えてしまう記憶の情報量で比較するなら、もう②を選ぶしかないのが実情だ。
それがわかった上で、父方母方ひとまとめにしてきたとは考えられないだろうか。
ああ、時間が迫ってきた。
こんな大事な選択を決めるのに、六十秒は短すぎる。
しかたない。今回は②だ。
『祖父母の名前を変換します。「祖父母の名前」はスキル≪水泳LV5≫に変換されました』
水泳LV5。
嬉しくないわけではない。
ただ少し拍子抜けしてしまっただけだ。
実のところ水泳はあまり得意ではなく、いくらバタ足しても次第に沈んでいき、25メートルのプールをクロールで到達するのがやっとという感じだったから、苦手分野の克服という意味ではプラスにはなると思うが、どうせ記憶を失うのなら、もっと実用的なスキルが良かったなというのが本音である。
祖父母の名前と引き換えに得られた水泳LV5。
まあいい。
元の世界に戻れたら水泳選手でも目指してみようか。
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