第181話 女
荒れ果てた岩石だらけの寂しい風景が、あたかも映像が映った液晶画面を叩き割ったかのように崩れ落ち、元の室内に戻った。
とは言っても、奥の祭壇に祀られていた黄色い石は砕け散り丸柱の多くはへし折れ、焼け焦げて、天井も屋根も無くなっていた。
どういう仕組みになっているのかわからないが、どうやらあの不思議な空間で起こった現象は元の世界にも多少の影響を与えるようだ。
爆散した
クロードの脳裏に爆散した
ヴィジョンの中の
長きにわたる試行錯誤と世界創造で
そこに現れたのが同じ第二天の次元神だった。
どうやら神々の中には弱った神の作り上げた≪世界≫を奪うことで自らの力をさらに増そうとする≪魔神≫と呼ばれる悪神がおり、
闘い敗れた
「うう……、誰か」
女の消え入りそうな呻く声に我に返った。
周囲を探してみると、吹き飛んだ屋根や瓦礫の下敷きになっている女がいた。
服装からするとこの建物の前にいた顔中刺青だらけの女かと思われたが、なぜか刺青は消えていた。
クロードは下敷きになっている女に崩れ落ちないように慎重に瓦礫をどかすと、怪我がないか調べてみた。左上腕の辺りに血の跡があり、何かで抉られたようなひどい傷があった。出血がひどく、女の顔色も蒼白だった。
爆散した
このままでは命の危険があると判断したので、人差し指と中指を≪
痕は残ってしまうかもしれないが、これで出血は止まるはずだ。
女は意識が混濁しているようで、小さな声は上げたが、ぐったりとして身動きできないようだった。
クロードは女を抱きかかえると、下り坂を進み、族長の家へと急いだ。
集落内に医術の心得がある者がいれば良いが、いなければブロフォストあるいは大きめの町まで運ばなければならない。
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