第5話 綺麗な先輩
ハルキ 「もらっていい?」
ナツ 「どうぞ」
ハルキ 「ん、この煎餅おいしい」
ナツ 「そう、よかった」
ハルキ 「あー、もう3月かぁ」
ナツ 「あっという間だねぇ」
ハルキ 「ほんと。そういえば、昨日は受験の下見っぽい子が学校に来てたっけ」
ナツ 「そっか、受験だっけ。懐かしいなぁー」
ハルキ 「ねー。私らも去年まで制服着てたんだよなー」
ナツ 「そうだねー。ほんとに、あっという間だ」
ハルキ 「制服かー。ナツは学級委員長とか生徒会とかやってそう」
ナツ 「んー? そういうのはやってなかったよ」
ハルキ 「え、そうなの? 意外。なんかの長とかやってそうなのに」
ナツ 「肩書きだけなら文芸部の部長はやってた」
ハルキ 「あ、やっぱりやってたんだ」
ナツ 「まぁね。私が卒業して廃部になったけど」
ハルキ 「一人だったの?」
ナツ 「いや? 部内で色恋沙汰があった」
ハルキ 「あー……。ナツは確かにモテそうだよね」
ナツ 「いや、私は関係ないよ。一個上にすっごい美人の先輩がいたんだけど、他の女の子たちがその先輩を巡って大喧嘩」
ハルキ 「おーう……」
ナツ 「その先輩が引退するときに『任せた』って死んだ目で言われたなぁ」
ハルキ 「怖いなぁ」
ナツ 「怖かったよー。その先輩も頼りになって、影があって、それでちょっと弱いところもある美人だったから、そりゃモテますわって感じだった」
ハルキ 「弱いところ?」
ナツ 「うーん……。みんなに優しい分、特定の人に依存気味になるんだよ。めっちゃ甘えたり、めっちゃ甘やかしたりしたくなるんだって」
ハルキ 「……なー、るほど? 例えば?」
ナツ 「んー……。 後半の方とか毎日愚痴を聞かされてた。他の子にバレたら私も巻き込まれるからって話聞くだけでも気を使ったなぁ」
ハルキ 「そー……なんだねー。大変……だったんだ……ねー……」
ナツ 「何、その反応……」
ハルキ 「いやあ?」
ナツ 「……一応断っておくけど、私の方は何もなかったから。ただ聞いてほしいっていうから聞いてただけで」
ハルキ 「ほーん?」
ナツ 「待って、本当に何もなかったから。引退してからも先輩の卒業式のときと、廃部が決まったって話をしたときに会ったくらいで」
ハルキ 「まぁー、そういうことにしておこう」
ナツ 「そういうことってどういう」
ハルキ 「いいじゃないの。ところで聞きたいことがあるんだけど」
ナツ 「はぁ……何?」
ハルキ 「なんでナツは追試課題やってるの?」
ナツ 「……課題を出し忘れていたことが発覚したからですが?」
ハルキ 「トウカが呆れてたよ? 『しっかりしてるようで抜けてるところがあるんだよなー』って」
ナツ 「ぐっ……、否定できないのが悔しい……。というか、そういうハルキだって追試課題やってるでしょうが」
ハルキ 「私は期末試験を寝坊して落ちただけですが?」
ナツ 「開き直るなっ!」
複数人向け声劇台本 ゆずしおこしょう @yuzusiokosyo
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