千住間道の躑躅

杉牧 太喜

第1話 5年生・4月

この道を何回通ったであろうか。今ではもう下を向いたままでも歩けてしまう。特に大きな思い出のある道でもない。ただいつも通学の時に使ってる道だ。1年生の頃は登校班に毎日行っていたが今では行かない。めんどくさいし自分で行った方が早い。だから今日も途中まで1人千住間道を歩いてる。


友達とは毎日、南千住警察署の赤鬼の前で集合する。いつも3人で行ってる。「白石流星」と「佐藤りんたろう」だ。4年生の時、清里に行った林間学校で仲良くなった。りんたろうは漢字が難しくて俺にはわからない。中学生になったらきっと書けると思う。だいたいいつも俺が2番目で流星とりんたろうが日によって変わる。5年生初日の今日は流星が最後だった。家が1番遠いから仕方がない。


赤鬼から学校まではそんなに遠くない。千住間道を渡ったらすぐに着く。ただ信号がスポーツセンターのとこに行かないとないからたまに面倒になって車が来てないうちに躑躅の木を跨いで渡ってしまう。渡れたらもう学校に着いたようなもんだ。後は教室まで行こう。


あっ、そうか。5年生になったからもう階段上がらなくて良いのか。1階でいいんだ。これは嬉しい。あとはクラス分けがどうなってるかだ。2クラスしかないから友達もそんなに変わらないだろうけどやはり気になる。1人違うクラスは寂しいからな。新しいクラスは5年2組になった。流星とりんたろうとも一緒だ。今日は最高じゃないか。出席番号順に席が決まっていたので自分の席に座った。隣は女子だった。顔は見たことあるけど名前は知らない。たぶん同じクラスになったことない。ずっと笑ってる良い人そうだ。あとで話しかけよう。ちなみに担任はハズレを引いた。3年生4年生の頃、隣のクラスの担任だったのだが面倒くさいことで有名だ。おばさんだから仕方がない。

だがクラスのメンツは当たりだ。これは楽しみだ。


新しいクラスになり何日か経った。隣のクラスは席替えをしたらしいが俺たちのクラスは5月までは席替えしないらしい。やはりハズレの担任だ。声が高いのが最近気になり始めた。

それと隣の女子とは仲良くなれた。名前は「下條さくら」というらしい。最初の時と変わらずずっと笑ってる良い人だ。音楽クラブに入ってるらしい。俺はサッカー・キンボールクラブだからクラブでは会えないな。残念。まぁ流星がいるからいいか。あと今度、躑躅が咲いたら蜜の吸い方を教えてくれる。それから毎日赤鬼の前にある躑躅を見るようになった。


躑躅はまだ蕾の状態だ。

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千住間道の躑躅 杉牧 太喜 @sugimaki-taiki

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