「.....!!!おはよう!日野森さん!昨夜のニュース見たわ!本当に日野森さんってすごいと思うわ!さすがゆうとうせ____ヒッ」


氷のように冷たい冷ややかな視線。

凍りついた表情。

端正に整った顔立ちがそれをいっそう引き立てる。


昨日までの彼女とは別人だった。

太陽のような笑顔。

綺麗に結ばれたサラサラとしたポニーテール。

愛想の良い顔立ち。


その全てが今の彼女からは消え去っていた。

まるで全ての感情を消し去ってしまったかのようにも見える。

女子生徒は小さな悲鳴をあげてその場からいそいそと立ち去っていった。


廊下を歩きゆく生徒たちは皆彼女に釘付けだった。

もちろんそれは今までと同じ。しかし、彼女が通り過ぎた後の生徒たちの顔からは恐怖が滲み出ていた。昨日までの彼女が嘘のようだった。


「会長...どこか体調でも悪いのですか?」

僕は、副生徒会長として今世紀最大の勇気を振り絞って聞く。


「...神楽くん。大丈夫よ。それより明日は生徒総会があるから資料をまとめておかないとね。心配かけてごめんね。」



彼女に笑顔が戻った。

しかし、それは誰がどう見ても本心とは思えない笑みだった。


僕を見つめる光のない目からは何も感じ取れない。

いつも高く結んでいるポニーテールは今日は結ばれておらず、髪もうねっている。

とても同一人物とは思えなかった。

彼女の身に一体何が起きたんだろう。

彼女のことでわからないことがあることが悔しかった。

いつも彼女のことは支えられている自信があった。僕から見ても教師陣は彼女に全てを託しすぎている気がする。もちろん彼女は全てにおいて完璧だし、愛想もいい。だけど、何でもかんでも彼女に仕事を回しすぎている。副会長であるにも関わらず、僕にはほとんど仕事は回ってこなかった。だからこそ僕は彼女を全力でサポートしたかった。細かい作業だって何でも手伝いたかった。雑用でもいいから少しでも彼女の負担を減らしたかった。






僕は彼女が好きだった。

彼女のためだったら、どんなことでもしたかった。











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狂え、狂え 巫 歪 @root56nico

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