第8話 初めての魔法
しばらく前から、祭司長による魔法文字のレクチャーが始まっていた。
不思議な発音をする文字体系であったが、里のものであれば誰でも発音できるらしく、私も特に苦労する事なく覚えていった。
そして、魔法文字をだいたい覚えた辺りで、いよいよ魔法を教えてくれる事になった。
「魔法は、魔法式を読み上げる事から始めるのじゃ。そらんじれるようになって、深く理解し、頭の中で魔法式を組み立てれば必要ないがの」
そうやって、地面に書かれた魔法式を見ると、
(なんだか、プログラミング言語に似ていますね)
と感じた。魔法式を声に出して読み、発動トリガーとなる魔法名を唱える。
『強風』
私の右手から強い風が起こった。
しばらく目を見開き、初めて自分で行う魔法に、達成感と感動で、もうニッコニコである。
(これヤバイです。震えが来るほどうれしいです)
3回魔法式を読んで起動させたら暗記できたので、試しに黙ってやってみたら、すんなりできた。
「おぬしはすごいのぉ。わしでも、そこまで簡単にはできなんだ」
ほめられた事でさらにうれしくなって、調子に乗って魔法を連発していたら、止められた。
「今日初めて覚えたにしては、なかなかの発動速度じゃ。魔法制御の訓練を、ちゃんとやっておったようじゃの」
「はい! 毎日欠かさずやっていました!」
魔石に魔力を込める事を制限されたため、余った時間でやっていた。
「この魔法は簡単に発動できるが、獲物は倒せん。しかし、足止めには使えるぞ。近付かれると危ない獲物もおるゆえ、精進して、できる限り早く発動できるようにせよ」
嬉々として、魔法を連発する私を見ながら祭司長がつぶやいた。
「まあ、もう練習せずとも良いと思うがな……」
聞こえなかったふりをして、魔法をバンバンうった。
「練習するのは構わんが、もし気絶するような事があれば……。分かっておるな?」
過去のトラウマを刺激され、コクコクと頷いた。
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