第4話

 先生と山村君ってどういう関係?

 

「いーちご‼︎」

 ビクッ。

「あ、あんりちゃん…」

 あんりちゃんの声に思わずびっくりしちゃ

 った。

「何?元気ないじゃん。彼氏が浮気でもした

 か?」

「えっ」

 思わずなんでわかった?みたいな顔をして

 しまった…

「マジ?」

「あ、ううん。そんなんじゃない…はず…」

 

 私は、今まで堪えていた感情が一気に溢れ

 てしまった。

 あんりちゃんに話を聞いてもらったらなん

 か、少し気持ちが軽くなった。

 悩んでても仕方ない!

 

 もう直接先生に聞いてみよう‼︎

 

 ドキドキしながら保健室の前まで行くと…

 誰か話してる。

「やっと待ちに待った今週の土曜日だな。」

「うん。色々ありがとうね」

 って話し声が聞こえた。

 

 この声って先生と山村君…

 今週の土曜日何があるわけ⁇

 

 確か今週の土曜日は、付き合ってちょうど

 一か月。

 というか、私が胸に飛び込んだ日。

 私と先生どっちを選ぶ⁈

 

 

 もう賭けに出る事にした。

 次の日の朝一。

「山村君…あのー、今週の土曜日行きたいと

 ころがあってね。一緒に行ってもらえない

 かな?」 

 ドキドキしながら変な汗をかいて山村君を

 誘った。

 するとまさかの、

「うん。いいよ!どこ行くの?」

 って。

 

 

 えーっ。

 先生と用事があるんじゃないの⁉︎

 いいよって言われると思ってなかったから

 どこ行くなんて考えてなかった…

「えと…当日までの秘密」

 って苦し紛れに答えた。 

 

 

 なんで⁈

 先生と出かけるんじゃないの⁈

 

 

 でも、私を選んでくれたんだ。

 嬉しい。

 ならば私頑張っちゃうんだから‼︎

 土曜日朝から張り切ってお弁当を作った。

 胃袋がっつり掴ませていただきますよ。

 水筒に、ポタージュも入れておしぼりも用

 意した。

 

 そして、身なりもかわいく!

 

 

 いい天気。

 ピクニック日和だなぁ。

 そうだ!

 ピクニックに決定‼︎

 

 お昼を食べてゴロンと横になる山村君。

 

 山村君がいきなり私の膝を枕にした。

 こ、これが膝枕なんですね…

 恥ずかしい…

 でも、嬉しい。

 

 

 動揺していたら、山村君。

「付き合って一か月経つし、下の名前で呼ん

 でよ」

 って恥ずかしそうに言った。

 顔は、見えないけど山村君の耳真っ赤だっ

 た。

 

 下の名前で呼んでいいんだ。

 彼女として認めてくれるって事なのかな。

 でも、やっぱり先生の事ははっきりさせた

 いんだよな。

 

 

「先生…小峰先生は山村君の事なんて呼んで

 るの?」

 私の質問にバッと起き上がる山村君。

「えっ?なんで小峰先生…?」

 やっぱりなんかヘンだよ。

 動揺してるよね…

 私は、山村君の顔をまじまじとみながら質

 問した。

 

「本当は、好きなんでしょ?先生。」

 まいったなーって顔の山村君。

「うん。実は好きだった。」

 やっぱり…

 でも、過去形⁇

 なんで?

 

「別れたの?」

「ううん。ってか、付き合ってないよ。一度

 も。」

 

 予想外の答え。


「付き合ってないの?本当の事教えてほしい

 な。」

「うん。なら言うね。実はもう何年も好きだ

 ったんだ。でも、先生婚約したじゃん。だ

 けどその話聞いた時、全然辛くなかったん

 だ。なんでだと思う?」

「えっと…彼氏がいるの知ってたから、いつ

 かそうなるって覚悟してたとか?」

「ううん。そうじゃなくて、いちごの事が好

 きになったからだよ」

「え?いつから⁇」

「うーん、そうだな…いつってはっきりわか

 んないんだけど多分初日に昇降口で朝、後

 ろから抱きしめられてからかな」

 って笑う山村君。

 

 

 その笑顔を見たら、疑っていた自分が本当

 に嫌になった。

「私、山村君と先生が付き合ってると思って

 て…ずっと辛かった。疑ってしまってごめ

 んなさい。」

 涙ながらに謝った。

「泣かないで。勘違いさせてごめんね。」

「ううん。大好きだよ。とうきくん‼︎」

「オレも大好き」

 とうき君は、優しく私を包み込んでくれた。

 

 思いが通じ合った素敵な一か月記念になっ

 た。

 

 

 

 で、後で先生とはどういう関係なのか聞い

 てみたら、とうきくんのお兄さんの彼女な

 んだそう。

 幼い頃から近所に住んでいて昔からの仲良

 しだったって。

 お兄さんは、今海外に出張していて三年後

 仕事が落ち着いたら、結婚をする予定なん

 だって。

 で、土曜日は一時帰国しているんだって。

 猫の名前もお兄さんがつけたそうな。

 

 もーっ。

 私の早とちりさん。

 全て解決できて、今は先生とも普通に話せ

 るし、毎日がとっても楽しい。

 

 早とちりも悪くないかもしれないな。

 

 あの時抱きついて頭真っ白になったけど、

 まさか、その事件がこんなことになるなん

 て、想像もしてなかったな。

 幸せ!

 

「とうきく〜ん♡」

 

 おしまい

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私の好きな人は保健室の先生に夢中⁇ 猫の集会 @2066-

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