第3話

 先生と山村君がどんな関係だったか、未だ

 にわからないけど、でも今は先生に婚約者

 がいて、山村君は私だけをみてくれている

 と思う。

 

「ねー、山村君。今度デートしない?」

 私の質問に山村君は、

「うん。いいよ」

 と答えてくれた。

 

 山村君は、いつも私に応えてくれる。

 

 でも…

 まだ、先生の事好きなんだよね…

 私が強引にそばにいてもらってるだけで、

 本当は、きっと心の中に先生が…

 

 

 でも‼︎

 それでもいい。

 いつか私だけを見てくれる時が来るかもし

 れないもん。

 

 私も、山村君に釣り合うようないい女にな

 るからね。

 みててね。

 山村君!

 

 

 そしてデート当時。

 先生みたいに少し大人びた格好をした。

 ハックション‼︎

 

 私は、肩出しの服を着てたから寒くなっち

 ゃった。

「これ着なよ」

 そっと上着をかけてくれる山村君…

 優しいな。

 

 それから水族館に行ってたくさん楽しんだ。

 でも、ちょとヒール高すぎたかな。

 足が痛くなってきた…

 

 

 夕暮れ時。

 二人で砂浜でおしゃべりをした。

 きっと足が痛いのを気を遣ってここで少し

 話そうって言ってくれたんだ。

 そんなに優しくされるとどんどん辛くなる

 な…

 

 

 思わず…

「優しいね。でも、本当は他に好きな人いる

 んだよね?」

 なんて言ってしまった。

 しかも涙を溜めて…

 

 そしたら山村君

「そんな人いないよ。いちごの事すきだよ」

 って私に優しくキスをしてくれた。

 

 

 あのキスは、もう先生を吹っ切れたって思

 ってもいいのかな。

 もう、私だけを見てくれたのかな。

 そう思って安心していた。

 

 でも、まさかの話を耳にしてしまった。

 

 

 委員会の用事で職員室に行ったんだけど、

 保健の先生の婚約者…

 

 婚約者が…

 

 

 私は、その事を聞いてしまったのでもう先

 生に用事すら忘れて立ち去ってしまった。

 

 

 もしかして、先生と山村君グルなんじゃ…

 もう何がなんだかわからない。

 誰を信じればいい⁇

 

 

 私が職員室で聞いてしまった話…

 

 校長先生が言った。

「小峰先生は、結婚したら苗字何になるんで

 すか?」

 の質問に先生まさかの…

「山村です。」

 って答えた…

 

 もしかして、山村君と婚約中⁇

 

 私は、二人の交際がバレないように一応の

 カモフラージュなんじゃ…

 だから、胸に来いって?

 簡単に飛び込んじゃったじゃん。

 あの時、ちょろい奴って心で笑ってた?

 急展開過ぎると思ったよ。

 

 

 確か籍入れるの三年後って前言ってたよね。

 卒業したら結婚するつもりなのかな。

 だから、今はバレないようにとりあえず私

 と付き合ってるふりして…

 

 本当は、同棲してるんじゃないの⁉︎

 

 どうしよう。

 本人から直接聞いてみる?

 でも、もしそれが本当だったら怖い…

 怖くて聞けないよ。

 

 

 どうしよう…

 それに山村君は、自分から私を好きって言

 ったわけじゃない。

 胸に飛び込んだの私だし、デート誘ったの

 も私だ…

 

 でも、山村君が本当に嘘ついてなくて私の

 事だけを見てくれているのなら疑うべきじ

 ゃない。

 それに、偶然同じ苗字だったなんて事もあ

 るよね⁈

 

 とりあえず同棲していないのかだけは、は

 っきりとしておきたい‼︎



「山村君…あのさ、ペットとか飼ってる?」

「うん。猫」

「わぁ〜猫か〜。みたいなー。」

 それとなくうまく話を持っていく。

「なら、今度うちに来る?」

 よし‼︎作戦成功‼︎

「うん‼︎行きたい!」

 

 

 そして、次の休みに早速お邪魔させていた

 だいた!

 なーんだ。

 同棲してなかったじゃん。

 普通の一軒家。

 しかも優しそうなお母様。

 猫も真っ白でかわいい。

 

 

「ねぇ、この子名前は?」

「ジャスミンだよ」

「へぇー、おしゃれな名前」

 

 

 そうして、時はあっという間にながれ、う

 ちまで送ってくれた。

 あ〜楽しかった〜。

 私は、心の中で謝った。

 山村君…疑ってしまってごめんなさい‼︎

 

 

 疑いも晴れてもう先生に会うの怖くなくな

 った私!

「失礼しまーす」

 保健室のドアを開けた。

 あれ?

 なんかいい香り〜。

 癒される〜。

 

「あ、山口さん。この間お願いした資料持っ

 てきてくれたのね。ありがとう」

「いえいえ、遅くなって逆にすみません」

「ううん。いいのよ」


 もう、安心して話す事ができる。

「先生、この部屋の香りいい匂いがします」

「あー、わかる?ジャスミンの芳香剤なのよ、

 私昔からジャスミンが好きでね。ジャスミ

 ンティーもよく飲むのよ」

「あー…そうなんですか…」

 一気にテンションが下がる私…

 

 

 山村君家の猫…

 確かジャスミン…

 

 これも偶然なのかな…

 婚約者が山村って苗字。

 先生が好きな香りがジャスミン。

 山村君が飼ってる猫の名前がジャスミン…

 

 

 どうなってるの?

 

 続く。

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