第五十一話 奈良の国宝公園なのです!

 ぷぅー

 ぴぃー

 きゅー


「わっわっわっわっ!みんな落ち着いて落ち着いてなのですー!」


「人気者だ」


「人気者じゃのぅ」


「ノルンちゃん大人気だねぇ」


 突き抜ける様な透き通る青空の元、太陽の光を受け青々と輝く夏の若葉の下で三人は涼みながら、沢山の鹿に囲まれたノルンを眺めていた。


「や、やっと解放されたのです……」


「いやー、まさかせんべい一枚であそこまで集まってくるとは」


「凄かった、近づけ無かった」


「にしてもまさかあんなに鹿がおるとは……水無月よ、ここはどう行った場所なんじゃ?」


「ここは奈良公園って場所でね、奈良といえばここって場所の一つだよ」


「何となく分かるのです……こんなに鹿が居れば人も来るのです」


「あはははは……でもこの公園、見所は鹿だけではないよ。実はこの奈良公園、敷地内に興福寺、東大寺、春日大社、奈良国立博物館が含まれててね。多くの国宝と世界遺産が含まれてる公園なんだよ」


「それ全部この公園の……凄い」


「と言うわけで、今日の残りはこの公園内の見所を一気に回るよー!」


 ーーーーーーーーーー


「「「でっっっか」いのぅ!」いのです!」


 思わずそう声に出してしまっている3人の前には、現在の建造費に換算すると約4657億円の高さ約15メートルになる銅造盧舎那仏坐像こと奈良の大仏が鎮座していた。


「あれが奈良の大仏、凄い存在感」


「凄かったのぅ……圧巻という言葉しか出らん」


「これが圧倒されるって感じなのですねぇー……」


「凄かったでしょー?でも実はもうひとつ皆は凄いものを見てるんだよなぁ」


「「「もうひとつ?」」」


「皆は奈良の大仏に気が向いててスルーしてたけど、ほら見えてきた」


「もしかしてあの入口の門なのです?」


「そうそう、南天門って言うんだけどあれとあの門の中にある二体の仁王像も奈良の大仏と同じ国宝なんだよ」


「そうだったの?」


「そうだよーロクラエルちゃん。ここは本当に色んな建築物が国宝、世界遺産だからね。みんなも見逃さないようにするのだ」


「「「はーい」」」


 ーーーーーーーーーー


「興福寺に春日大社……凄かった」


「もうひとつの五重塔に万燈籠、どっちも凄かったのですー……」


「じゃのぅ……所で、もしかしなくても奈良公園から出てるのではないか水無月よ?」


「ん?そうだよ?」


「「「えっ」」」


「え?」


 春日大社の後興福寺を堪能した後いつの間にか公園を抜け、木造の住宅街へとやって来ていたのに気がついたヘグレーナの問への水無月の返答に三人が驚き、それを見て水無月が首を傾げる。


「水無月、さっき今日は奈良公園を回るって」


「そのつもりだったんだけどね、だいたい周り尽くしちゃったから近場まで範囲広げようかなって」


「えぇ……まぁ、そういうことなら仕方ないか……それで水無月、ここはどこなのじゃ?」


「木材建築が多くて和風ーな感じなのです!」


「でしょう?ここはならまちって言ってね、一言で言うなら古き良き日本の街並みだね。ほらあそことか特に」


「「「格子の家?」」なのです?」


 ーーーーーー


「天井が高いのですー!」


「ここは昔の台所か、この竈とか古いのぅ」


「すごい天井の梁が立派だ……」


「皆、目の付け所が独特だねぇ……ほら、そこの扉とか窓格子とか、あちこちに格子があるでしょ?」


「ほんとだ、あの障子の所も格子になってる」


「そういや入口の戸も格子じゃったなぁ」


「どうしてこんなに格子ばっかりなのです?」


「それはわかんないけど、でも面白いでしょ?」


 水無月にそう言われ、理由を求めたノルン含め三人は確かにと頷くのだった。この後も四人は日本の古い雰囲気を残す個性ある家々を周り、ならまちを堪能したのだった。

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のんびり異種女子日本旅 こたつ @KOTATU64

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