第五十話 歴史ある建物達なのです!
「「「おぉー」」」
「立派じゃのう」
「かっこいい」
「屋根がいっぱいなのです!」
お客さんの少ない境内の中、奈良県が誇る聖徳太子ゆかりの地でもある法隆寺、その中門をくぐった先にある五重塔を四人は見上げていた。
「凄いでしょ。日本最古の塔は」
「む。そうなのか?そんなに古い様には見えぬが……」
「修理とかはされてるけど、確か築1300年くらいじゃなかったかな?」
「1300年?!す、凄いのです……」
「でも凄いのはそれだけじゃない。皆こっち」
そう言って手招きするロクラエルに、何に案内されるかを知らない水無月以外の二人は首を傾げつつついて行き、五重塔の横にある建物、金堂へと入る。
するとそこには大きな光背を持つ仏像を中心に一回り小さな仏像が二体、そしていくつもの様々な個性豊かな仏像があった。
「ほぅ、仏像か。しかも相当古いものと見える。確か神の元に戻る道を探すためにロクラエルはこういうのを探しておったな」
「ん。でも普通に歴史的な物も好き。だからこういうのも、好き」
「色んなことに興味を持つのはいい事だよロクラエルちゃん」
「みんなみんな!あの仏像の後ろ、ちっちゃい大仏がいっぱいついてるのです!」
「……あーいうのも?」
「ふふっ♪あーいうのもだよ」
ーーーーーーーーーー
「うぅぅ……もうダメなのですぅー……」
ジリジリと照りつける陽光の下、日本特有のジメジメとした暑さも相まって暑さにやられたノルンはそう言ってちろっと舌を出してしまう。
「そうか、皆は日本の夏初体験だっけ。二人は大丈夫?」
「問題ない」
「妾も今の所は問題ないが、正直この蒸し暑さはなかなかきついものがあるのぅ。慣れてない上に生き物の枠組みに居るノルンは堪えるじゃろうなぁ」
「毎年これを耐えてる日本の人達凄いのです……みーちゃぁーん、魔法で涼しくしていいですかー?」
「外での魔法は問題になっちゃうからダメだねぇ」
「あうぅぅー……」
「でも、こんな日にピッタリの物があるよ」
「「「?」」」
たらりと汗を流しながらも楽しそうにそう言う水無月を見て、平気そうな一名と暑さにやられている二人は首を傾げる。
そして水無月に案内されて3人がたどり着いた場所は──────
「お店なのです!涼しいのです!最高なのですー!」
「これは生き返るのぅ。文明の利器様々じゃ」
「それで水無月、ここはなんのお店?」
「ふっふっふー♪ここは奈良県発祥の夏にピッタリなお菓子のお店でね。おっ、きたきた」
「お待たせしました。わらび餅三人前でーす」
夏の風物詩とも言われている透明でぷるぷるなお菓子、わらび餅の専門店だった。
「ぷるぷるで冷たいのですー!」
「もちもちしててとろけるようじゃ~♪」
「きなこも甘くて、美味しい」
「ふふふっ♪皆が満足してくれて嬉しいわぁ」
わらび餅を笑顔で食べる三人を前に、水無月は嬉しそうに笑顔を浮かべるのだった。
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