第四十九話 大仏様のおわす場所、です!

「くあぁぁぁぁ……おはようなのですぅ……」


「お、ノルンちゃん起きたね。おはよう」


「妾達もいまさっき起きたところじゃ。焦らず顔を洗って準備を始めよ」


「はぁいなのですぅ……」


 和歌山の純白の砂浜に世界遺産を楽しんだ翌日、川湯温泉付近の宿で1泊した一行はちょっとだけ朝の遅い時間に起き、次の県へと向かうべく動き始めていた


「スッキリお目覚めー、なのですー」


「着替えたら尻尾のブラッシングやってあげるから、早く着替えるんだよー」


「はーいなのです」


「水無月、私の髪梳いて」


「はいはい」


「で、水無月よ。次はどこに行くのじゃ?次の県へ行くんじゃろう?」


「うん。次は奈良県に行くよ、ここから2時間くらいの場所だしね」


「奈良……!仏像の古都……!」


「お、やっぱりロクラエルちゃん食いついたねぇ」


「うん、行ってみたかった場所だから」


「ロクラエルは神社や寺が好きじゃからなぁ」


「そんなにお寺とか神社で有名な県なのです?」


 髪を水無月に梳われながらパタパタと次の目的地を聞いて嬉しそうに翼を動かすロクラエルを見て、着替えてもふもふの尻尾の毛を整えていたノルンは興味深そうに水無月へ尋ねる。


「そうだよー。東大寺の大仏って聞いた事ない?」


「あ、聞いた事あるのです。ヘグちゃんは?」


「妾もそれは知っておるぞ、確かあのどでかい像じゃろ」


「そうそう。あれがある県が今から行く奈良県でね、まだ暫く先で行く事になる同じ古都の京都とは違う良さのある場所なんだよ」


「へぇ……!となるとやっぱり見所はその奈良の大仏になるのです?」


「他にもある。法隆寺、興福寺、春日大社、すごいお寺がいっぱい」


「特に今ロクラエルちゃんが言った法隆寺と興福寺は五重の塔って呼ばれる建物があってね、あれがまた凄いんだよ」


「ほほぅ。じゃが本当に寺や神社ばかりじゃのぅ。他に何かないのか水無月」


「んー……?んー……強いて言うなら鹿がいっぱいいる奈良公園だけど、うーん。私も奈良と言えば寺社仏閣に大仏ってイメージが強いせいか、あんまり思いつかないなぁ」


「みーちゃんにしては珍しいのです。食べ物とかは何かないのです?」


「食べ物ならイチゴかなぁ。スイカと柿に並んで国内有数の産地だし。昨日食べたあのスイカも奈良県のだよ」


「あのスイカか!瑞々しくて美味かったのぉ」


「でしょー?後は柿の葉寿司かな、鯖と酢飯を柿の葉っぱで包んだお寿司。私も食べた事ないなぁ」


「それは是非とも食べてみたい。水無月が食べてないのは珍しい」


「着眼点がズレてるよロクラエルちゃん……まぁとにかく、後は行って体験してみるが易しだね。それじゃあ皆今日は奈良県に張り切って行こーう!」


「「「おー!」」」

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