『すっぽんの独り言』

『すっぽんの独り言』

　あるばん、すっぽんさんが、お池から、空に浮かぶお月さまを眺めておりました。

　そうして、独り言を言いました。

　『ぼくらは、月とすっぽんと言われて、お月さまとは、雲泥の差があるように言われる。でも、人間は、自分の都合がよいときは、栄養まんてんとか言って、ぼくらを食べてしまうんだ。お月さまは、人間には食べられないのかな。ねえ、お月さま、あなたは、なぜ、食べられないの？』

　すると、お月さまが答えました。

　『いやいや、すっぽんさん。時間の問題さ。いずれ、おいらも、人間に喰われるに決まってる。人間は、なんでも食べるからね。なんにも無くなるまで、喰い尽くすんだ。』

　すっぽんさんは、恐ろしくなって、お池の中に隠れました。

　でも、ここは、養殖場なのです。

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