幕間 皇女とメイドと
カズキさんが異世界からやってきて、2日が経った。
わたしは――皇女フローラ・オルレアンは、自分の部屋にメイドのアイリスを呼び出していた。
もちろん、わたしの夫となる人、つまりカズキさんのことを聞くためだ。カズキさんとうまくやっていくためにも、わたしの知らないカズキさんの一面を知る必要がある。
カズキさんは素敵で、かっこよい人だ。
この世界の貴族の男たちとは違う。
貴族の男の人たちは、わたしのことを子どもを産ませる道具としか思っていない。
でも、カズキさんは……わたしを一人の人間として扱ってくれた。
異世界からどんな人が来るか不安だったけれど、優しい人で本当に良かった。
貴族の男たちの性奴隷になる未来しかなかったわたしが、カズキさんみたいな男の人と結婚できるのは本当に幸せだと思う。
カズキさんの大きくて安心感のある胸板の感触を思い出し、わたしは頬が熱くなるのを感じた。
でも、カズキさんはわたしだけを妻とするわけじゃない。たくさんの側室や妾を持つことになる。
そして、メイドのアイリスは、一人目の専属メイド――妾として、カズキさんと早速子作りをしたようだった。
「……出会ってすぐに、アイリスはカズキさんとしちゃったんだ?」
「フローラ殿下が、そ、そういうご命令をなされましたからっ!」
わたしの問いに、アイリスが慌てた表情で、恥じらいながら言い訳するように言う。
わたしも、わかっている。
アイリスを専属メイドに……つまり、カズキさんの妾にしたのは、わたしだ。
男性優位で、男の少ないこの世界では、貴族や裕福な男の人はたくさんの側室や妾を持っていた。
そうでないと社会は成立しないし、一人では生きていけない女の人たちを救っている面もある。
そして、皇帝ともなれば、数百人もの美人の女の人を集める。
偉い男の人が、たくさんの女性を自分のものとするのは、普通のこと。
わたし自身、正妃ではなくて、側室の一人の娘だ。
だから、カズキさんがたくさんの女性と関係を持つのは当然だし、そうしてもらう必要がある。
できるだけ多く子どもを作って、魔力量の多い皇族をたくさん残さないといけないから。
理屈ではわかっている。
だけど――。
「カズキさんとのエッチ、気持ちよかった?」
「はい。とっても……気持ちよかったです」
顔を赤らめて、そう言うアイリスにわたしは複雑な感情を抱く。
いつもはクールなアイリスが、こんな照れたような表情で、女の子らしい雰囲気なのは……きっとカズキさんとのエッチが本当に気持ちよかったんだと思う。
アイリスはわたしが最も信頼しているメイドだ。
身分は高くないけれど、幼い頃から一緒に育ってきた。
お父様が……先代の皇帝が死んでしまって、誰も信用できないこの宮廷で、わたしの数少ない味方だ。
だから、カズキさんの初めての妾には、アイリスになってほしかった。
結婚式まで、わたしはカズキさんと子作りできないから、そのあいだ、カズキさんも……こ、困るだろうし。
でも、実際にアイリスがカズキさんと子作りをしたと聞くと、なんだかもやもやした気分になる。
アイリスはくすっと笑った。
「私なんかにヤキモチを焼かなくても、平気ですよ」
「や、ヤキモチなんて焼いてない!」
わたしは言ってから、自分が感じていたのは嫉妬なのだと気づく。
皇女の身分という問題がなければ、わたしがカズキさんと一番最初に子作りできたはずなのに。
というか、カズキさんって元いた世界で、奥さんとか恋人とかいたのかな……?
もしいたら、わたしはやっぱりヤキモチを焼いてしまう。
アイリスはそんなわたしの内心を見透かしたように、微笑む。
「カズキ様も、何の抵抗もなく、私に手を出したわけではありませんよ。もともとカズキ様の世界は一夫一妻だったようですし、私を抱いてもらうまでに、この世界のことをいろいろとご説明して説得する必要がありました」
「……そんなに熱心にカズキ様に抱いてもらおうとしたんだ?」
「ご命令でしたから」
そういうアイリスは頬を赤くした。
きっとアイリスもカズキさんのことを気に入ったんだ。この世界では男の人は少ないし、カズキさんみたいな人と子作りできるなら、熱心になるに決まっている。
すねそうになるわたしに、アイリスはささやく。
「カズキ様はフローラ殿下に悪いって何度も仰ってたんですよ?」
「え?」
「『俺にはフローラさんがいるから、他に側室や妾はいらない』ってはっきり仰ってました。私が懇願していなければ、きっとカズキ様は私を抱かず、フローラ殿下とだけ子作りをしようとしていたはずです」
「そ、そうなんだ……」
「フローラ殿下は、カズキ様に愛されているんですよ」
本当に、そうなんだろうか?
二つ年上のアイリスと比べると、わたしの体はまだ未成熟だ。カズキさんには、17歳は子どもを生む適齢期と言ったけれど、アイリスの大人な体ほど、わたしには魅力がないかもしれない。
でも……カズキさんが、わたしさえいればいい、なんて言ってくれたのは……嬉しかった。
そっか。
女の子としてのわたしはカズキさんを独占したいんだ。
でも、皇女としてのわたしには立場上、それはできない。
カズキさんにはたくさんの女の子と子作りをしてもらう必要があるから。
でも、そのなかで、わたしがカズキさんの一番になることはできる。アイリスよりも、他の側室や妾の子たちよりも、わたしが愛されたい。
結婚式の後になれば、わたしも……カズキさんと子作りできるんだから。
わたしはアイリスをまっすぐに見つめた。
「わたし、アイリスには負けないから。わたしが最初にカズキさんの子どもを生むの」
「正妃となられるフローラ殿下と、専属メイドの私では身分が違いますから、最初から勝負は決まっています。ですが……最初に子どもを生むという意味では、もしかしたら……」
アイリスは急に下腹部のあたりを恥ずかしそうに押さえた。
わたしは気になって尋ねる。
「えっと、カズキさんとは何回ぐらいエッチをしたの?」
アイリスはわたしの耳元に口を近づけ小声で告げた。
わたしはその回数にびっくりする。
「そ、そんなにたくさん……!?」
「その……カズキさんは、一度わたしを抱いた後は、我慢できなくなってしまったみたいで……わたしがお世話をしているときは、いつ襲われるかわからないんです。カズキさんが朝、目を覚まされたら、わたしをベッドに引っ張り込まれますし、お食事をお持ちしたらわたしをそのまま押し倒されます。もちろんお風呂でご奉仕するときは子作りもセットですし、夜伽もしっかり命じられますし、昨日はほとんど寝れていなくて……」
わたしはカズキさんの元気さに驚く。
異世界の人は、この世界に転移するときに、一度霊体化する。そのことで、普通の人よりも優れた健康的な体を手に入れるとは聞いていたけれど……。
それだけの回数のエッチをしても疲れないなんて、本当にすごい。
ただ、心配なのはアイリスの方の体力だ。
アイリスが困ったような笑みを浮かべる。
「カズキさんとの子作りは気持ちいいですし、名誉なことなのですが、体力的には少しきついかもしれません……」
「アイリスって……カズキさんに寵愛されているね」
「寵愛だなんて、そんな……」
アイリスが恥ずかしそうに言う。アイリスがカズキさんを気に入ったのと同じで、カズキさんもアイリスを気に入ったみたいだった。
わたしはますますアイリスに対抗心を持ってしまう。
わたしはメイド服の上からアイリスの胸を揉みしだいた。
「で、殿下……な、なにをっ!?」
「アイリスの体って、いやらしくてエッチだものね。カズキさんも気に入るわけだよね♪」
「や、やめてくださいっ。殿下……あうっ」
アイリスの胸って本当に柔らかくてさわり心地がいい。男の人にとっては最高の体だと思う。
でも、今の状況だと、カズキさんの妾がアイリス一人では、体が持たなさそうだ。アイリスはわたしの信頼するメイドだし、それに健康な体で子どもを生んでほしい。
それに、アイリスにカズキさんを独占されるのも嫌だな、という思いもある。子供っぽい対抗心かもしれないけれど……。
なら、新しい妾の子を選ばないといけない。
わたしの手はアイリスの服の中に潜り込んだ。
「ひゃっ……」
アイリスが可愛らしい悲鳴を上げ、顔を赤くして耐えている。
このアイリスの大きな胸と対抗できるような、魅力的な女の子を、カズキさんの妾として用意する必要がある。
わたしの妹も、カズキさんの側室にするつもりだけど、それはまだ早い。
さて、どうしよう……?
わたしは名案を思いついた。
アイリスと対抗させるなら、アイリスとは違うタイプの子を選べばいい。
つまり、幼くて無邪気な、可愛らしい貴族のお嬢様だ。
わたしには、そんなロリっ子に心当たりがあった。
<あとがき>
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異世界に転移したら、美少女皇女と結婚して皇帝になりました。のんびりハーレム生活を楽しみます【書籍が24/10/25に発売!】 軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\ @karuihiroshi
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