第8話 メイドとの初めての子作り
背中でその柔らかさを感じながら、俺は頬が熱くなるのを感じた。
いくらなんでも止めないといけない。
「アイリス……お、俺が困るから、やめてくれない?」
「お困りになるのですか? あんなに私の胸を興味深そうに見ていたのに?」
最初にチラ見したことは、バレていたらしい。
だが、そういう問題ではない。
「お、俺も男だし……こんなことされたら、襲ってしまいそうになるよ」
「襲ってくださって問題ございませんよ。」
「え?」
「むしろ、私はそのためにここにいるのですから。カズキ様のあらゆるお世話をするのが私の務めです。もちろん性欲処理も」
相変わらず、アイリスは胸を動かして、俺の背中を洗っていた。互いの体がこすれるたびに、アイリスが「ああっ」と甘い声を上げる。
俺はどきどきしながら、尋ねる。
「すべてのお世話っていっても、その……性欲処理なんて、メイドの仕事ではないと思うけど……」
俺の言葉に、アイリスはぴたりと動きを止めた。胸の柔らかい感触が俺の背中から離れる。
ほっとすると同時に、少し残念な気がする。
だが、今度は、アイリスは俺の正面に回り込んだ。両手で胸と下腹部は隠しているが、扇情的なことに変わりはない。!
大きな胸が両手からこぼれそうになっている。
アイリスは俺の前にひざまずき、俺を見上げた。
「カズキ様はこの世界の人間ではないのでしたね。殿方の専属メイドといえば、この世界では、妾のことを指します」
妾。つまり、正式な妻以外の愛人のことだ。
そういうことだったのか。
俺は天を仰いだ。
アイリスはささやく。
「フローラ殿下との婚姻まで時間があります。そのあいだの欲求不満は、私を使って解消してくださればよろしいです」
「使うだなんて、そんな……道具みたいなことはしないよ」
「あなたは皇帝陛下になる方です。私のようなメイドなんて、たとえ殺しても何の罪にも問われないのですよ? 私を犯して孕ませたところで誰も問題視しません」
「仮にそうだとしても、俺の世界の倫理では許されないよ」
「でも、この世界では許されます」
「俺にはフローラという妻がいるんだ。浮気みたいなことはできない」
「妾は妻ではありません。カズキ様にとっては、私はただの奉仕者です。フローラ殿下と私の身分が違う以上、浮気も不倫も成立しません」
「だとしても、フローラがどう思うか……」
「そのフローラ様のご命令なのです」
そうだとは思っていた。
専属メイドを任命したのはフローラだろうし、そして、フローラもアイリスを俺の妾とするつもりで送り込んできたのだろう。
だが、何のために?
「フローラ殿下は、カズキ様がなるべく快適に過ごせるようにお考えなのです。そして、この世界では妾の存在は当たり前ですし、皇帝とあれば、数十人の側室と数百人の妾を持っているものです」
どうやら、側室と妾は区別されるらしい。おそらく側室は正妻ではないけれど、妻としての地位を持っている。出身も貴族の令嬢なのかもしれない。
一方で、妾はそれよりも低い地位だと推測できる。おそらくメイドのアイリスのような庶民の女性で、男性優位の社会では性欲処理の道具として扱われるのだろう。
だが、そんなことはさておき、俺の心は決まっている。
「俺は一夫一妻の国で育ったから、側室も妾もいらないよ」
「あら、殿方といえば、世の中の美女・美少女はみんな抱いて孕ませたいと思っているとばかり思っていましたが」
「まあ、そういう気持ちがあることは否定しないよ」
「なら、遠慮せず私を抱いてしまえばいいではありませんか。ちなみに私は処女で19歳です。自分でいうのも変ですが、容姿も魅力的だと思うのですが……」
そう言って、アイリスは首をかしげ、そして、大きな胸を隠していた手をどける。俺は慌てて視線をそらすが、アイリスはその乳房を正面から俺の胸板へとくっつけた。
そして、微笑む。
「私ではご不満ですか?」
「そういう話ではないけど、アイリスは嫌じゃないの? いくらフローラの命令だからって、出会ったばかりの男に、しかも妾として奉仕するなんて……」
俺の言葉に、アイリスはあっけにとられた様子だった。
そして、俺に胸をくっつけたまま、自分の体に目を落とす。
「メイドなんかの気持ちを思いやるなんて、変わった方ですね。フローラ殿下が気に入られたのも、そういうところなのでしょうか」
「フローラが俺を気に入った?」
「はい。優しくてかっこよい人で良かったって、大層お喜びでした」
そういうとき、アイリスの表情が少し緩んだことに気づいた。
俺はアイリスに聞いてみる。
「フローラさんには昔から仕えているの?」
「はい。殿下が子供の頃からお世話をしておりました。……私の幸せは、フローラ殿下の幸せといっても過言ではありません」
そういうアイリスの表情は優しく、本当に幸せそうだった。
そんな昔から仕えてくれているメイドを、どうしてフローラは俺のメイドにしようとしたのだろう?
「皇帝であるカズキ様は、いずれは側室や妾を持たないわけにはいきません。子孫を残すのは皇帝の義務ですから。フローラ殿下が、私を選んだのは、同じ夫を持つ最初の女性は、信頼できる相手が良いと仰ってくださったのです」
「それで、アイリスを選んだわけか」
ようやく納得できた。そういえば、フローラもさらりと側室の女の子とも子作りをしてね、と言っていた気がする。
ただ、アイリスはメイドとはいえ、フローラにとって大事な人間らしい。なら、なおのこと、俺がこの場で手篭めにしたりするわけにはいかない。
「フローラさんやアイリスの気持ちは嬉しいよ。でも、今はまだ、側室や妾は本当にいらないんだよ」
「ですが……」
「フローラさんは、俺の好きなようにしていいと言ってくれた。もちろん皇帝の義務だってことはわかっているけれど、俺にはフローラさん一人で精一杯だし、あんな可愛い子がいるなら、それで十分なんだよ」
「で、でも、もし何もしなければ、私はフローラ殿下から叱られてしまいます」
はじめて、アイリスは動揺した表情を見せた。
俺に性的奉仕をするために来たのに、何もしなかったでは、アイリスも困ってしまうということらしい。
アイリスは言う。
「知っての通り、この世界は男性優位の社会です。それは……先の戦争で男が大勢死に、男女比が大きく変化したことも理由なのです」
「へえ。そんなに人口差があるの?」
「男は十人に一人です。つまり一夫一妻だとすれば、女性が九人いれば、八人は夫がいないということになります」
俺は驚いた。皇帝や異世界人という以前に男であるというだけでも希少な存在らしい。
アイリスは涙目になり、顔を赤くしていた。
冷静でクールだった彼女が、必死な表情で俺を見つめる。
「殿方に抱かれることはとても貴重な機会なんです。お相手が皇帝陛下となればなおさらです。私がカズキ様の子供を妊娠すれば、ずっとフローラ様のお側でお仕えすることができます。ですから……一度でいいですから、私を抱いてくださいませんか」
アイリスは必死で俺に頼み込む。
なんだか俺が悪いことをしている気分になってくる。
いや、実際にそうなのか。
この世界の価値観でいえば、俺がアイリスを抱かないのは罪だ。
フローラもアイリスもみんなが困ってしまう。そして、アイリスを抱くことに何のデメリットもない。
あとは俺の気持ちだけだ。
そして、目の前に裸の美女がいて、邪な思いを抱かないといえば、嘘になる。
俺は立ち上がり、アイリスからそっと離れた。
アイリスは拒絶されたと思ったのか、悲しそうな表情を浮かべる。
だが、次の瞬間、俺の手はアイリスの胸を揉みしだいていた。
「えっ、ひゃうっ……あっ」
アイリスが甲高い可愛らしい声を上げた。俺の行動は予想外だったらしい。
俺は気にせずアイリスの胸を弄んだ。
「何をされてもいいんじゃなかったの?」
「そうですけど……突然だったので……あうっ。や、やっぱり、私のことをエッチな目で見ていたんですね? きゃあっ」
「男はみんなけだものなんだよ。アイリスみたいな可愛い女の子を見たら、エッチなことをしたくなるに決まってる」
「か、可愛いですか……? 私が?」
「そうそう」
俺の言葉に、アイリスはうろたえたようで、かあっと顔を赤くしている。
最初のクールな面影はどこにもなく、一人の女の子になっていた。
俺はアイリスにささやく。
「アイリスは俺なんかでいいの?」
「き、決まっています。だって……フローラ殿下が好きになられた方ですから。フローラ殿下が好きな方は、私も好きなんです」
そういって、アイリスは嬉しそうに微笑んだ。
俺は覚悟を決めた。
裸のアイリスを両手で抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこだ。
「きゃっ」
アイリスは恥ずかしそうに身をよじるが、抵抗せずに俺に身を委ねた。
そして、俺はそのままアイリスをベッドまで運び、その美しいすらりとした体を横たえて、アイリスを組み伏せた。
「あっ……カズキ様……っ」
アイリスが甘い吐息をもらす。
こうして、俺に専属メイドができた。
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