本作は現代の日本を舞台として、なかなか切っ掛けが掴めずに、結ばれそうで結ばれない男女を描いた恋物語です。
周囲からは付き合っていると噂されていましたが、良い雰囲気にはなってもなかなか進展が見られず、気付けば七年もの歳月が過ぎてしまっていました。
今では離れた地で生活を送る二人には、いつしかズレが生じ始めていたのですが、ある日彼から奈良に遊びに行かないかと誘われます。
大学時代を過ごした地で甦る想い出の数々。過去と現在、変わりたい気持ちと変わりたくない気持ち、切なさと嬉しさを同居させて、奈良の空の下で揺れ動く一人の女性の心を巧みに描いています。