第12話 1ヶ月検診は波瀾万丈

 今日は、1ヶ月検診で病院にやってきました。


「田中タロちゃん。どうぞ。」


「はーい。お願いします。」


 先生がタロちゃんの身長、体重を測定し、体の検査をしていきます。


「タロちゃんは、すくすく成長してます。そこでご相談があります。このまま、ご自身で育てるか。もしくは、動物園に預けて育ててもらう。という方法があります。田中さんは、どうされますか? 動物の赤ちゃんを育てるのは、大変です。1人親というのもあります。これから寝返り。1人で立って歩く。どんどん成長していきます。成長が楽しみですが、逆に言うと、どんどん育児が大変になっていきます。」


 タロちゃんを見る。

 寝ている。


 ――確かに、毎日大変なことが多い。


「最近は、動物園に預けるママさんが増えてます。動物園に行くと、いつでも会えますし、自信がない。というママさんは思い切って預けてしまうと楽ではあります。田中さんも預けられますよね??」


「えぇっと・・・そ、それじゃ預け・・・ます・・・。」



 ――私、気づいたらそう返事してた。


 どうして。

 

 どうして。

 どうして。

 

 預けるって返事しちゃったんだろ。


 心のどこかでは、疲れてる・・・。


 病院を後にして、とぼとぼ歩く私。


 振り返る。


 タロちゃんの笑顔が・・・。


 ――蘇る。


 がまん。がまん。


「ただいま〜。」


 部屋には、タロちゃんのお布団。お洋服、オムツが散らかっている。


 私は、1人でご飯を食べて、1人でお風呂に入って。1人で布団へ。


 赤ちゃんの布団に、タロちゃんがいない・・・・・・。


 私、泣いてる。


 私、タロちゃんをどうして置いてきちゃたんだろ。


 あんなに毎日一緒だったのに。


 オムツ変えて。お洋服着せて。お風呂に一緒に入って。

 毎日一緒だった。


 大変だけど・・・毎日一緒がいいのに。


 やっぱり。

 やっぱり。やっぱり。やっぱり!!


●●


 ガチャ。

 私は、家を飛び出ると、病院に向かった。


 緊急外来の出入り口から入って、受付へ。


 事情を話すと、タロちゃんが寝ているベビー室に案内された。


 タロちゃんが泣いている声がする――。


 私は、かけ寄り、タロちゃんを抱きかかえた。


「タロちゃん一緒に帰ろう。これからもずっとずっと一緒にいよう! もう離さないからね。」


●●


 お布団でタロちゃんにぴったりくっ付いて寝ている私。


 私はタロちゃんが大好きなのだ。



ー完ー 

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もふもふ育児〜クマの赤ちゃんを授かりました〜 木花咲 @masa33

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