第18話 拷問
「ぱ、パペちゃんを返せ!」
その子は俺たちを見ながら言った。パペットも暴れながら、どこかその子のところに逃げようとしているように見える。ってか名前パペちゃんだったんだ。
「お、お前たちがパパとママをやったんだろ!僕からパペちゃんまで奪うな!は、早く離さないと、さ、刺すよ!!」
子供はナイフをこちらに向けた。ナイフは浅く握られ、刃先が震えていた。
「返してあげたら・・・」
メアルさんに言おうとしたら、すでに子供の目の前にいた。
「捕まえた。」
持っているナイフを奪い、そのまま投げ捨てると、メアルさんはパペちゃんを捕らえている反対の腕で子供を抱き上げた。
「離せ!やめろ!!」
子供は泣きながら必死に抵抗していた。だが、その抵抗は外から見ても弱々しく見え、なんの問題もないようにメアルさんは抱きかかえていた。
「さて、ナイフを向けた悪い子には怖ーい怖い、お仕置きです!」
メアルさんはパペットと子供を縄で縛った。
「子供を縛るなんてひどいです!」
「じゃぁなに?子供なら悪いことしても許されるの?」
「それは・・・」
リリアさんは言いくるめられてしまった。
「さて、拷問でーす!」
「拷問!?!?それはやりすぎです!」
「子供にそこまでやるのは僕も許せないですよ!」
ロアさんまでも焦りの表情を浮かべ、メアルさんを止めようとしていた。
「大丈夫大丈夫」
子供の前に立ったメアルさんはにこやかにしていた。子供は、何されるかわからない恐怖でいっぱいなのに加え、メアルさんのにこやかな表情を見て震えている。
「ジャジャーン、ベーコンサンド。」
メアルさんはポケットからベーコンサンドを取り出すと子供の目の前まで持っていった。
「いやー、このベーコンサンド美味しいんだよな〜。」
子供の表情から恐怖はなくなり、その目はベーコンサンドに釘付けになった。
「心の優しい僕は目の前の子供にこのベーコンサンドをあげようと思ったんだけど、さすがにナイフを向けられたんじゃぁなー?」
「だ、だってそれはお前が!」
「あーあーあー、いいのかなぁ〜?今ならごめんなさいって言えば許してあげるんだけどな〜」
ベーコンサンドの動きに合わせて目線を動かす子供の言い分を遮って、自分の主張を続けるメアルさん。それに対し、リリアさんとロアさん、そして俺は全員『何やってんの?この人』と頭の中をはてなマークが埋め尽くしていた。
「ご・・・・」
「んー?」
「ご・・・・」
「何か言ったかな?」
「ごめんなさ・・・」
「はいだめー。」
「ごめんなさい!!」
子供が慌てて謝るのに対し、メアルさんはベーコンサンドを頬張った。
「やっぱ美味しいわ、このベーコンサンド。んでなんでナイフ向けたの?」
メアルさんはベーコンサンドを口にしながら喋る。ここにいる全員が『それはお前がパペちゃんを離さなかったからだろ。』と思った。その質問に子供は答えることなく、むすっとして、そっぽを向いた。
「あー、わかったわかった。もう一つあるから。」
メアルさんがポケットからもう一つ取り出すと、子供はベーコンサンドを確認すると少し俯いた。
「ぱ、パペちゃんを守ってあげないと、パペちゃんもパパとママみたいになっちゃうと思って・・・。」
「んでお前のパパママはどう言う状態なの?」
「動かないんだ。遊びから帰ったら、黒い服を着た人たちがうちから出ていくのを見たんだ。それで家の中に入るとパパもママも動かなくなっていた。」
「家まで案内してくれる?」
「うん・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます