第16話 パペパペ!

 ロアさんとリリアさんが空っぽになった人を一人ずつ診ている。


 「なんかわかった?」

 「全くわからないです・・・。」

 「ここにいる人たちはどれぐらいの間こんな状態なんですか?」

 「かれこれ2週間ほどこの状態です。」


 もう数名診ているが、全く手掛かりが掴めていない状態だった。あたりを見渡すとまだ診ていない人が十数名いる。


 「上にもまだいるんですか?」

 「ええ、このビルに全員います。」


 俺が聞くと患者を見ながらリリアさんがいう。


 「んじゃルフ、俺たちは上見てこよーぜー」

 「勝手に行っていいんですか?俺たちロアさんのボディガードできたんじゃ?」

 「僕たちなら大丈夫ですから上見てきてもいいですよ。」

 「よっしゃー、冒険だー!」


 あっさりと許可が下り、メアルさんがはしゃぎながら二階の階段を探した。俺はその後をただついて行った。二階に上がるとそこも一階と変わらず、ぐったりと焦点の合わない人間がたくさん転がっていた。メアルさんは目についた人に近づき、目の前で手を振ったり、脈を確認したりし出した。


 「俺たちだけで来て手掛かり掴めるんですか?」

 「おいおい、失礼だな。俺が医療系に関して無知だと思っているなんて。」

 「何かわかるんですか?」

 「いや、それっぽいことして診たけど何もわからん。」


 わかったらロアさんが診ている時に周囲を見渡しながら立ってたりしないよな。


 「ってかどういうシステムで2週間もこんな状態でいれるんだろうな?2週間も飲まず食わずだったら普通死ぬだろ。まぁ、俺たちにくる任務は普通なんて通用しないけどさ。」


 メアルさんはポケットからタバコを取り出し口にし、ボリボリと食べ始めた。ってタバコじゃないんかい・・・。


 「ルフも食べる?ココアシガレット。」

 「あ、もらいます。」


 一本もらい、かじる。

 どれぐらいの人がいるのか、あたりを見渡すと何か小さいものが廊下の方に駆けていくのが見えた。

 

 「メアルさん、あれ!」


 指を刺した時だった。


 「捕まえた〜♪」


 メアルさんが既に捕まえていた。


 「パペ!!パペパペ!!」


 捕まった木彫りの人形がメアルさんの腕の中で必死に抵抗している。


 「魔法生物・・・?」

 「惜しい。ルフは見るの初めて?」

 「全く見た事ないです。というか記憶ないし。」

 「パペットっていう魔法人形。ダミーっていう傀儡魔法で作れる自律式の人形だよ。基礎魔法でも使える人は使えるんだけど、適性魔法で持っている人は軍を作れるぐらい強いよ。なかなかいないけどね。」

 「それで、その人形どうするんですか?」

 「飼う」


 パペットが嫌がっている中、急遽ペットができた。


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