第24話 物語の栞 8 - 1(オーストリア編)

※毎度おなじみ、登場人物や個人の設定が増えた時など、たまに出現する予定の虚実入り交じる人物紹介ページです。(※タイトルを「物語の栞」に変えました。)


 全体的に見て、今回の大きな変更は、マリアンナの詳細と、ライヒェンシュタイン子爵、金の風見鶏、バチカン関係の追加ですが、こまごまと追記しています。(例:フランツの身長が伸びている)


 あまりにも長くなってきたので、小分けにしました。しかしながら、予約システムの都合上、手動ができなければ、一時間おきに更新、とんでもないことになってしまうので、ほぼ毎日小話付きで、夜8時に暫く変則更新になりますので、ご迷惑をおかけいたします。(詳しくは、近況ノートをご覧ください)


***


【1726年初頭現在/~マリア・テレジアとフリードリヒ大王の激突するシュレージエン戦争の予定まで、約あと14年~】


□主人公『マリア・テレジア(改)』(8歳)1717年5月13日生まれ。


・オーストリア大公女、神聖ローマ帝国皇女に加え、ハンガリー王太子(確定済)、聖女マリア・テレジアの肩書をゲット。


・金髪碧眼の美皇女にして、大公女。『打倒! フリードリヒ2世!』の野望を抱いている。


・実は中身が前々世、精神年齢が千歳をゆうに超える女傑、弘徽殿女御こきでんのにょうご、女御時代は『平安のおしゃれ番長』だった美しい物を愛する女傑。前世は料亭の若女将 兼 女子大生だったので、キリスト教のことには疎く、都合の良いように利用している不届き者なのは、誰も知らない。


・フルネームは『マリア・テレジア・ヴァルブルガ・アマーリア・クリスティーナ・フォン・エスターライヒ/Maria Teresia Walburga Amalia Christina von Österreich』


・ペット→エステルハージ侯爵にもらった関西弁の鷹、名前バシリオ(※スペイン語で王の意味)


・語学力→転生の神? の恩寵で、すべての言語&動物の言葉もわかる、ハイパーソロモンの指輪、“ソロモンの指輪/改”が内蔵されている。→すべての言語が★★★★★(流暢)


・オイゲン公に言われるまでもなく、強力な軍事力と圧倒的な財源を手にするべく、フランツや周囲を巻き込んで、いま現在はシンデレラ状態から、無事脱出した。


***


『ハプスブルク家とその家臣たち』


□カール6世→(34歳)10月1日生まれ。神聖ローマ帝国皇帝、オーストリア大公、マリア・テレジアの父、1740年10月20日死亡予定。


・趣味:狩猟、ビリヤード、音楽、貨幣と本の収集。お誕生日にはオペラが上演される。


・青春時代のすべてをかけて、スペイン・ハプスブルク家の王座に挑み、各国の協力のもと『太陽王le Roi Soleil』ルイ14世を袋叩き寸前にまで、追い詰めたにも関わらず、諸事情でスペインの王座をあきらめざるをえなかった結果、趣味の人となり燃え尽きていたが、マリア・テレジア(改)の励ましの結果、再び野望を胸に、メンタルが復活。


・娘婿フランツ(予定)の頑張りと、内乱平定の奮闘の成果で、理不尽で無自覚な貧乏生活から脱出に成功。カール大帝(被っているけれど)の尊称をゲット。


・宝物→妻と子供。特に皇后リースルへの愛は深く、彼女になにかあれば、外交上の謁見もいきなり中止になる。


・軍事をはじめ、あらゆる面に優れているが、壊滅的に国家財政や内政の運用が下手。財政面の唯一のヒットは、『皇帝印のスペイン石鹸 made in サルデーニャ』だけだったが、今現在は、自身の活躍に、フランツとマリア・テレジアのお陰で、何不自由のない国庫を持ち、リースルや娘たちに、なにかと理由をつけては、服飾品や装飾品をプレゼントしている。


・自身が丈夫なために、指摘されるまで、いろいろと気の回らない男。赤い羽根飾りのついた帽子を取るのは、お祈りの時と、妻が自分の健康を祝して、乾杯やあいさつをする時だけ。


・お洋服が常に最新流行になりました。


・フランツの父、ロートリンゲン公とは竹馬の友。


・語学力→イタリア語★★★★★(流暢)、フランス語★★★★★(流暢)、ラテン語★★★★★(流暢)、ドイツ語★★★★★(流暢)、スペイン語★★★★★(流暢)


・フルネームは、カール・フランツ・ヨーゼフ・ヴェンツェスラウ・バルタザール・ヨーハン・アントン・イグナティウス/Karl Franz Joseph Wenceslau Balthasar Johann Anton Ignatius


***


□エリザベート・クリスティーネ→(28歳)8月28日生まれ。オーストリア大公妃、神聖ローマ帝国皇后、マリア・テレジアとマリアンナの母。


・カール6世がつけたよび名:白き肌のリースル。

皇帝の最愛の妻で、ブラウンシュバイク=リューネンブルク家出身。マリア・テレジアのよき理解者にして、慈愛溢れる国母として、帝国民からの支持も高い。ウィーン市民から捧げられた金の指輪を常に身に着け、指輪の裏には、「ウィーンと共に」と刻印がしてある。


・自覚はないが、カール6世が顔色をうかがう、そんな強気な一面を持つ敬虔なカトリック教徒。


・なにかあれば、すぐに宮廷画家を呼んで、夫の雄姿を描きとめようと言い出す。


・時々、平民の姿で、喫茶「ドナウの夕焼け」へ夫婦で、お忍びデートをするが、紋章入りの馬車で乗り付けているので、バレバレなのを、不思議に思っている天然なところもある。


・語学力→イタリア語★★★★★(流暢)、フランス語★★★★★(流暢)、ラテン語★★★★★(流暢)、ドイツ語★★★★★(流暢)、スペイン語★★★★★(流暢)


***


□マリアンナ→マリア・テレジアの妹。(7歳)9月18日生まれ。


・フルネームは、マリア・アンナ・エレオノーレ・ビルヘルミナ・ヨーゼファ・フォン・ハプスブルク。


・いまのところは年相応の子供。クッキーとシュークリームと、お姉さまが大好き。ハプスブルグ家の娘らしく、音楽の才能に溢れているが、姉の強烈な後継者教育を見て、次女で良かったと、折に触れ安堵し、フランツの弟、カール公子には、伝わらない恋心をアピールしながら、気楽に生きている。


・『マリアンナ大公女特製ウインナーコーヒー』が好物。内容は、コーヒー1:ホイップクリームとアーモンドシロップ9の割合で淹れられた、もはやコーヒーなのかも分からない、正体不明の「超激甘ウインナーコーヒー風味の甘味ドリンク」、マリアンナ以外には「体に毒!」そんな代物。


・武器?:象牙のガラガラ(生まれたときにもらったプレゼント品物)


******


〈 小話:プリンツオイゲン一代記:1 〉


※お話の都合上、本編とは年齢と時間軸が合いませんが、こちらが実は、オイゲン公の史実の生まれ年です。(そして、本編よりも史実寄りでありながら、細かくはフィクションは、相変わらず入っています。)


***


「その不細工な赤ん坊を、早く連れて行って! 見たくもない!」


 後のプリンツ・オイゲンこと、オイゲン・フランツ・フォン・サヴォイエン=カリグナン、未来の『欧州の影の皇帝』は、1663年10月18日、フランスのパリで生まれた。


 そして、生まれながらにして、実の母からこの言われよう、醜いアヒルの子、それ以下の扱いであったことが示すように、彼は、御伽噺の王子さまには、なれそうになかった。


 両親はフランス王の臣下ではあったが、ふたりともイタリア系であり、母のオランピア・マンチーニは、太陽王ルイ14世le Roi Soleilの事実上の宰相を務めたイタリア人枢機卿、ジュール・マザランが、フランスとイタリアの有力な王侯貴族に嫁がせて、自身の影響力を強めるために、パリに連れて来た『マザリネット』と呼ばれる美貌の、7人のうちのひとりであった。


 母は強烈で熾烈な競争を勝ち抜き、太陽王ルイ14世le Roi Soleilの寵愛を獲得していたので、公然と、あるいは密やかに、「オイゲン」の父は、太陽王ルイ14世le Roi Soleilであろうと言われていたが、一応、公的な立場としてのオイゲンは、オランピアの夫である「ウジェーヌ・モーリス・ド・サヴォワ」サヴォワ=カリニャンの貴公子にして、フランス軍の勇敢な将校、ソワソン公の、末の息子として育つ。


 ちなみにオイゲンの身長は、成長期が終わっても、そう高くはならなかったが、太陽王ルイ14世le Roi Soleilも背を高く見せようと、いつも高いヒールの靴を履いていた……多分恐らく偶然の一致である。


 妹はふたりいたが、五人目の息子、男子の中では末っ子なので、将来は「軍隊へ仕官」or「聖職者」であろうというのが、想像できる未来予想図であった。


【それから10年後、1673年の親子の会話】


「う――ん、まあ、今更なんですが、僕の父親は……実のところ、どうなんでしょうか?」

「気にしていたのか? まあ、男が細かいことを気にするな! それに、お前は五男、別に誰もとやかく言ってはこない。わたしの息子でいいだろう! 決定済なんだから! わたしだって、長男ではないからな。長男以外の真相は、神のみぞ知る。それでいいんだよ!」

「はあ……」


「お食事の準備ができました」

「あっ、そう! オイゲン、食事にしよう!」


 母にイタリア時代から付き添っている侍女が、庭を散歩していたふたりに、そう伝えにやって来たので、オイゲンの出生にまつわる話は、それっきり終わってしまい、父は久々に自分の子どもたち(おそらく)と、食事を供にしていた。


 珍しく家に帰っていた父は、前出のごとく、実に大雑把というか、時代に合った鷹揚な性格であり、その日も太陽王ルイ14世le Roi Soleilとのデートに出かけている母のことを咎めもせずに、そのまま子供たちと長話をしてから、ベッドに入っていたが、翌日から急に、風邪をこじらせて、あれよあれよという間に、享年38歳、若くして帰らぬ人となっていた。


「あんなに元気な父だったのに……」


 真相はやぶの中、やはり神のみぞ知ることであったが、それからまた7年後の1680年、母が毒薬調合に関わっていたことが発覚し、王の寵愛を失った母は、有り金をかき集めて、全てを投げ出し、ベルギーのブリュッセルへ逃亡し、オイゲンは、父方の祖母、マリー・ド・ブルボンの勧めというか、圧に負けて、パリで、「サヴォイア神父」と呼ばれる身分になっていた。


「くそ——、頭の天辺がスカスカする!」


 オイゲンは、当然のことながら、剃髪をしていたので、頭の上を丸く、ツルツルに剃られてしまっていたのだ。(トンスラである。)


「ま、でも、母のこともあるし、しばらくは大人しくしておかないとね……」


【時代はマリア・テレジアが六歳の頃に戻る】


「それからそれから!?」

「今日はここまで! 殿下、また明日にいたしましょう。課題が終わっていたら、続きも話して差し上げますよ」

「いいところで終わるわね……」


 密かにマリア・テレジアに、授業を行っているオイゲン公は、そう言うと、窓から見える、屋根から下がっているロープを伝って、姿を消していた。

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