8.男の期待

「・・・まったく、めんどくさい方ですね」


「・・ストレートすぎるだろ」


「こんな芝居を見せられたら、そう言いたくなりますよ。・・それで、いざとなったら助けてやるつもりだったのですか?」


「まさか?助けないが?」


当然と言った感じの即答に、担当していた受付嬢は血相を変える。


「・・・見殺しにする気だったのですか!?」


「あの時、彼と一緒にいたのは「Dランク魔術師」だ。それ以上でもそれ以下でもない」


「だからもし、ただ俺の力にすがろうとしたなら、場合によっては「俺が消していた。これまでの多くのようにな」」


「・・・・・数少ない例ですね」


「・・・ああ。まぁ、それもあって、俺のことはあまり知られていないが」


「ですね」


この国で数少ない、「Aランクの剣士」は言う。


「生と死をひとまず乗り越えた剣士よ。恩返しを期待しているぞ」


そして、卑屈な黒フードの男風にもつぶやく。


「・・生き残りな、兄さん」

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冒険者の「生命保険」 Syu.n. @bunb3

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