第38話

2035/11/25(日) 深夜四時一分 邸宅・客室ロビー 長良ながら加藤かとう折神おりがみ・ウィル・ラウ・慎悟しんご


「終わったな」と俺がいった。


「確かに、後は彼女の件だな」と加藤さんがいう、「そこは配慮を」と俺がいう、「当たり前だ、彼女の事後整理には俺の友人を当てる」といったのだった。




2035/11/25(日) 深夜四時一分 邸宅・C号室 アイ香織かおり


 香織さんがいった「もう終わったわ、休みましょう」といって布団に潜り込んできた。




2035/11/26(月)  午前九時~ 邸宅・ロビー アイ香織かおり長良ながら折神おりがみ・ウィル・ラウ


 朝食は加藤さんが居なかっただけだった、加藤さんからは手紙をもらった、相続の問題とかその他の手続きの問題に、加藤さんの友人が二人ついてくれるという内容だった。


 昼食後にはウィルさんとラウさんが帰っていった。


 私は帰る前にお礼をいった、すると当たり前のことをしただけだから気にやむなとラウさんからいわれ、職務ですからとウィルさんから返されてしまった。


 そして午後、荷物を整理しているときに、引っ越すことになるというむねの話を長良さんから聞いた、御爺様の実家に家があるのだ、そこで暮らすことになるということだった。


 加藤さんの調べで分かったことだそうである、そして事件は解決したという報も含まれていた。


 そして、その日のうちに移動できるよう、チケットまで手配して下さったのだ。


 加藤さんの旧知の仲の税理士さんと弁護士さんがついて下さるそうで、遺産相続などについては問題が無く、相続税もゼロ円で済むように調整してくれることになった。


 そのまま時間は過ぎ、チケットの時間が迫ったので、折神さんが駅まで送ってくれることになった。


 その際にお礼をいった、するとそれは職務のうちだから気にしなくて良いよといわれた。




2035/11/26(月)  午後九時三十分 新神戸駅上り線ホーム アイ香織かおり長良ながら


 もうみなさんと会えないのは辛いが致し方ない、人生とはそういうモノなのだ。


 お別れの挨拶は、いえないだろうと思っていたら、長良さんと香織さんが来てくれた。


「さよならとは言わないわ、またね」と香織さんがいって抱きしめてくれる。


「元気でやれよ」と長良さんはいって、軽く抱擁して「またな」といってくれた。


 涙ぐんだが、すぐに長良さんがハンカチで拭き取ってくれて、そのままハンカチをくれた、涙が途切れなかったのだ。


 仕方が無いと思われた。


 最後まで長良さんと香織さんは見送ってくれた。




2035/11/26(月)  午後九時四十分 新幹線グリーン車 アイ


 新幹線のドアのところで座り込んでしまっていた、しばらくは動けなかった。


 席についても涙は落ち続けた。


 私はこの数日のことを一生忘れないだろう、そう思った。



THE END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モノクロームネスト・片翼の堕天使 御鏡 鏡 @mikagamikagami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画