第37話

2035/11/25(日) 深夜四時 邸宅・客室ロビー 長良ながら加藤かとう折神おりがみ・ウィル・ラウ・慎悟しんご


 堕天使は俺とラウ二人と力比べしている最中だった、背中はがら空きだ。


 慎悟がナイフを抜いて大きく振り上げ、「これでもくらえ!!」と両手で堕天使の背中側を思いっきりえぐった。


“グワァァァァァァッ!!”と堕天使が叫んだ。


 魔物特有の魔物が焼ける匂いが立ち昇る、憤怒の形相がさらにひどく変化していた。


 銀武器だと思われた。


「やるじゃねえか!!」といいながら霊力を武器に叩き込んだ!


 青白いスパークの量がさらに増大した、堕天使が押される、とはいっても堕天使は抜けられない。


 三方から三人に斬り込まれているのだ、ラウも気自体を引き上げたようでラウの側の青白いスパークも大きくなっている、抉り込まれたナイフはさらに深く刺さったようで“グオォォォォッ!!”という堕天使のうめき声がロビーに響いた。




2035/11/25(日) 深夜四時 邸宅・客室C号室 アイ香織かおり


「これでもくらえ!!」と誰かが叫んだ。


“グワァァァァァァッ!!”と何かが叫ぶ。


「やるじゃねえか!!」と長良さんが叫んだ。


“バチバチ”という音が連続して聞こえる。


“グオォォォォッ!!”という大きな呻き声が響いた。




2035/11/25(日) 深夜四時十秒 邸宅・客室ロビー 長良・加藤・折神・ウィル・ラウ・慎悟


 堕天使がこっちを向いた、この瞬間しかないと思い術を発動させる「邪視」と視線を合わせいった。


 堕天使の力が弱まった、ここぞとばかりに三人で斬り込んだ、青龍刀と太刀を押さえる力がなくなり、俺とラウはお互い左右の胴を深々と斬り裂いていた。


“グウゥゥゥゥゥゥゥッ”と堕天使が呻く、俺はここぞとばかりに八雷招来を打った、卑怯ひきょうかもしれないが叫ばなくともいいのだ、念じるだけで。


“グアァァァァァァァッ!!”と堕天使が叫んだ。


 ついでに、札を五枚とも投げ、フロアに突き刺し不動陣も念じて展開しておく。


“ツッ!”といって堕天使が抵抗できなくなり、棒立ちになった。


 俺が斬り結ばなくなったので、折神が撃ち始めた初動で三連射した二丁のM29が轟音を響かせた。


 俺は「刀禁呪とうごんじゅ」を唱え霊太刀にさらなる力を与えた。


 ラウも一旦離れたため、加藤さんがピンポイントで頭部に狙いを定め撃ち始めた。


 流石に頭部に食らっては敵わんと動こうとするが、俺は不動陣を締め上げている。


 俺は再び踏み込みながら、思いっきり逆袈裟で斬り上げた


 今度こそズッパリと斬れ、堕天使は黒い羽根となって散った。




2035/11/25(日) 深夜四時十五秒 邸宅・客室ロビー 藍・香織


“グアァァァァァァァッ!!”と何かが叫んだ。


“ドドンドドンドドン”と響いた。


“タタッタタッタタッーン”という軽い音も響いてきた。


 それを最後に静けさが戻った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る