ヘタレ陰陽師、見せ場です!
KK団のはらはらデート尾行
「あれ? ねぇねぇ歓太郎、観覧車止まってない?」
「んお? ほんとだ。あちゃー、何、そういうことかぁ」
「そういうことってどういうことですか?」
「んー? いや、ほら、結局はっちゃん、きっちり逆から回ったからさぁ、何か起こるんじゃないかとは思ってたんだよなぁ」
「おいおい、大丈夫かよぉ」
丸テーブルの上にタコ焼きやら焼きそばやらを目一杯広げ、口の周りにソースや青のりをつけまくっている『どう見てもカタギではない美女と若い衆(実際は野郎四人)』こと
「ていうかさ、あの観覧車、めっちゃ憑かれてない?」
「これはなかなかの大物ですねぇ」
「久しぶりに見たな、この規模のやつ」
「さすがは式神、見えるんだもんなぁ、お前達」
「歓太郎はエセ神主だから見えないよねぇ~、ふっふー」
「これに関しては才能ありきですからね」
「いくら歓太郎が有能な神主でもなぁ。こういうところでは無能なんだよな」
「うっさい、もふもふ共。無能って言うな。有能だわ。有能なお兄ちゃんだわ。俺だってな、ちゃーんと用意してるっつーの」
ふはは、と笑いながら、袂に手を入れる。
「じゃじゃーん! 御神木〜」
取り出したのは、土御門神社に祀られている御神木の一部である。
歓太郎は土御門神社で神主をしているものの、それはあくまでも陰陽師である弟の慶次郎が後を継ぐまでの繋ぎである。コミュ障を拗らせすぎて参拝客とのやり取りすら困難な彼が、珈琲処みかどで接客を学んでいる間の臨時神主に過ぎない。けれども務める以上は、と短期間にあれやこれやを詰め込んで、いまや立派な神主である。何でもそつなくこなすように思われがちだが、実のところ、歓太郎は相当な努力家だったりするのだ。
が、生まれ持っての才能という点では弟の慶次郎に到底及ばない。形式的な神事は行えるし、お祓いも出来る。が、それはあくまでも形式的なものであり、それでも神社にいる分には祀っている神様の御加護云々である程度の力を使える歓太郎だが、外に出てしまえばただの
そんな彼を補ってくれるのが、この御神木なのである。
「今日はこれ持って来てるから、俺にもちゃーんと見えてますぅ~。さーて、お前らにもちょっと一仕事してもらうかねぇ」
得意気に御神木を振りながら、ヘラヘラと笑うその顔は、ケモ耳ーズ曰く、「今日イチむかつく顔だった」という。
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