KK団のわくわくデート尾行

「……気付かれてないか?」

「ばっちり! 大丈夫だよ!」

「ものの見事に振り返りもしません」

「さすがは慶次郎だな」

「よし、行くぞ」


 今日こそはカップル成立するのでは、という葉月と慶次郎の遊園地デートである。

 微妙な距離を保った状態で歩き始めた二人の後ろをこっそりとつける者達の姿があった。


 歓太郎かんたろうwithケモ耳ーズ、略して『KK団』である。

 

 メンバーは、慶次郎の兄である、土御門つちみかど神社の神主・歓太郎。

 普段はみかどで働いている、神社の獅子をモデルに作られた金色の式神・おパおからパウダー(フード担当)。

 狛犬をモデルに作られた白色の式神・小麦粉(お片付け担当)と同じく焦げ茶色の式神・純コ純ココア(ホール担当)である。


 この式神達は、主である慶次郎より、真名まことなを解放してもらったため、最も力を発揮出来るもふもふの獣モードになっている。こうなれば、それぞれの力で姿を消したり、人間体になったりも自由自在だ。


 というわけで、おパはゆるふわパーマの金髪、麦は白髪はくはつのストレートロングを後ろで一つに束ね、純コはすっきりと刈り上げた黒髪ツーブロックという、三種三様のイケメンになっている。ただ、人には見えないだけで、彼らの頭の上と尻には獣の名残の耳と尻尾がそれぞれついているのだが。


 そして歓太郎は、というと、一応変装のつもりらしく、その中性的なルックスを活かして女装している。つまりは、イケメン三人を侍らせた美女、という組み合わせだ。


「ふっふっふ、せっかくこの俺がお膳立てしてやったんだ、ばっちり決めろよ、慶次郎……。チケットは貰い物だけど」


 美女にそぐわぬ邪悪な笑みを浮かべる歓太郎の後ろでは、「でも慶次郎ですよ?」「慶次郎だもんなぁ」「葉月も大概だしなぁ」と早くも諦めモードのケモ耳ーズがいる。それを、「馬ぁっ鹿だなぁ、お前達」とうんと潜めた声で指摘すると、歓太郎は一層悪い顔になって、ぐふり、と笑った。


「ちゃあんと手は打ってあるって」

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