NO170/免許更新

ケンジ1990年平成2年1月23日(火)

今日は非常に寒い一日であった。夕方からは白いものまで降り始め、4時間残業を無事終了した時にはすでに辺りは銀世界、私の愛車の上にも5センチぐらいの厚さに綿帽子が被されていた。昨日も4時間残業で、ここにきてかなりの追い込みである。

さてそんな今日、なんと私の37回目の誕生日なのであった。4時間残業で仕事に追われる私にとって、誕生日なんてのはあってないようなものである。むしろ今日の誕生日は、私にとって近来稀にみる大失敗が露見する最悪の日となってしまった。その大失敗のために、明日は会社を休まざるを得ないことになってしまったのである。

何と今日で、私の免許証の有効期限が切れてしまったのである。それに気付いたのは4時間残業の終了する間際だった。これには参った。免許証の期限を忘れるなんて、どうやら37歳の誕生日はボケの始まりの記念日になってしまったようだ。どうあがいたところでもうどうしようもない。早速帰宅途中、駐在所に寄ってその対処法を教わってきた。それによると、有効期限を一日でも過ぎてしまった免許証の書き換えは、有効期限内の更新手続きに比べて格段に面倒であることがわかった。本来ならば免許証一枚持って八王子の警察署へ出向いて、30分くらいで全ての手続きを終了出来たものを、わざわざ府中まで出向き、おまけに役場へ寄って住民票まで持参しなくてはならなくなってしまったのだ。

という訳で、明日は車に乗れず、会社を休んで更新手続きということなのである。以上。


ケンジ1990年平成2年1月24日(水)

会社を休んで、失効した免許証の更新を無事済ますことができた。案の定一日がかりの手続きとなってしまった。たった一日遅れただけなのにこんなに時間を費やさねばならなくなるんだから恐れ入っちゃうよ。特に今日の私はついてなかったようだ。手続きが済んで講習を終了した時点で、何と昼休みの時間に入ってしまい、免許が交付されるまで12時から1時半まで待たねばならぬ羽目になってしまったのだ。仕方なく暇つぶしの一環として、久し振りに献血をした。ああいう公安関係の役所には必ずと言っていいぐらい献血車が待機しており、いつも献血を呼びかけているのだ。私はいつも通りの400mlの献血をして、痛い注射針に耐えてきたのだ。それでも献血手帳にスタンプが増えていくのを見るのは気持ちのいいものだ。こんな私でも少しは他人様のお役に立てているような気がして、存在価値が再確認できるのである。


ヒロト2023年令和5年8月5日(土)

ケンジ37歳での免許更新、ご苦労様でした。こちらは71歳での免許更新、昨日高齢者講習行ってきました。誕生日は7月13日で過ぎているけれど、今は1ヶ月の猶予があるんだよ。それにしてももうぎりぎりだけどね。実は講習なんて実技講習もあって面倒くさいしお金もかかるしで、いっそのこと返納しちゃおうかなって思っていたんだ。運転も2年前の引越の時に古い軽トラを借りてちょこっとしただけだし。

でも期限が迫ってくると何だかもったいなくなってきて、自動二輪の免許だけでも残しておこうかと、自動車教習所に講習の予約の電話をした。すると電話応対のおっさんが、「普通免許もあるんでしょ、それもやらなきゃもったいないですよ。予約もまだ空いてますよ」と言うのでコロッと受けることにした。

研ナオコが、インスタグラムにETみたいなスッピンの顔写真を投稿「免許更新で高齢者講習受けてきた。楽しかった」だって。

よし!楽しんでやろうじゃないかと、予想最高気温37度の中、八王子自動車学校に向かった。駅近くから無料送迎バスがあったので、割とスムースに着いた。まず受講料8500円を支払う。高ぇ!なんかきっと高齢者講習なんて始めてお金が回っているところがあるんだろうなぁ。

しばらく待たされて、いざ教室へ。女性3人男性5人の計8人、何だかみんなかなりのじいさんばあさんに見える。オレもこう見えるのかなぁ。講師二人が入って来た。なんだ、あんたちが講習受けるべきじゃないのって感じの、二人ともツルビカハゲ丸のじいさん。

いろいろ説明が始まったけど、今日やることは視力の検査と実際に運転してみる、ということらしい。そして8人のうち5人は75歳以上ということがわかり、オレも5年後はこんな感じかとまたちょっと落ち込む。

今日は別に試験じゃないですよ、脱輪しようが、一時停止しなかったりしても大丈夫、ブレーキとアクセル間違えても教官の方にブレーキありますから助けますよなんて笑えない冗談を言っている。少なくとも堅苦しい講習ではなさそうだ。

そして、じいさん4人が運転するグループになって細い方のツルビカハゲ丸に連れられて外へ出て行った。残ったのはばあさん3人とオレ。こちらは視力検査。先ず視野の検査で、器具の前に座り白い受け皿のようなものに顎を乗せて頭を固定する。正面の小さな丸い鏡のようなものを見つめる。棒の先に小さな白い玉ッコロが付いていて、それが左右に動いてどのくらいまで見えるのかを測定する。先にやったばあさんたちはモタモタしながらも最低ラインの左右合わせて150度をなんとかクリアした。さあオレの番、申し訳ないけど自慢話のようになってしまうかも。結構見えるのよ。〇視野角度 右目視野88度 左目視野86度 両目視野174度。太い方のツルビカハゲ丸が言う。「すごいですね、20代の視野ですよ。何かスポーツやってました?スポーツ選手なんかは視野が広いですからね、イチローとかね」イチロー!?そりゃ言い過ぎでしょ、でも悪い気はしない。

次は普通の視力検査で、機械を覗き込んで丸印のどこに切れ込みがあるかわかったらレバーをその方向へ動かすというもの。まず最初のばあさんが機械を覗き込む。講師が眼鏡使用でしょ、眼鏡をしてと言う。緊張しないで、視力計るだけだから、とも言った。眼鏡をかけてさあ検査。見えない。2回3回やって全然見えないという。そこで講師が、もしかしたらそれ老眼鏡?と尋ねた。はいと答えるばあさん。ダメだよ老眼鏡は近くを見るためのもの、運転する時の眼鏡をかけて、と講師。

かけ直してやっと0、5という結果。 0、7という合格ラインには届かなかった。警察で更新手続きをする前に眼科か眼鏡屋さんに行くことをおすすめします。ツルビカハゲに言われている。そのまま続けて夜間視力検査。同じ機械を覗いていると、30秒間何もない明るい画面が続く、それが一気に暗くなりその暗い中から小さな丸が浮かび上がってくる。その小さな丸の切れ込みが見えたらその方向にレバーを動かす。ばあさん、60秒経っても見えないみたい。講師が夜間視力が低下してますね、夜は運転しない方がいいかもと言うとばあさん、「あたし運転しないから」だって。何で来たの、と言いたいよね。

そしてオレの番、〇静止視力1、5 また太い方のツルビカハゲ丸が素晴らしいですねときた。更に〇夜間視力7秒 ホントだよ、ばあさんたちが60秒かかっても見えなかったものが7秒で見えたんだ。そりゃまたツルビカも驚くよね。こりゃ10代の数字ですよ、奥さんに自慢できますよ、だって。

次は動体視力、機械を覗いていると点のような丸印がこちらに向かってすぅーと大きくなってきて、その切れ込みの位置がわかった時点でレバーをその方向に動かすというもの。〇動体視力0、4 ばあさんたちは皆0、1 これもツルビに2、30代の反応ですよと驚かれた。こうなってくると、視力が若いのはうれしいけど他の部分も若くなって欲しいもんだと、かえってあまりはしゃいだ気分にはなれなくなった。人というのは欲張りなもんだね。

運転実施の方はあまり語ることナシ、しいて言えば、同じ組のばあさんが運転した時、何でも普段は外車を運転しているらしく、左ハンドルの癖でウィンカーを出す時、つい左のレバーを触りワイパーをたびたび動かしてしまうのが面白かった。

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