届け！交換日記

NO145／20年振りの舞台

ケンジ1983年昭和58年5月9日（月）

いよいよこの日記帳も平常欄のページが終わり、最後のまとめ欄を使っての日記と相成った。最後だから少し長めに一発で決めようと思い、しばらく日記を控え、どんなことを書いて締めくくろうかいろいろ思っていたのだが、なかなかこのところ忙しくて、バシッと決まった文章でまとめることができそうもなく、とりあえず今日、久しぶりに朝の出勤前に書いているのだ。

そして今、一番言いたいことは、ここへ来てまたまた私にとって一大節目にさしかったということだ。経堂のラ・テラスを転勤になり新宿に移って早一ヶ月、既に私は本社に退職願いも提出しており、今日の15日付けで退職することに決まっている。

この四畳半の荷物もほぼまとめ終わっており、後は二年間弱のいろいろの思い出のある経堂をあとに、「古里を捨て、部屋を捨て、、、、」といった心境である。

ヤナギさんも長崎へ帰ったきりで、お父さんがもうあぶないのだということで、まだしばらく帰って来れそうもなく、実を言えばヤナギさんはもとよりその家族の皆さんからも、私がこの会社を辞めたら長崎においでよ、と声をかけられているのだ。しかし、今の私の気持ちは決まっている。サラ金の借金とヤナギさんへの借金を返す金を作るまで、再び一人でどこかに勤めに出ようと。

とにかく今のまま長崎へ行ってもどうにも仕方がないのだ。この考えはおふくろにも友人にも、もちろんヤナギさんにも内緒である。

この経堂での一年十ヶ月はいろいろ楽しい思い出もあり、去り難い面もないではないが、経堂ラ・テラスでの生活は私の手掛けた処女小説で描くことができたし、もう思い残すこともない。もうあと一週間のうちにもこの経堂からおさらばである。その前に、ヤナギさんの用事やら私自身のことやらでいろいろやらねばならぬこともあるが、いずれにしろ楽しかった経堂よ、その仲間たちよ、さようならである。以上！

5月9日の夜

1日に2回も日記を書くというのはこれが初めてだろう。このところ夜中に目が覚め、正味3、4時間ぐらいしか眠れない日が続いているのだ。何故なのか理由はわからない。やはり精神が不安定な状態だからだろうか。

いよいよ明日で新宿ラ・テラスの仕事ともおさらばだ。カワシマ次長が最後だから一緒に食事でもしようと、明日の夕方六時頃店に行くからと誘ってくれた。うれしいことよ。

さて、私の次の仕事だが、今朝TELで一応面接を申し込んだのだが、明後日に面接してそれが決まれば群馬県桐生に行くことになる。

まず二、三ヶ月はバカみたいに何も考えない仕事でひたすら金を作ろうと思って、肉体労働、宿舎完備という仕事を選んだのだ。そして一段落着いてサラ金などのめどがついたら、改めて営業のような職に就きたいと思っているのだ。よって私はヤナギさんのように失業保険などはあてにせず、というより、本社の総務課のカワカミさんなどの勧めを断って、失業保険はもらわないことにしたのだ。後は明日の風向き通りに生きて行くさ。病気になって死なない限り。以上！

ヒロト2022年令和4年1016日（日）

ケンジの処女小説、どこかにあるのかなぁ。ひょんな所から出て来ないかなぁ。

ケンジの日記もだいぶあいだが空いたよね。経堂に来て1年10ヵ月か。この間、日記が途絶えていた訳ではないんだよね。確かに読んだ。読んだ上であえて言えば、交換日記をするのはつらい。楽しく女の子との交流があったのはよかったけれど、ヤナギさんとのいびつな関係,,自分の理解の外の出来事というか、ここにそのまま載せていいものかどうか迷った。

だけど、でもだよ、ヤナギさんとケンジの関係、ケンジにとってハッピーではないかもしれないけれど、人間ドラマとしてはとても興味深い関係、しかも創作ではなく事実だからね。二人の物語、書きたいなぁ。日記をそのままでもいいぐらい表現されているけれど、一回解体して作品として昇華させたい！そんな気持ちに今、駆られています。

コロッと話は変わって、今日は府中市福祉祭りの野外ステージでの上演、やってきましたよ！駅前歩行者用広場の一角に5メートル四方のレッドカーペットが敷いてあり、そこがステージ 。歩行者の足が止まって見てくれたら観客ということになる。

自分にとって、約２０年振りの芝居の舞台、

開始時間が迫るにつれて、なんだかドキドキして来た。今さら緊張なんてしないだろうと思っていたけれど、やっぱり本番前っていうのは違う。久々に味わう感覚だ。なんというか、いい緊張感で、それを感じている自分がうれしい。

自分は開演して少ししてから、客席の中から舞台に上がる演出、ひとつ前の演目のマジックショーの時から見ている人の中に溶け込んで、拍手をしたりして一緒に楽しんだ。マジックショーが終わった。すると見ていた人たちがぞろぞろと帰り始めた。ちょっと、ちょっと待って！次のお芝居も見て！

そばにいた子供に、「次のお芝居も面白いらしいよ」って言ったら、「ママ、次も見たい」って残ってくれた。すごくいい子だ。

舞台装置などはないからすぐ始まる。

まず、女優三人が登場、福祉祭りならではの企画、簡単な手話のレクチャー、♪しあわせなら手をたたこうパンパン～～～～～～

「皆さんご一緒に」女優陣頑張れ！

そして三曲目、♪ブンブンブン　ハチがとぶ～～～～～

さあ！出番だ！ブンブンブンは続いている、その最中に客席から舞台に乱入だあ！

この続きは、事前に稽古場で撮影したものですが、ユーチューブ「芸能プロダクションあいかんぱにい」チャンネルでどうぞ。

そして、チャンネル登録といいねをなんとかお願いしたい。

これ、日記なのに、誰にお願いしてんだろうね。