NO131/ケンジコント葛藤俺コロナ格闘

ケンジ1976年昭和51年10月21日(木)晴れ

昨日は夕方、アトム君からTELがあり、彼の誕生日だからというのでお呼ばれがあったのだ。オバラも来ると聞いたし、久しぶりにヤツとも話せるなと思い楽しみだった。アトム君のアパートへは歩いて行った。地下鉄で行くのももったいなかったからだ。部屋に入るともう料理が並べられており、あとはオバラ待ちの状態であった。しばらくしてオバラが来た。ヤツは髪を切ってスッキリした格好で来た。

さていよいよ誕生日のドンチャン騒ぎの始まり。メンバーはアトム、ジロー、オバラ、そして隣近所の部屋の顔見知りの連中であった。結局男5人女2人で大声で歌い、夜中2時頃まで近所の迷惑など気にもかけず、喚いたり歌ったり話し込んだりしていた。


ケンジ1976年昭和51年11月3日(水)晴れ

今日の公演は三回公演、三回目のカゴ屋はちょっと失敗したがマァーマァー!小柳ルミ子さんに聞いたところ、カゴを置く時ちょっと痛いというので、明日からはゆっくり置くように心がけよう。

さて三人コントの方もボチボチ稽古が進んでおり、まずまずといったところ。問題はここ二、三日いろいろ生活リズムが狂って、昨日はヤナギ君が夜中一時頃泊まりに来たので、私は布団一組しかない私の部屋で二人寝るのは無理と思い、かねてから連絡しておいたアトム君の部屋にオートバイで泊まりに行ったのだ。それもヤナギ君にお好み焼き屋で、ビールや焼き肉などをたらふくご馳走になった後、酔っぱらい運転で出向いた訳だ。私がヤナギ君のために自分が外泊するというのも他人から見ればおかしいと思うだろうが、夜中の二時過ぎに行って心良く泊まらせてくれるアトム君のことを思うと、やはり感謝の念で心暖まる思いがするので、人間にはこういうことも不可欠だと思う。特に心の広い暖かい人間になるために。そこに信頼が生まれ、友情が育まれるのだと思う。


ケンジ1976年昭和51年11月5日(金)曇りのち晴

今夜は公演終了後、またしてもヤナギ、モウリ両氏と浅草のシルビアという茶店で会談になり、私はまだまだ子供で他人に神経を使わな過ぎる。もっと気を使うべきだ。との二人からの矢のような批判を受けてきた。

まずはじめに、確かに二人の主張するところは一理ある。素直にこう認めておこう。

そして私の感想を述べれば、お二人の意見の根本には、前提には、私が二人より人付き合いが下手くそだ、社交ベタだ、まだ子供だという先入観があり、それでまず二人と私との立場を離しておいて、私を判断した意見だと思う。二人の意見を例にとれば、「普通の人間だったらもっとまわりに気を使う。俺たちにコーラを買って来いと言われなくとも、たまには自分からコーラどうですかとかすすめる。食べ物を食べる場合でもまず周りにすすめてから。化粧前の電気などは消し忘れられていたら、他人の化粧前でも消してあげる。オレは今日わざと消し忘れたんだがお前は気がつかなかった。自分のことしか考えていない」と、こういうことなのだがこの内のどれをとっても、もしお二人が私と立場を平等に考えていたら、私の行動は少しも不自然なことではなく、三人の親しい仲間ということであれば、そんなことに気を使えばますます二人と私の立場を離すことになるだろうし、そういう意見が出ることこそ逆にお二人に私に対する心使いが欠けていると言いたくなる。私が二人のまったく知らない人物だったらこんなことはもちろん言わないだろう。この二人に私というものが、こういうものなんだという特異なメガネを通して見る偏見的先入観があるからこそ、そういうことが言えるのだ。もちろん本当に私の気がつかない点もたくさんあるに違いない。しかしお二人の言う謙虚さが、もし私に対して言う時にも見る時にもあったなら、これほどの言葉は出ないと思う。一人の人間として見ているなら、人間を平等と見ているなら、たとえ私が気のつかない人間でも向こうでも気を使わなくてもいいということはないのだから。言わせてもらえば、寛大な私だからこそこのお二人の意見をおごそかに意に止めるが、普通の人が聞いたら完全に侮辱されたと怒り出すと思う。結局お二人の意見というのは、私だからということで甘く見て、二人のいつも言う他人に対する謙虚さを見失っているのだ。どうして二人は他人の中に私を入れてくれないのか。もっとも私にも誤解を招く種はあるのだ。それはケチということ。私の悪い点はケチということなのだ。


ケンジ1976年昭和56年11月7日(日)曇り

今日で七日間の国際劇場小柳ルミ子ショーは終わった。楽な舞台であった。周りからの私ら三人の評価は良し悪しいろいろあるだろうけど、三人としてはまずまず成功であった。

今夜も公演終了後、ヤナギ、モウリ両氏から引き続きいろいろ批判を受け、私自身にとってもこの三人のコンビに対する認識を改めて厳しく見つめ直す良い機会であった。私もますますコントに対して、コントを一緒にやって行く同僚に対して強く結びついたと思うし、希望も見通しも明るくなったように思う。今日からはまた気持ちを新たに頑張らなくっちゃ!今夕のお二人からの意見は、前々からの意見も含めて解釈したところによれば、私は二人から見ると世話になってる位置にあるのだから、とりあえず私が二人に対してもっと気を使って欲しいということなのだ。要するにお二人には私よりも古いし、全ての面で私よりも上手なのだから、というプライドがあるという訳だろう。

ここで改めて私を見つめ直してみると、確かにヤナギ、モウリ両氏の力は認める。よって素直にその意見は取り入れようと思う。

「私一人では弱い」私自身が一番知っていることなのだから。その上で改めて私自身もより強くなるよう努力し、信念を持って進むのが正解。


2022年令和4年8月14日(日)

ヒロトPCR検査センターからのお知らせです。

・・・・・・・の検査結果は、

「陽性(+)」です。


やられた。しばし放心。

昨日はまた熱は38度に上がり、咳がひどくなり、水を飲むのも困難な程喉が痛くなった。ある程度覚悟はしていたけど、「陽性」

という文字はやっぱりショック。

家族みんなに伝えた。みんな濃厚接触者になるのだから、出勤等の対応が大変。息子にも娘にもご迷惑おかけします。それより大変なのはカミさんが熱出した。咳はあまりしていないので今のところ静かに寝ているけど、悪くならないで欲しい。最初は俺一人だったけど、今は隔離部屋に二人並んで寝ている。どうか仲良くよろしくお願いします。

事務所のアイハラさんと電話で長話した。やはり関係者に感染している人が多いらしい。

とにかく自宅療養10日間、ピンチをチャンスに変えなくちゃという話もした。ショートストーリーの台本とか、朗読用の原稿とか、

とにかく書くことは出来るので、ケンジのことも書いていいかな。

それから、仕事先の、息子の友達のちょっとやんちゃな店長とも話をした。自身がコロナにかかった時、「40度出て水も飲めないほど喉が痛かったです、それより軽そうですね。でも気をつけてくださいね。出勤は一応22日からにしましょう。」だって。

いい人たちに囲まれている。ケンジじゃないけど、頑張らなくっちゃ!




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